
私は「STEINS;GATE(シュタインズゲート)」が本当に好きなゲームなのですが、その後に発売された関連ゲームは名前は知ってはいるものの全然プレイしていませんでした。
「STEINS;GATE」はストーリーが綺麗に終わっていて、続編もスピンオフも要らないよなぁと考えていました。
Prime Video で何か観るものはないかと探していたところ、そういえば「STEINS;GATE」のアニメってどんな出来だったんだろうと観てみました。
そして「STEINS;GATE 0」と劇場版の「STEINS;GATE 負荷領域のデジャヴ」もあったのでそちらも続けて観ました。
現時点では Prime Video ではdアニメストアかアニメタイムズに加入していると観られます。
目次
「STEINS;GATE」のアニメはストーリーが分かりやすくなっているが、没入感がやや足りない
今回初めて観た「STEINS;GATE」のアニメですが、ゲームと比較すると足早にストーリーが進み、省略されているところも多いのですが、おかげでストーリーは分かりやすくなっているように思います。
その反面、ストーリーへの没入感は少ない。これは仕方がないかもしれません。ゲーム(テキスト)だと細かな情報がたくさん積み重ねられていくのですが、アニメでは放送時間の制限があります。
私は「桐生 萌郁(閃光の指圧師)」があまり好きではないのですが、アニメ版だと彼女がそんなに細かく表現されません。毒が薄まっていました。
あとあの衝撃的なシーン、まゆしぃが駅のホームでブラウン管工房の娘「天王寺 綯(なえ)」に突き落とされるシーン。ゲームをプレイしているとあのシーンは忘れられません。
『Steins;Gate』レビュー - 再プレイ。ストーリーを覚えておきたい大好きなゲーム
目がズームアップで強調されて表現された綯(なえ)の顔のカットシーン。アニメ版だと表現が弱まっています。
ゲームをプレイしていたとき、「これって綯(なえ)がわざとやったのか?」という疑問が残っていたのですが、アニメだと本当にたまたま躓いて押してしまったという表現になっています。
綯(なえ)がタイムリープをするのはアニメでは全カットされていました。岡部とのタイムリープ合戦でサスペンス的には面白いシーンです。
ただ綯(なえ)のこの一連の行動は、綯(なえ)にも表に出さない裏の顔があるという疑心暗鬼が生まれ、綯(なえ)の行動の解釈が複雑になります。アニメではストーリーをすっきりさせるためにカットしたのでしょう。
私は「阿万音 鈴羽(すずは)」がタイムトラベルして失敗するシーンが好きです。手紙の「失敗した失敗した…」のシーンです。やっぱりそんなにうまくいかないという強烈な印象を与えてくれます。アニメでも頑張って表現されていたと思います。
「STEINS;GATE」のアニメは上出来という印象です。アニメを観るのはファンだけではないので、ゲームを未プレイの人にも分かりやすくなっていると思います。



「STEINS;GATE 0」をスピンオフだと思っていたが、本編に組み込まれる内容だった
さて「STEINS;GATE 0」ですが、ゲームは未プレイで、実は私はこの作品は「STEINS;GATE」のスピンオフだと思っていました。
人気作品によくある、ストーリーの前日談か後日談を描いたファン向けの作品で、知らなくても良いような内容のものかと…。
ですが、アニメを観たら全然違いました。「STEINS;GATE」のラストシーン、「世界を騙せ、自分を騙せ」のシーンの前に諦めてしまったルートでのお話でした。
岡部(オカリン)が諦めたので「牧瀬 紅莉栖(クリスティーナ)」が本当に死んでしまった世界線です。その世界線で生きていく岡部はいつも苦しく、タイムリープはしてはいけないと自分に言い聞かせる。
全体的に重いシーンが多いです。「STEINS;GATE」の前半のように明るいシーンがあまりありません。
新しい科学者にも出会い、さらに「Amadeus(アマデウス)」というシステム上に構築されたAIの牧瀬紅莉栖に出会う。
アマデウス(モーツァルト)が登場したので、サリエリ(モーツァルトの才能に嫉妬した秀才音楽家。映画「アマデウス」は事実と異なり脚色されているようです)の話と掛けながらストーリーが展開されます。
結構前のアニメなので少しネタバレをしてしまっても良いと思いますが、「STEINS;GATE 0」の最後は「STEINS;GATE」のラストシーンに繋がります。「世界を騙せ、自分を騙せ」のシーンに戻ってくるのです。
すごい構成だと驚きました。スピンオフではなく、前日談、後日談でもなく、本編を補強する作品でした。諦めたルートなので後日談的にストーリーが展開されるのですが。
公式サイトでは「続編」と表現されています。ただ正確には「続編」ではないような気も…。「STEINS;GATE」の正史ストーリーから続くストーリーではありませんから。
Prime Video では「STEINS;GATE」の23話は実は2つあります。エピソード25となっていますが「第23話 改変版(β版) 境界面上のミッシングリンク」。
ここから「STEINS;GATE 0」に続いていき、「STEINS;GATE 0」を観終わった人は「STEINS;GATE」の本来の23話、24話を観てすっきりするという構成です。見事に繋がります。
「STEINS;GATE 0」は内容を知らなくても良いかと思っていましたが、アニメを観た後だと「STEINS;GATE」のファンなら是非観ておきたい内容になっていると思います。
まゆしぃも活躍しますし、なんと桐生萌郁も大活躍。ゲーム版の「STEINS;GATE」を知っていると桐生萌郁はどうも信頼できないのですが、しっかり仲間になっています。ブラウン管工房のミスターブラウンも。岡部以外にも焦点が当たっています。
第三次世界大戦が起きた未来の世界も少し描かれ、「STEINS;GATE」で未来の岡部から届くビデオメッセージの裏側はこのようになっていたのかと分かります。「阿万音 鈴羽(ジョン・タイター)」はこの世界からタイムトラベルしてきたのか。
まさに本編で描ききれなかったものを追加するような作品で、「STEINS;GATE」の世界をより知りたい人は観て損することはありません。
私はゲーム版の「STEINS;GATE」のプレイでは、選択肢が出たらセーブして、まずは失敗ルートを進んでゲームオーバーになってから(失敗ルートの選択肢は見れば分かります)、セーブをロードして正解ルートに進んでいました。
失敗ルートがどんなものかを見たいのです。失敗した世界線はどうなるのだろう…? そういう人にも「STEINS;GATE 0」はお勧めです。
「STEINS;GATE 0」はサスペンス色が少し強く、ミスリードを誘う場面もあります。ただ「STEINS;GATE」よりも伏線は少なくて観やすいと思います。
「STEINS;GATE 負荷領域のデジャヴ」こそがスピンオフだった
「STEINS;GATE 負荷領域のデジャヴ」も Prime Video にあったので観ましたが、こちらはそんなに面白い内容ではありませんでした。
牧瀬紅莉栖が岡部のためにタイムリープするという内容です。1時間半の映画ですので内容をたくさんは詰め込めません。
岡部と紅莉栖の恋愛要素が強く、まさにファン向けのスピンオフという内容です。後日談ですし。すごく面白いわけでもないけど、すごくつまらないわけでもない。
「STEINS;GATE」を超える作品は現れるのだろうか
私は「STEINS;GATE」はあらゆるSF作品の中で一番と言って良いほど面白い作品だと思っています。
「STEINS;GATE」ほど楽しませてくれたSF作品はありません。SF映画「TENET」とかも面白いことは面白いのですが、「STEINS;GATE」ほど没入しては楽しめない。
「TENET」は単一世界線というか世界が1つしかなく、時間の逆行がこの映画のテーマなのですが、時間が順行している人と逆行している人が同じ時間にいます。面白い設定です。時間の逆行はできるけど、タイムリープはできません。
「STEINS;GATE」以上に楽しめる作品に出会いたいのですがなかなか出会えません。
「STEINS;GATE」が発売されてから結構経ちますし、そろそろ次の名作が登場してもおかしくないと思うのですが。