アラン・カミングは可愛らしく、マイケル・J・フォックスの狡猾な戦略は勉強になる

不倫を軸にした法廷ドラマ「グッド・ワイフ」を Prime Video で一気見しました。シーズン1~7と結構長いです。

2010
Rosemary Rodriguez, Michael Zinberg, Brooke Kennedy, James Whitmore Jr., Félix Enríquez Alcalá, Jim McKay, Frederick E.O. Toye, Robert King, Matt Shakman, Nelson McCormick
楽しめた度

不倫がストーリーの軸

やはり法廷ドラマといえば有名な「アリー my Love(Ally McBeal)」が意識されますが、この「グッド・ワイフ」はコメディ要素がかなり少なく、不倫をストーリーの軸にしているのが珍しい。

2016-12-12
キャリスタ・フロックハート (出演)
面白かった記憶がある「アリー my Love」を今再び観たら、アリーの性的アピールとわがままさに辟易。ジョン・ケイジを主役にして欲しかった
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女性のアリシア・フロリックが主役。夫のピーター・フロリックがイリノイ州検事で、売春婦との密会が暴露されて収賄罪で刑務所に行きます。ここからドラマがスタート。

アリシア・フロリックは弁護士ですが子供が2人いて専業主婦をしていたので仕事から遠ざかっていました。13年ぶりに職探しをして苦労しますが、ロースクールの旧友ウィル・ガードナー(男性)が設立した弁護士事務所で拾ってもらいます。

アリシア・フロリックは実は昔ウィル・ガードナーが好きだった…、というストーリーです。

夫ピーターが不倫をしたので夫を責め立てますが、自分もウィル・ガードナーに惹かれていく。夫は元検事でメディアに騒がれており、夫別れずに上っ面だけ仲の良い夫婦を装います。

仲の良い夫婦を装っていくうちに、夫との仲が良くなったり、夫と険悪になってウィル・ガードナーとイチャイチャしたり。最初から最後までずっと不倫がテーマになっています。

実際に起きたスキャンダルが元になっている

このドラマは実際に起きたスキャンダルに着想を得たとのことです。

2008年に元ニューヨーク州知事のエリオット・スピッツァーの売春疑惑事件や、特に、夫であるビル・クリントン(元アメリカ合衆国大統領)の不倫スキャンダルに見舞われた妻のヒラリー・クリントン(弁護士資格あり)が主人公のモデルになったとのこと。

ドラマ中でもビル・クリントンやヒラリーに言及する場面が所々にあります。

最初はアリシアを応援できたが…

主役が女性なので女性目線でストーリーが進みます。

私はドラマの最初は「夫が不倫をしたわけだから、妻のアリシアも不倫してもお互い様か」と思ってアリシアを応援していたのですが、徐々にアリシアが独善的で身勝手になっていき、応援できなくなってきます。

私からすると、夫ピーターは不倫をした以外は性格が良いので、アリシアから責め立てられるのが可哀想になる場面が多いです。

アリシアは周りの人に気を遣っていて仲良くやりたいというのを装っていますが、重要な決断をしなければならない場面では自分を優先し、周りの人はどうでもよくなるタイプです。

アリシアの人間性には可愛らしさがありません。「高慢」という言葉が良く合っている女性です。

不倫相手ウィル・ガードナーの良さが分からなかった

アリシアは旧友のウィル・ガードナーと不倫をするのですが、正直なところ、私にはウィル・ガードナーの良さが分かりませんでした。

不倫をするほどの魅力がどこにあるのでしょう?

コネで入社させてくれたのは優しいかもしれませんが、ウィル・ガードナーがそこまで魅力的に見えるエピソードが無かったように思います。

ウィル・ガードナーについてはシーズン5で急展開となり、これは予想外でした。

アメリカのドラマではこういう場合の多くは降板ですので、調べてみると体力的な問題で自ら降板したとのことです。

降板理由は体力不足!『グッド・ワイフ』キャスト、あのショッキングな去り方を振り返る - 海外ドラマNAVI

「(1シーズンあたりの話数が)22話というのがとにかく無理でした。法廷で1年に22話をこなす体力がもう残っていなかったんです。あの頃は人生において、やり切ったという思いがありました。その決断が何であれ、少なくとも創作面では火をつけられました。ロバートとミシェルが同意するかは分かりませんが、僕にとってはそうだったんです。あのキャラクターの物語を完結させる過程は、僕がこれまで携わった中でも最高の脚本の一つでした。彼らには本当に感謝しています」

主役のアリシアよりも周りの役者が魅力的。マイケル・J・フォックスがドラマに出てくれるとは

主役のアリシアは好きになれませんでしたが、周りの人は良い人が多くて良かったです。

特に夫ピーターの選挙コンサルタントのイーライ・ゴールドが好きです。役者はアラン・カミング。「インスティンクト」というドラマで主役でした。

2020-3-4
アラン・カミング (出演), ボヤナ・ノヴァコヴィッチ (出演), マーク・ウェブ (監督)
レビュー件数:52
(投稿時点)

イーライ・ゴールドはとにかく選挙に勝つのを優先して、アリシアには夫ピーターと仲良くしている場面をテレビ放送で見せて下さいと要求する人なのですが、真面目なのにどこか可愛らしさと面白さを感じます。

笑えるエピソードも多く、とても良かったです。彼の恋愛エピソードもあり、心がほっこりします。

アリシアもこういう可愛らしさがあったら良かったのですが…。

エルズベス・タシオニはちょっと変わっていて面白い女性弁護士でした。常識から外れている言動や動きをする人ですが、一般的には弁護士は高慢ですから、むしろ彼女の方が人間的に見えました。彼女を主役にした方がが面白かったような…。

あと裁判所で対決することになる弁護士ルイス・ケニングの役者は、どこかで見たことあるなと思っていたらマイケル・J・フォックスでした。

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の主役です。こういうドラマに出てくれる俳優だとは知りませんでした。凄い。

遅発性ジスキネジアで体が上手く動かないという役でしたが、マイケル・J・フォックスを調べてみたら彼自身も29歳からパーキンソン病で、手が震えたり体が上手く動かなかったりするとのことで、役は彼に当て書きしたのでしょう。

役柄はかなり良くて、敵で狡猾な弁護士として登場します。基本的には敵ですが彼のやり方はこういう方法もあるのかと勉強になる部分がありました。

薬害訴訟の裁判でアリシアとルイス・ケニングが対決してルイス・ケニングが負けるのですが、実は彼は負けるのを見越していて、裁判前に予想した賠償金からかなり減らせたので、依頼元の企業からすれば目的達成でかなりの勝ちだった。

このドラマは主役のアリシアの目線から描かれるので、裁判に勝ったのに負けたような何とも言えないスッキリしない結末となります。

アリシアは裁判に勝つことだけしか考えていませんでした。裁判に勝った後に勝利パーティを行っていましたが、そこにルイス・ケニングが現れて裁判の裏側を説明する。実は裁判に負けたルイス・ケニング側から見れば大勝ち。狡猾な戦略です。

視聴者はアリシア側の視点で観るので、このエピソードは観ていて気持ちは良くないエピソードだったのですが、戦略としては勉強になって私は結構好きです。「Season 2 #6 華麗なる駆け引き」というエピソードです。

前半のシーズンは裁判に力を入れているが、徐々に内部抗争のドラマに

前半のシーズンは時事的な裁判(軍内部での女性への性的暴行、男の同性愛、仮想通貨とか)も扱っていて裁判内容に力を入れているのですが、徐々に法律事務所内部での派閥争いのドラマになってしまいます。

他にもピーターが州知事選挙に出たりして、選挙の話題もかなり多め。選挙があるから夫のピーターと仮面夫婦を続けるという理由付けになっています。おかげでこのドラマはずっと不倫がテーマです。

このドラマの裁判は勝っても負けてもそんなに面白くないです。裁判がドラマチックに描かれていませんので、視聴者もそんなに熱を持って観られません。

「アリー my Love(Ally McBeal)」は扱う裁判が面白かったのですが、「グッド・ワイフ」は弁護士・検事の駆け引きがメイン。裁判よりも内部抗争や不倫と恋愛が軸になっています。

このドラマは映画監督・製作者として有名なリドリー・スコットとその兄弟のトニー・スコットが製作総指揮をしていますが、トニー・スコットがシーズン3の制作中に亡くなってしまいます。

シーズン4以降あたりからストーリーは裁判がメインではなくなり、選挙、内部抗争の話が多くなります。彼の死が関係あるのか分かりませんが。

一番面白かったのは独立して新事務所の設立

私がこのドラマで一番面白かったのは、主役のアリシア・フロリックと同僚のケイリー・アゴスが独立して一緒に新事務所を設立する場面。シーズン5です。

私は主役のアリシアよりケイリー・アゴスが好きです。真面目で嘘をつかず、とても好感が持てます。好青年という感じです。

その彼と今いる「ロックハート&ガードナー法律事務所」をやめて独立し、新しく自分たちの法律事務所「フロリック&アゴス法律事務所」を作ります。

アリシアは昔好きだった男のウィル・ガードナーと仲が悪くなったのと、「ロックハート&ガードナー法律事務所」でダイアンらパートナー弁護士たちにぞんざいに扱われたのと、内部抗争ばかりで疲れた事から見限って独立。

ケイリー・アゴスは「ロックハート&ガードナー法律事務所」のパートナー弁護士に昇格できず、実際に仕事をしているのは自分なのに、上司がその努力を我が物にしてしまって不満。命令されたくない。ということで独立。

独立したことで大手の「ロックハート&ガードナー法律事務所」 と、弱小の 「フロリック&アゴス法律事務所」の対立という構図になって突然面白くなります。

私はやはり弱い方を応援してしまいます。

どんどん対立して「ロックハート&ガードナー法律事務所」を負かせて欲しかったのですが、ストーリーの失速が速かったです。まぁ結局そうなるよなという方向に。

実はビンタして始まって、ビンタされて終わる

このドラマの最後(Season 7 の最後)でアリシアが勝手に弁護方針を変えます。

味方のダイアンに事前に相談してダメだと言われたのに、証言台に立ったダイアンの夫(カート・マクヴェイ、弾道検査の専門家)の調査結果を攻める方針にしてしまいます。

突然の不意打ちでの方向転換にダイアンが怒って、ダイアンは裁判中に退室。裁判後にダイアンがアリシアをビンタしてドラマが終わります。

このレビューを書くためにシーズン1の第1話を見返したら、なんとドラマ開始数分後にアリシアが夫のピーターの顔をビンタするところからドラマがスタートします。

たぶん、ビンタで始まってビンタで終わるような構成に意図的にしているかと思います。シーズン1第1話を見返さなかったら気付きませんでした。

アリシアはシーズンを重ねる毎にどんどん何もかも雑になっていき、身勝手になりすぎました。

ダイアンのビンタは視聴者からの一発でもあります。ビンタしてくれて気持ち良かったです。アリシアは本当に共感のできない主役でした。

アメリカの弁護士ってやっぱりアリシアみたいな人が多いのでしょうか。「あなたのことを気遣ってますよ」と表面上だけ相手に思わせて、本当はどうでも良い。単なるコミュニケーションのテクニックです。

いつも自分の事ばかり。自分が正しい。相手に厳しく、自分に優しく。これでは好きになる人はいないです。

アリシア役の役者(ジュリアナ・マルグリーズ)の顔がかなり強気の女性の顔をしているので、いわゆる「社会で戦う強い女性」的にはこのイメージで良いのかもしれませんが、私は人間的には好きになれませんでした。

電話が掛かってきて話を中断する場面が多すぎる

このドラマは重要な話の途中に電話が掛かってくる場面が多すぎます。

重要な話をしているのに電話が掛かってきて話を中断するということが多すぎて観ていて結構イライラします。

このドラマでは離している相手を気遣ってスマートフォンの電源を切るシーンが無かったように思います。電話が掛かってきたら終わり。もっと展開を観たいのに中断されてしまいます。

最近のドラマでは電話を使った場面展開がものすごく多いです。特にスマホが普及してからこの展開が多い。

この「グッド・ワイフ」も電話が大量に掛かってきて酷いのですが、もっと酷かったのは「殺人を無罪にする方法」というドラマです。

2016-3-2
ヴィオラ・デイヴィス (出演), アルフレッド・イーノック (出演)

「殺人を無罪にする方法」は何をしていても電話、電話、電話。電話が無いとストーリー展開を作れないのでしょう。

全体的にはまぁまぁ楽しめた。アリシアがいない続編の「グッド・ファイト」も観てみたい

楽しめた度

シーズン1~7をまとめて、全体的にはまぁまぁ楽しめたドラマシリーズでした。主役のアリシアを好きになれなかったのですが、周りの役者は魅力的でした。

法律事務所の内部抗争や恋愛ではなく、もう少し裁判に焦点を合わせたドラマの方が私の好みです。女性の主人公だとどうしても恋愛がらみの話が多くなってしまいます。

「グッド・ワイフ」には続編の「グッド・ファイト」があります。

2019-10-9
クリスティーン・バランスキー (出演), ローズ・レスリー (出演), ブルック・ケネディ (監督)

私はまだ観ていませんが、アリシアがいなくなっているようですので、たぶんもっと面白いドラマになっているかと思います。

今後観てみようと思います。

Nomeu / のめう
PCゲーマー

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