『Payday 2』レビュー - 初プレイ所感。初心者を突き放すゲーム
Payday 2 を初プレイ。前作はプレイしていない。プレイ動画を見たときにあまりにもつまらなそうだったので。Payday 2 はプレイ動画を見る限りはそこそこの出来だと感じられ、購入に踏み切った。
Payday 2 は銀行や宝石店を襲い、強盗をするゲーム。Co-op 専用で、対人戦はない。
起動した後に何をしたら良いのか分からない
早速起動してプレイしてみようと思うと、メニュー画面で何をしたらいいのか分からなかった。「SAFE HOUSE」「CRIME.NET」… どれを選択すればいいのか。初心者は何から始めればいいのか。
この部分が私にとっても、同じようにこれから Payday 2 を始めようとする人にもかなりの負担だろう。説明がないので自分でどこかからか情報をとってこなければならない。ゲームを起動するととりあえず「SAFE HOUSE に行くかい?」と訊かれるのでそれを選択すると、これが何なのかよく分からない。チュートリアルかと思いきや、そうではない。単なる操作方法の確認だけ。そこが知りたいんじゃないんだ。ゲームの流れを知りたいんだ。
結局、私がとった行動は、「CRIME.NET OFFLINE」モードでとりあえずゲームをやってみること。いきなりマルチプレイへ参加しても訳が分からないだろうと思ったので、オフラインで練習を。味方は AI が動かしてくれる。しかし、いざゲームを始めてみると、何から手をつけたら良いのか分からない。
繁華街の店の近くから始まり、宝石を盗んでくるらしいけれど…。最初は散策モードで、強盗犯ではなく一般人として店の周り、店の中を歩ける。しかし、この散策モードをどのように有効活用するのか分からない。AI は棒立ち。何もしない。いざ店に押し入っても、どれを盗めば良いのか分からない。金庫にドリルを付けたはいいが、味方 AI が何も協力してくれないので敵に囲まれて死ぬ。
仕方ないので Wiki を見た。日本の Wiki。しかし、ここでも初心者向けの説明はない。パターン化が好きな日本人にしては珍しい現象だ。しかも、「ボイスチャットなどで英語でコミュニケーションができないとつらい」と書かれている。この言葉でかなりの人がこのゲームの購入を躊躇してしまうんじゃないだろうか。
意を決して CRIME.NET へ
CRIME.NET というのがマルチプレイへの入り口だろうという予測は付く。ただ、既存プレイヤーが初心者に優しいかどうか分からない。ホスト選びは独特で、どのホストへ参加したら良いのかさえ分からない。そこで、自分でホストをして、難易度が一番低い Normal で始めたら意外とすんなりと人が集まり、初マルチプレイが始まった。
会話は一切ない。ボイスチャットをしている人もいない。レベルが高い人の後ろへ付いていき、いろいろとゲームシステムを学べた。これを何度か繰り返し、たぶん半分くらいゲームシステムが分かった。
初心者が覚えておいた方がいいこと
ちょっとここで初心者が覚えておいた方が良いことを書いておきたい。私のプレイ経験から。
- 難易度 Normal と Hard では特に怒られない。ただし、ゲーム進行上の必要な行動をしない場合はキックされる。(実は私がキックした。最後の集合ポイントにいつまでたっても来なかった人を。これと同じように、その人だけがドリルを持っているのに使わなかったりするとゲーム進行ができなくなってしまうため、キックして対処するしかない。)
- Gキーで荷物を置ける。ドリルがバッグに入っている際、置いてからでないとドリルを使えない。
- 画面中央を味方に合わせてFキーを押すと味方を呼べる。ただ、他の効果音に埋もれる音声なので気付きにくい。
- 画面中央を敵に合わせてFキーでスポット出来る。シールドを持った敵などの強い敵がいる場合、味方に伝えた方がいい。スポットした敵は透過表示される。
- 初めのうちはゲーム開始からうまい人に付いていけば OK。自分からアクションを起こさなくていい。名前の後ろの数字、「AAA [78]」の 78 がレベル。
- 敵に見つかっても別に構わない。敵に見つからないようにプレイする人もいるのだけど、そんな中で自分が見つかってしまってもそんなに気にすることではない。見つからないようにプレイするとむしろ面倒で時間が掛かる場合が多い。高難易度のミッションではどうかは知らない。
- 画面左上に達成目標が出るので、何となく理解しておく。
- 大抵の場合、ゲームの最後には集合ポイントに全員が集まる必要がある。全員が集まらないとゲームが終わらないのでこれだけは確実に行うこと。
- チャットは必須ではない。初期状態では、ホストはフィルタリングされて近場の人が見つかるので、ほとんどの場合アジア圏の人とプレイしているはず。ほとんどの人がチャットをしない。ボイスチャットをする人に一人も出会っていない。
- ただし、「come (on)」という英語だけは覚えておくこと。「come」と言っている人の元へ行くこと。集合ポイントに来ていないと「come」と言われる。この光景を何度も見た。
- 取り分は等分。一人だけ金品を集めてお金を稼ごうとしても、最後には平等に分けられるので意味なし。たぶん。
- スキルは別に何でもいい。Normal や Hard ではこれがないとダメ、あれがないとダメ、という風に怒られることはない。ただし、ゲーム進行上、持っていると楽になるスキルは存在する。でもそれは追々理解していけば OK。
- スキルポイントは振り直しが楽に出来る。
- バッグリレーという方法を一応知っておいた方がいい。バッグを拾って投げて、他のプレイヤーに繋げて行く。1つずつバッグを持ち運ぶより時間短縮になる。また、逃走時のためにバッグを脱走地点の近くにまとめておくと時間短縮になる。これをしなくても良いけれど、他のプレイヤーがやろうとしている場合は意図をくみ取ってあげること。
私も初心者なのだけど、レベルが低い人とプレイすると最後の集合ポイントに集まってくれない場合が多くてよく困った。これだけは覚えておいた方がいい。
集合ポイントは地面に白い斜線マークがある。この枠の中に入るとミッション達成。
ゲームは繰り返しが多い
店への侵入し、金目のものを集め、警官を撃つ。逃走できるようになるまで時間がかかり、逃走用の車が来たら金目のものを詰め込んだバッグを担いで車に詰め込む。Payday 2 のミッションは基本的にはこう。
金庫にドリル。
ミッションはそんなに多くないので、自分で狙ってミッションを選ばない限りは同じミッションを何度もプレイすることになる。その為、少しプレイしていると早くも作業感が出てくる。
そもそも迫ってくる警官を打ち倒すのも、Killing Floor でどこかに籠もってゾンビを撃っているのと同じような印象で作業感がある。プレイヤーはそんなに動かなくて良いし、実のところ結構暇だ。Killing Floor よりは撃っていて楽しいけれど、敵が硬いのでそんなに爽快感はない。弾薬の管理が少し大変なくらい。
1ミッションは数回も遊べば飽きてしまう。ゲームに飽きるまでの時間を引き延ばしてくれるのは、スキルツリーの存在と集めたお金で銃を買うこと。「金庫を開けるのが早くなる」「敵に気づかれにくくなる」などのスキルを習得すればプレイヤーが強くなるのでここは良いと思う。集めたお金でより強い銃を買うのも楽しくはある。
ただ、ある程度プレイしていると、効率的なプレイを目指すようになってしまい、作業感が漂う。初プレイにして既に作業感を感じてしまった。強盗にしてみたらミッション完了までは早いほうが良いので、それを目指すのは1つの目的だとは言えるけれど、それをするとゲームなのに「遊び」がなくなってくる。A したら B して、C して完了。私は面白いと感じない。
ほとんどのゲームがこうやってパターン化され得る。でも取り分け Payday 2 は出来ることが少なく、思いの外ゲームが浅く、パターン化までに掛かる時間が少ない。前作に比べると今作はゲームをずいぶん高めの価格にしてあり、相当作り込んで自信があるのかと思っていたら、そんなに何度も遊べるゲームでは無かった。
これは敵(警官) が AI であることも一要因だとは思うけれど、せっかくの Co-op ゲームなので人間とは争いたくはない。人間と対戦するなら他のゲームでいい。でも敵が AI だとどうしても経験で動き方が分かってきてしまう。そうすると AI に有効なパターンを人間が見つけてしまい、考える必要がなくなる。これが作業感に繋がる。AI の問題は Payday 2 に限らず、早めに何とかした方が良い問題かもしれない。
おわり
シューターとしては普通の出来、むしろ「普通」より少し劣るぐらい。Source Engine 臭さ(Half-Life 2 の感じ) はずいぶん感じなくなったけれど、少し近いものはある。私は F.E.A.R. 3 の Co-op の方が面白いと感じた。ただ Payday 2 は1ゲームが終わってもスキルポイントとお金が残るので、キャラクターを徐々に強くしていく楽しみは Payday 2 の方がある。
「Payday 2 は Left 4 Dead の Co-op モードが好きな人には良いだろう」とするコメントを見かけたけれど、この意見には私は賛同できない。Left 4 Dead と Payday 2 が大きく違うのは、マップを味方と先へ進んでいくかどうか。Left 4 Dead のようにみんなで協力して先に進む楽しさの方が勝ると思う。Payday 2 は1マップは狭い。また、Payday 2 はゲームシステムによってプレイヤーが効率的な動きをさせられる面があり、どうしても作業感がある。システム側から時間短縮を迫られる。
ただ、先ほど書いたとおり、プレイキャラクターを強くしていく楽しみは Payday 2 は多い。ここを楽しめるかどうかで評価が変わりそうだ。私はスキルツリーは面白いと思ったけれど、スキルポイントを得るにはレベル上げしないとならないので、結局ミッションを繰り返すことになるのがどうも…。本当はその繰り返しが楽しいのが理想的なゲーム。
経験値を効率的に得るには、難易度を高くして同じマップを短い時間で繰り返す。ミッション達成時間あたりの経験値が多いミッションを何度もこなす。これをやっている高レベルプレイヤーが多い。Payday 2 はそう何度もプレイできるゲーム内容ではなく、これをするとすぐに飽きてしまう。何度も繰り返し同じようなことをするのがつらい人にはこのゲームはお勧めできない。
私としては初心者に優しくないのが衝撃的だった。チュートリアルがない。Payday シリーズ二作目なのにチュートリアルを作っていないのは何なのだろう。全体的に作り込みが甘い感じがある。
Don't Starve のように、良い方向でチュートリアルがないのは良いけれど、マルチプレイのゲームでは他人に迷惑をかけてしまう可能性があるのでチュートリアルはあって欲しい。ミッション最後の集合場所に来ない人がいるのはチュートリアルが無いからだろう。そんなルールを初めから知らないのだから。