以前失敗した「SoundPeats Air3」から、完全ワイヤレスイヤホンをちょくちょく調べていたのですが、低価格なのに音がお値段以上と評判の「NUARL NT01A」を買ってみました。

目次
安いのに解像度が高く、1~2段階上の価格帯の音。かなり満足度が高い
前回に続き、現在使っている「1MORE iBFree」と比べます。前回買った「SOUNDPEATS Air3」はもう使っておりません。
- 解像度
NT01A >> iBFree - 音の元気さ
NT01A >> iBFree - 音場感
iBFree > NT01A - 音のナチュラルさ
iBFree >> NT01A
「NUARL NT01A」はこの価格(3000円台)で同価格帯の完全ワイヤレスイヤホンの1~2段階上の解像度(解像感)を持ち、ドンシャリ傾向の音です。ドンよりもシャリが強く、中高音域以上が強調されています。このため、歌もので人の声が良く聞こえます。
一方「1MORE iBFree」 は基本的にはモニターライクな音に近い、周波数特性のグラフでのかまぼこ形。低音~中音が聴きやすく、高音がやや強調されています。とても聴きやすい音で長時間でも疲れにくい。
「NUARL NT01A」は中高音域以上が強調されているため、聴き始めは抜けの良い元気な音と感じられ、それと比べると「1MORE iBFree」はやや籠もった音に聞こえます。
しかし、長時間聴いていると「NUARL NT01A」は強調された中高音域以上の音によって聴き疲れしやすい。疲れてくるとこの中高音がやや耳に突き刺さってきます。
音場感(音の奥行き)は「1MORE iBFree」の方が少し勝っています。「NUARL NT01A」の方が解像度が高いのに、音場感は「1MORE iBFree」の方があるいうのは不思議な気もします。
ただ「NUARL NT01A」は解像度が高いので、音の奥行きの狭さに気付きにくいかもしれません。「SOUNDPEATS Air3」のように奥行きが紙のようにペラペラに薄いと分かる人が多いかと思いますが、「NUARL NT01A」は他の音と比べない限り気になりにくいです。
「NUARL NT01A」は少し古い製品なので在庫処分のためか、今は3000円台になってかなり安く買える完全ワイヤレスイヤホンです。前回買った「SOUNDPEATS Air3」よりも安いのに音に雲泥の差があります。
「NUARL NT01A」はこの価格帯の音ではないです。発売当初13000円ほどのものが安くなってこの価格になっているので、1~2つ上の価格帯の音です。
「1MORE iBFree」は当時8000~9000円くらいで買った記憶があります。今は3000円以下に値下がりしていますが。「1MORE」は音のチューニングにグラミー賞のサウンドエンジニアが参加しているので聴きやすい音になっているのでしょう。
「1MORE iBFree」は意外と音が良くてこれまで頑張ってくれましたが、「NUARL NT01A」が予想外に良いので交代ですかね。
もし安い完全ワイヤレスイヤホンを探している人は「NUARL NT01A」はお勧めです。
低音が足りない場合はイヤーピースのサイズを大きくする
最初イヤーピースはMサイズを付けました。私の耳には丁度良いサイズでした。それで聴いていて「低音の低い方が出てないな」「やっぱり 1MORE iBFree の方が良いかも」と思っていました。
低音は Billie Eilish の「bad guy」がテストに最適です。
「bad guy」はベースの音の動きを楽しむ曲で、重低音が出ないと楽しめません。Mサイズではモニタースピーカーと比べ、ベース音が低音の方から7割方削れているような状態でした。ローカットフィルターを嚙ましたような感じです。
低音が弱い一方で中高音は強調されているため、Billie Eilish の声は艶めかしく聞こえてきます。
でもイヤーピースが原因となっている可能性を考え、面倒臭がらずにイヤーピースのサイズをLサイズに変えてみると、「あっ、低音域の中の低い音が聞こえる」。
イヤーピースのサイズが合っていなかったようです。Mサイズで丁度良いと感じていたのですが、Lサイズにして耳の穴にひぎぃぃと詰め込んでみると遮音性と低音の聞こえ方が全然違います。
「NUARL NT01A」のイヤーピースは固めなのでMサイズだと私の場合は隙間ができてしまうようです。でもLサイズだと耳の穴が痛くなります。MとLの間のサイズが欲しい。
今回のことを利用して、イヤーピースのサイズで低音を調節する手もあります。
「NUARL NT01A」は低音が強調されてブーミーでもわっとしてしまうので、これが嫌な場合は耳からポロッと落ちない範囲で小さなサイズのイヤーピースにして、耳の穴から低音を逃がしてあげると低音のごちゃごちゃがすっきりします。
私の場合は柔らかめのイヤーピースをAmazonなどで買って付け替えた方が良さそうです。Amazonでのランキングを見ると、「SpinFit」「Comply」「final」のものが売れているようです。どれか買ってみようと思います。
「bad guy」で聴き比べると「1MORE iBFree」の方がナチュラルな響きで驚きました。そこまで選ばずに何気なく買った「1MORE iBFree」ですが、しっかりベースの音の動きが聞こえます。「1MORE iBFree」がこの低音を出せることに驚きました。意外と優秀です。
収納時にイヤーループが邪魔になる
「NUARL NT01A」には「イヤーループ」というのが付いています。
イヤホンの上面から飛び出ている取っ手のようなゴムが「イヤーループ」です。初期はMサイズで、付け替えられるようにLサイズが1セットが付属しています。
普通のイヤホンにはない特殊な構造。イヤホンを耳の穴に入れる際に、下から押し上げるようにしないとイヤーループが耳の内側の出っ張りに引っかかりません。
このイヤーループはたぶん走ったときなどに耳に付けたイヤホンが揺れるのを防ぐものかと思います。どのくらい効果があるのか分かりませんが。
収納の時にこのイヤーループが邪魔になります。
充電ケースはこのイヤーループもしっかり収納できるようにヘコみがあります。
収納時はイヤーループ用のヘコみに合わせてイヤーループを押し込まなければなりません。
イヤーループがなければ収納が楽になると思い、イヤーループを取り外しました。外しても問題ありませんでした。運動をする人はそのままにしておいた方が良いのかもしれません。
イヤホンのボタンは物理ボタンでラグがない。起動も一回押すだけ
イヤホンのボタンはタッチ式のボタンではなく、物理ボタンというのも良いところです。
下の写真でイヤホンの上側に付いている、横長の長方形がボタンです。「NUARL」と書いてある部分の真上。
タッチ式だと「タッチされた」と認識するのに時間が掛かり反応にラグがあるのですが、物理ボタンは押せば良いのですからラグがありません。
あと、起動(電源ON)がボタンを一回押すだけで良いのでとても楽です。ケースから取り出せば自動的に電源ONになるので、ボタンを押して電源ONにする機会も少ないのですが。
「1MORE iBFree」は3秒くらい長押ししないと電源ONにならないという、慎重派なデザインになっています。充電ケースがありませんからね。カバンにしまっていると何かに当たって電源ONになってしまうことを恐れたのでしょう。
一方「NUARL NT01A」は物理ボタンを長押し無しで、一回ポンと押すだけで起動します。長押ししなくて良いというのがとても楽です。ボタンの長押しは思った以上に面倒です。
「NUARL NT01A」はボタンの長押しをすると電源OFFになります。充電ケースに入れても自動的に電源OFFになります。
充電ケースはチープだが価格を考えると仕方ないか
「NUARL NT01A」の充電ケースはちょっとパカパカする感じの安っぽさがあります。
イヤホン本体にある3つの接点を充電ケースにある3つの接点と合わせるように入れて収納します。
磁石がないので、イヤホンと充電ケースとが磁石で引き寄せられて自動的にカチッとは収まりません。接点をうまく合わせられているのか分かりません。
うまく収納して充電できているかどうかは、充電ケースの上面にある赤いランプが付いているかどうかで判別します。
この上面のランプの光は弱く、分かり難いです。上の写真では現在充電中で光っているのですが、真上から見ないと光っているかどうか分かりません。
ただ「NUARL NT01A」の価格を考えると充電ケースのチープさも仕方ないかな、というところ。
新品なのにUSBケーブルのプラグに指紋が…
USBケーブルのプラグに誰かの指紋が思いっきり付いていました。
まぁこのくらいなら拭けばいいのでうるさいことは言いません。ゴム手袋をはめて箱詰めしてはいないようです。
他社の製品でもUSBケーブルだけはよく指紋が付いています。
接続は TWS Plus で左右独立可
「NUARL NT01A」は「True Wireless Stereo Plus」という接続方法が使えます。左右のイヤホンにそれぞれに独立接続して音を転送します。
これにより片方のイヤホンがもう片方のイヤホンにデータを転送する手間がなくなり、音の途切れ(音飛び)を抑制できるらしいです。
私の使っているスマホ「OPPO Reno3 A」は対応していました。上の画像では「NUARL NT01A」の横に "aptX TWS+" と表示されています。「1MORE iBFree」は "aptX" です。
今の Qualcomm のチップでは「True Wireless Mirroring」が主流となり、これの1つ前の世代の接続方法です。
音の途切れは今のところありません。
「NT01A」と「NT01AX」の違い
「NT01A」と「NT01AX」とは価格が近いのでどちらを買うか悩むかもしれません。
発売は「NT01AX」の方が早く(2018/12/14)、その1年後ぐらいに発売されたのが「NT01A」(2019/11)。
「NT01A」と「NT01AX」の違いについては公式サイトに書かれています。
NT01AXとNT01Aの違いはなんですか
異なる部分としてNT01AXには社外品のSpinFit CP350イヤーピースと布ポーチが付属しています。また、NT01AはNT01AXより再生音量が小さめにセッティングされています。その他にイヤホンに搭載されているSoCがNT01AXはQCC3026、NT01AはQCC3020となっていますが性能に違いはありません。また充電ケースがNT01AXはUSBマイクロB、NT01AはUSB Type-Cになっていますが充電時間に違いはありません。(充電ケースの表面仕上げが異なります)
USB Micro B が気にならないなら「NT01AX」の方が良いでしょう。1400円ほどする「SpinFit CP350」の S/M/L 3つが付いています。
SpinFit のイヤーピースは今はその後継版の「SpinFit CP360」が主流です。
「NT01A」は「NT01AX」よりも音量が小さくなってるようです。「NT01AX」は機器との接続時に流れる「Connected」などの音声が大きくてびっくりするという意見があったので、それを考慮して小さくしたのかもしれません。最大音量を下げる必要は無かったのですが。
布ポーチはそれほど良いものではないので気にしなくて良いでしょう。「NT01A」は布ポーチ付きのものも売っています。充電ケースもほぼ違いがありません。
ということでSpinFitのイヤーピースの有無が大きな差になっています。「SpinFit CP350」が要らない場合は「NT01A」でも良いでしょう。
まとめ。購入者に優しい NUARL が好きになった
良い点
- 価格が安くなった今、1~2段階上の価格帯の音。コスパがかなり良い
- 安いのに解像度が高い
- 低音域と中高音域以上の音が強調され、解像度の高さと相まって、元気で抜けの良い音に感じられる
- タッチボタンではなく物理ボタンで、押せばすぐに反応するのが楽
- 片方を失くしても有償補償で新品と交換できる(下記参照)
- NUARLの新製品に「トレードアップ」で有償交換することができる(下記参照)
悪い点
- モニターライクな音が好きなので、中高音域以上の強調が少し過剰
- 充電ケースがチープ。磁石でカチッと収納したかった
- イヤーループが収納時に邪魔 → 取り外してしまえばOK
- カナル型のため、耳に穴にピッタリ合わないと低音が満足に聞こえない
- 付属のイヤーピースが固めで、音を漏らさないようなサイズにすると耳の穴が痛くなる
- ちょっと古い製品なので仕方がないが、欲を言えば公式のイコライザーアプリが欲しかった
イヤホンとかヘッドフォンは同価格帯のものを買っても音質の向上があまり見込めないことが多いです。基本的には音を良くしたいなら上の価格帯のものを買わねばなりません。
そもそも完全ワイヤレスイヤホンは音を Bluetooth で転送するために音質が悪いということもあり、同価格帯のものを買うのは少し勇気が要りました。安物買いの銭失いになりそうでした。
しかし今回は賭けに勝ちました。価格が安めの完全ワイヤレスイヤホンでも良い音のものがあるじゃないかと嬉しくなりました。
前回、古い「1MORE iBFree」と最新の「SOUNDPEATS Air3」とを比較した時、「1MORE iBFree」方が音が良いというのが驚きでした。

さてこの原因は、技術が進化していないのか、「完全ワイヤレスイヤホン」自体が音質が悪いのか、SoundPeats がいけないのか。
私が考えているこれへの答えとして、主な原因は「SOUNDPEATS Air3」のようなオープンイヤー型だとカナル型に比べ音質がかなり下がって聞こえてしまうのかもしれないと考えています。音質を気にする人はカナル型を買った方が安全です。
今回「NUARL NT01A」がダメなら上の価格帯の1万円台の ANC(Active Noise Canceling)が付いているものを買おうと思っていました。
私は完全ワイヤレスイヤホンをヘビーには使わないのと、どこかに落としたり失くしたりする可能性があるので高いものは買いたくないです。
あと、有線のヘッドフォンはずっと使えるので価値がそんなに下がっていきませんが、それと違ってワイヤレスイヤホンは技術の進化によって陳腐化が早い。
NUARL はこれに対策を取っています。
- 片方だけを落としてしまった場合は「片側紛失補償」のチケットを買えば、残った片方を渡して新品と交換できる
- 「
トレードアップチケット」を買えばNUARL製品を下取りに出して最新の製品と安く交換できる
「片側紛失補償」はソニーのように購入時に加入しておかねばならない「紛失あんしんサービス」のようなものではなく、チケットを買うのは片方のイヤホンを失くしてからでOKです。
「片側紛失補償」「トレードアップチケット」はNUARL公式の「Yahoo!ショッピング店」か「楽天市場店」で買えます(何故か取り扱い品が違うので両方ともチェックしてみて下さい)。NUARL公式の「Amazonストア」では今のところ売られていないようです。
この2つはどちらも購入者にとって嬉しいです。特に「トレードアップチケット」は製品を新しいものに交換しながらずっと NUARL 製品を使うのも良いかなと思えます。
「NUARL(ヌアール)」というブランドは知らなかったのですが、Natural + Neutral を組み合わせた名前とのことです。Anker や SoundPeats と違って「MTI」という日本の貿易会社のブランドです(公式サイト)。
もちろん製品は Made in China です。代表取締役は張慶傑さんで中国の人のようです。日本の会社というか、「日本にある会社」ですね。
今回「NUARL NT01A」の価格以上の音にかなり満足でき、もはや他の完全ワイヤレスイヤホンを買わなくてもいいのですが、ANC は体験してみたいのでコスパ的に良いものがあれば買ってみようと思っています。
それこそ NUARL のANC付きのイヤホンでも良いですね。