薄っぺらい音をドンシャリでごまかし。音質以外はとても良いワイヤレスイヤホン『SOUNDPEATS Air3』
発売されたばかりの「SOUNDPEATS Air3」を買ってみました。
目次
Anker と SoundPeats で迷った
今使っているワイヤレスのイヤホン「1MORE iBFree」は旧世代のもので、イヤホン同士が有線で繋がっています。左のイヤホンの音量が小さくなる不具合が発生して故障しています。
このイヤホンはそれほど選んで買ったものではなく、失効するポイントがあって、評判が良さげだったので買っただけです。
音はそんなに悪くありませんが、良い音という程でもありません。普段使っているヘッドフォンとかと比べるのもかわいそうですが。

今回はいわゆる「完全ワイヤレスイヤホン」を買ってみたい。
Amazonで「ワイヤレス イヤホン」と検索してみると、いろいろありすぎてどれを買ったら良いのか分かりません。そこでイヤホンのランキングを見ると Anker が一番売れているようです。
今はノーブランドの中華製のワイヤレスイヤホンを買う必要はもうありません。有名どころのメーカーのイヤホンが価格の安い中華製と競えるほど十分に安いのです(ほとんど Made in China ですが)。
今回は安めのものを買おうと思い、Anker と SoundPeats のどちらかで悩みました。Anker も良かったのですが、同じ価格ですと SoundPeats の方が対応コーデックも多く、カタログスペックが良く、今回は SoundPeats の「SOUNDPEATS Air3」にしてみました。
決め手は「True Wireless Mirroring」「aptX Adaptive」に対応していること。「True Wireless Mirroring」は音の途切れが少なくなり、「aptX Adaptive」は「ゲームモード」で使うと 60ms くらいにレイテンシー(音ずれ)が下がるらしい。
ちなみに悩んでいたのは「Anker Soundcore Liberty Neo 2」。同価格帯の「Anker Soundcore Life P2」よりも Neo 2 の方が音が良さそうです。
ただ、今回は SoundPeats を選びましたが、SoundPeats の製品はAmazonのレビューにサクラが多く、そこが不安要素です。
そういえば Anker に似せていた「Aukey」の製品がAmazonから一掃されましたね。レビューにサクラを雇っていたとのことで。
SoundPeats もどうなるか分かりません。
小さくて軽くて感動した。ただ充電ケースの表面がかなり滑る
充電ケースのサイズが小さくてとても良いです。消しゴム二つ分くらいです。
こんなに小さくなったのですね。持ち運びに便利です。
充電ケース(充電器)はイヤホンを縦方向に入れるタイプ。イヤホンの棒の部分を下にして入れるようにします。
これはちょっとやりにくいです。イヤホンを横に寝かせて充電させるタイプの方が仕舞いやすいです。
充電ケースの表面が問題で、さらっとしていて、かなり滑るので落としてしまいそうです。
小さいのは良いことですが滑るのと小さいのとのコンボで落としそうになってストレス。
歩きながらイヤホンを充電ケースに仕舞ったり、取り出したりするのはやめておいた方が良いでしょう。
あと、充電ケースは丸みがあって蓋を開けると自立できず、後ろに倒れてしまいます。上の写真では蓋を開けていますが、倒れないように後ろの箱で支えています。
充電ケースを机に置きながらイヤホンを仕舞うときには手で支える必要があります。
装着感は付けているのを忘れるくらいにとても良い。オープンイヤー型の良さに気付いた
イヤホンは片方 4g とのことで、とても軽いです。付けていても忘れることができるくらいの軽さで、違和感がありません。
イヤホンはこれまでカナル型のイヤホン、つまり耳に入れるゴム(イヤーピース)があるタイプのイヤホンを使っていました。今回が初めてのオープンイヤー型のイヤホンです。
カナル型の方が遮音性が高く、周りの音を遮断できるのですが、ゴムで耳の穴への圧迫感が強い。
オープンイヤー型は圧迫感が少なく、周りの音が聞こえます。これが私には合っています。オープンイヤー型も良いですね。
私は周りの環境音が聞こえないのは不安で、外では音楽を聞こうと思いません。歩いているときに車や自転車に轢かれそうで怖いのです。
遮音性のあるイヤホンをしていると後ろから迫り来るゾンビに気付けません。映画ではイヤホンやヘッドフォンで音楽を聴いている人は危機に気付かずいつも死んでいます。
最近はイヤホンやヘッドフォンにマイクを搭載し、周りの環境音を拾ってその音を聞こえるようにしてくれるものが増えてきています。「外音取り込み」。この機能はとても良いですね。「SOUNDPEATS Air3」には付いていませんが。
本来はマイクで拾った音をノイズキャンセリングに使うのですが、逆にその環境音を聞こえるようにするのは面白い。
ノイズキャンセルと言えば「SOUNDPEATS Air3」にも「cVc 8.0 通話用ノイズキャンセリング機能」が付いているらしいのですが、説明書では言及がありません。音を聴く限り、通話時ではない音楽再生時にはノイズキャンセルされないようです。
オープンイヤー型は聴いている音楽が周りに聞こえてしまいそうだと思っていたのですが、実際は思ったよりも漏れ聞こえません。音を大きくするとたぶん音漏れします。
あと、イヤホンが小さいが故、タッチ操作のタッチ面も小さくてストレスです。
上の写真でイヤホンの背中側にある「S」と書かれている、シルバーっぽい丸い面がタッチ面です。
タッチ面はもう少し大きい方が操作しやすいです。
肝心の音は…全く褒められない。ヴォーカルが埋もれる
音はドンシャリ傾向です。「シャリ」よりも「ドン」が気になります。
キックなどのドラムが強調され、そして中高音域以上もやや強調され、中音域が相対的に弱い。これによって人の歌声が埋もれてしまっています。
歌声が入っている歌曲だと声の聞き取り難さがかなり気になります。
たぶん歌ものを聴く人が多いと思うので注意が必要です。人の声の美味しいところ(中音域)が弱いので、歌ものが綺麗に響きません。バイオリンとかも美味しいのはこのあたりの音域です。
イコライザーのアプリが使えるなら、低音域の音量を下げ、中音域の音を大きくすると良いでしょう。
あとイヤホンなので仕方がないとは思うのですが、スピーカーやヘッドフォンよりは音が薄っぺらくなります。
…イヤホンなので仕方がないと思っていたのですが、「1MORE iBFree」と比べてみると、「SOUNDPEATS Air3」は音に奥行きがほとんど感じられません。
低音も高音も音の再現が弱い。ドンシャリで強調されているのはその内側の音域です。
あれ、こんなに違う…? うーん。開放型のせい?
「1MORE iBFree」の音質は「イヤホンだしまぁこんなものかな」というレベルですが聴きやすい音で、音の奥行き(音場感)もやや感じられ音楽にノレます。ですが、「SOUNDPEATS Air3」は薄っぺらすぎて音にノレません。
好きな曲でさえ「SOUNDPEATS Air3」で聴くと何も感じられず、音が鳴っているだけというか、別の曲のように聞こえます。
薄っぺらい音をドンシャリでごまかして、何とか聴けるレベルに「ムリヤリ作った音」という印象が強い。
イヤホンでも低音がしっかり聞こえるものはしっかり聞こえます(値段がかなりお高いですが)。「SOUNDPEATS Air3」はムリヤリ低音を強調して頑張っている感じです。苦しい。
発売開始セールで4000円ほどという価格を考えると、音にこだわりがない人はこの「SOUNDPEATS Air3」に満足できるでしょう。Amazonのレビューでも星5つが多いです。
Amazonで星5を付けている人たちのように「SOUNDPEATS Air3」の音に満足できている人は、これより良い製品を買わない方が良いです。
音はかなり悪いのですが、それに気付かない方がいい。変に強調された低音を素晴らしいと思い続けていた方がいい。
そもそも音が悪いのにその音を大きく強調しても悪い音が大きくなっているだけですが、美味しい料理を知るとまずい料理を食べられなくなるように、良い音を知らない方が安上がりで済みます。
音を考えなければ、軽さと装着感はとても良いです。
「1MORE iBFree」は後継版が3000円以下ですが…ゲフンゲフン…。
まとめ
良いところ
- 付けているのを忘れるくらい軽くて小さい
- オープンイヤー型で周りの環境音が聞こえる(遮音がいい人には悪点)
- 充電ケースも軽くて小さい
- 価格が安め
- イヤホンを耳から外すと音楽の再生が一時停止となるのは便利
- 「ゲームモード」で低遅延モードにできる
- 「True Wireless Mirroring」「aptX Adaptive」対応(効果は今のところ分かりませんが…)
悪いところ
- ドンシャリ強調により中音域が相対的に弱く、歌曲では人の歌声が聞き取りにくい(イコライザーである程度は対処可能だが、イコライザーが使えない場合もある)
- 音が薄っぺらい、音場感がない
- 全体的に解像度が低い
- 小さいがゆえ、タッチ面も小さい
- 充電ケースの表面が滑る。落とす可能性大
- 充電ケースが丸みがあるので蓋を開けると自立できない。机においてイヤホンを仕舞う際には手で支える必要がある
- 人によっては連続再生時間が少ないのが気になるかも
- 人によっては充電器のバッテリーの容量が小さいのも気になるかも
買ったばかりの今は、音楽の30分の連続再生でイヤホンのバッテリーが10%減る感じです。単純計算で5時間持ちます。これは公表通りの値です。
音の途切れは今のところなく通信の不安定さは感じませんが、Bluetoothなどの通信機器が多い人混みではどうなるか分かりません。
小さいし、軽いし、高機能な「SOUNDPEATS Air3」の問題は音だけです。音が一番重要なような気もしますが…。
「14.2mmダイナミックドライバー」って何だったんだろう? ドライバーは大きい方が音が良さそうではあったのですが、この製品を体験すると単純にそうとも言えないと気付けます。
私は「SOUNDPEATS Air3」をお勧めできません。他のものを買った方が良いです。
もう一度書きますが、Amazonの星5のレビューのように「SOUNDPEATS Air3」レベルの音に満足できている人はこれより良い製品を買わない方が良いです。
低価格帯の製品の音で満足できるなら、その状態の方がお金が掛からず安上がりです。良い音を知ってしまうと基準がそこになってしまい、体が元に戻れません。
「1MORE」の優秀さに気付いたので、次買うならこのメーカーの「1MORE ComfoBuds Pro」とかも良いかなと考えています。音のチューニングに説得力があります。