LIMBO のストーリーは色々と考察されているので、それらを一応まとめておこうと思う。ただし考察そのものを重視するのでは無く、考察をするために必要となる知識を列挙したい。

LIMBO が嫌いな人もこれを読めばもう少しだけ評価が高くなるかもしれない。ネタバレをするのでプレイ後に読んだ方がいいのかも。

ちなみに私の LIMBO のレビューはこちら

『LIMBO』レビュー - 罠回避型アクションゲーム
『LIMBO』レビュー - 罠回避型アクションゲーム

考察するために知っておかなければならないこと

主人公には sister がいる

何よりもまず、実はゲームの説明が大事。たった一文なのだけどもの凄く重要。

LIMBO on Steam

About the Game

Uncertain of his sister's fate, a boy enters LIMBO

この事から、このゲームの主人公は Limbo に入ったらしく、彼には sister がいることも分かる。

Limbo とは

Limbo という言葉そのものについても確認しておく必要がある。

Limbo - Wikipedia, the free encyclopedia

In the theology of the Catholic Church, Limbo (Latin limbus, edge or boundary, referring to the "edge" of Hell) is a speculative idea about the afterlife condition of those who die in original sin without being assigned to the Hell of the damned. Limbo is not an official doctrine of the Roman Catholic Church or any other. Medieval theologians, in western Europe, described the underworld ("hell", "hades", "infernum") as divided into four distinct parts: hell of the damned (which some call Gehenna), Purgatory, limbo of the fathers, and limbo of infants.

辺獄 - Wikipedia

辺獄(英語: limbo、ラテン語: limbus 、「辺土」とも)は、ローマ・カトリックにおいて、原罪を犯したが地獄に落ちるほどでもない人間が死後に行き着くと考えられた場所のこと。

辺獄はローマ・カトリック教会の公式教義ではないが、「神学上の考えられる仮説」として残されている。なお正教会、プロテスタントなど、他教派にはこのような概念は存在しない。

Limbo は死後の世界において、地獄そのものでは無く、そこへの境界線・縁という場所。キリスト教義から原罪は誰しもが持つとして、「洗礼を受けずに、原罪を許されずに死んだ時にはどうなるの?」 という疑問から生まれたのが「The Limbo of Infants」という概念らしい。このゲームの「Limbo」はその The Limbo of Infants の事だと思われる。

※追記 2013/10

日本の Wikipedia の辺獄の説明がより分かり易く書き換わっている。

辺獄 - Wikipedia

辺獄(へんごく、リンボ、ラテン語: Limbus、英: Limbo)は、カトリック教会において「原罪のうちに(すなわち洗礼の恵みを受けないまま)死んだが、永遠の地獄に定められてはいない人間が、死後に行き着く」と伝統的に考えられてきた場所のこと。中世の西方教会の神学者たちが死後の世界について考える際に分けられたもので、いわゆる「地獄」や「煉獄」と混同されることもあるがこれらとは異なるものであり、イエス・キリストが死後復活までの間にとどまった場所(父祖の辺獄)、および洗礼を受ける前に死亡した幼児が行く場所(幼児の辺獄)と考えられてきた。

辺獄は、聖書にはもちろんカトリック教会のカテキズムにも明確に書かれていないため、カトリック教会の公式教義ではなく「神学上の考えられる仮説」として残されている。

幼児の辺獄(ラテン語: Limbus infantium または Limbus puerorum、英: The Limbo of Infants)は、洗礼を受ける前に死んだために原罪から解放されていない幼児が行きつくと考えられた場所である。

カトリック教会において、洗礼の秘跡は救いのために必要なものとされているため、原罪が天国の魂に備わる至福直観を排除するならば、洗礼の秘跡を受けた者だけが天国へ行く資格を得るのかどうか、秘跡による洗礼を受けていない人は血の洗礼(殉教者など、信仰のために死ぬ人々[7])や望みの洗礼(キリストと教会を知らずに、真剣に神を求め、神のみ心を果たそうと努力するすべての人々[7])も含め、どうなるのかが議論の的となってきた。

エンディングで地面に叩き付けられた場所

このゲームをクリアした人はエンディングの時に、主人公が窓らしきものからガラスを散らしながら飛び出して地面に叩き付けられた事を覚えていると思う。その時、「あ、これはゲーム開始時の場所だ」と思い出せただろうか。

どうやら主人公はエンディングでの場所からゲームスタートしているらしい。これがエンディングから分かることの1つ。(エンディングの動画は下の方に載せてある。)

エンディングにて振り向かない Sister

主人公が sister に近づいた時、sister が振り向かないのは彼がそこにいないから、と考えられる。または画面が暗転しただけとも考えられる。解釈自由。

エンディングクレジットの後のハエと梯子

エンディングの場面をもう一度よく見てみよう。

クレジットの後、ハエが2カ所でたかっているのが確認できただろうか。

この事から、二人とも死んだのだろうと予想ができる。また、エンディング時と比べると梯子も朽ちているか折れているのも分かる。何故こうなっているかも考慮に入れなければならないだろう。

色々な人の考察

上の知識から色々な考察ができると思う。ゲームをプレイした人による考察をいくつか見てみよう。

考察1

LIMBO - The Ending (HD 720p) - YouTube より

JimmyTheCat808:

Both brother and sister fell out of a tree house as it partially collapsed. The boy wakes up first in Limbo after dying and searches for her sister.

Giant spider represents fear.

other kids represent loneliness

rain represents depression

cogs and machine represents progress (memories tree house accident)

The glass represents both him and his sister hitting the ground, dieing.

He finds his little sister digging for the answer... he already knows it. they are both ghosts.

YouTube でコメントしていた JimmyTheCat808 さんの見解。拙訳をば。

兄妹(姉弟) は木の上の家から落ちた。部分的に朽ちていたからだ。男の子は Limbo で死後最初に目覚め、sister を探しに行く。

巨大な蜘蛛は恐れを表す。

他の子供達は孤独を。

雨は落胆を。

歯車の歯と機械は過程(木の上の家の事故の記憶) を。

あのガラスは彼と彼の sister が地面に叩き付けられ死んだのを表す。

彼は小さな sister が答えを探して地面を掘っているのを見つける… 彼は既に答えを知っていたのだ。二人とも霊だと。

考察2

こちらの動画の訳も。元の文章に色々と間違いがあり、訳しにくい。

終わりで、ガラスに衝突した後、男の子はゲーム開始時と似た場所で起き上がる。右に歩き、彼は若い女性を見つける(ゲームの説明にあった彼の sister だろう)。彼女は何かを掘っているようで、立ち上がって背を向け、ゲームが終わる。

憶測: 人は男の子と女の子が両方とも死んでいると考えている。私は男の子だけが死んだと考える。彼は車の衝突事故、それは窓(ガラス)から飛び出るような事故で死んだ。そしてまず木の上の家に向かった… 女の子がその近くにいた。女の子は単に彼の持ち物を詰めた記念物を埋めていただけ。

彼女が立ち上がって振り向かなかった理由は、単に彼女は自分の存在を感じたからだ。 [her presence は his presence(彼の存在) の間違いだろうか]

蜘蛛。Limbo は実際は現実世界で、男の子は霊だ。ゲームは霊がどのように時々世界を見るかである。

死の表現。あなたを殺そうとする奇妙な子供達…は悪魔である。

木の上の家が壊れ、2つの遺体が見られるエンドクレジットに関して。時間が過ぎ、女の子は死に、二人は再会した。

考察3

limbo ending (good or bad) より

archerskido

My interpretation upon first seeing the ending:

The boy is dead. The crash through the glass at the end was him breaking back into the world of the living. But as he approaches his sister (who is burying him), he begins to realize the truth. The sister is startled by the sudden feeling of a strange presence nearby.

Other clues that led me to this:

- The boy has white eyes (a ghost?), the girl doesn't

- The girl does not turn around after she's startled (there is nobody physically there)

拙訳。

初めてエンディングを見た時の私の解釈はこう:

男の子は死んでいる。最後のあのガラスへの衝突は、生者の世界へ彼が戻っていくものだった。しかし、彼が彼の sister(彼を埋めていた) に近づく時、彼は真実を理解し始める。Sister は近くに奇妙な存在を突然感じ、驚く。

私がこう考えた他の糸口:

- 男の子は白い目をしている(霊?)、女の子は白い目では無い。

- 女の子は驚いた後(物理的にはそこに誰もいない)、振り返らない。

まとめ

Steam Forum でも色々と考察されているので、興味がある人は是非そちらも(What did you think of the ending?)。

主に考察しなければならないのは1点。兄妹二人とも死んだのかどうか。ここが一番重要。

エンディングで彼が sister に近づいた時に、sister が振り返らなかったのは何故だろう。この場面から、エンディングで主人公が建物からガラスを割って飛び出した先が現実世界であり、主人公が霊体のような状態で sister を見に行ったとも考えられる。ただし、主人公は普通の人には見えないし、感じられないという前提で。霊(幽霊/霊魂/Ghost) の解釈が日本と違うと思われる。

そして、主人公が sister を見つけた時に彼女は主人公を埋めていた。しかしこう考えるとエンディングクレジットの後の、二人の死体の説明には別の考えが必要となる。

少し戻って、sister が本当に振り返らなかったとしてしまって良いのだろうか。その場面で画面が暗転するので、その先をプレイヤーが見ることができなかっただけではないだろうか。実は二人とも死んでおり、ただ単に Limbo にいた sister を見つけて近づいたという話なのかもしれない。二人とも死んでいるとした方がエンディングクレジットの後の映像はしっくり来る。

ちなみに、ゲームの説明の

Uncertain of his sister's fate, a boy enters LIMBO

という一文から、sister だけが事故か何かで死んでおり、主人公はその後を追って自殺して Limbo に入ったとも捉えることができるという解釈もあった。

終わり

ところで、考察している人は些細な物事を深く考えすぎている嫌いがあるとは思う。主人公の目が白いのはどうしてかを考察する人もいるのだけど、ゲーム中ではライトが無く真っ暗な場面があり、主人公の白い目がプレイヤーに彼の居場所を伝える手段となっている。主人公の白い目をより際立たせるために暗い場所作ったのでは無く、この逆の順序ではないだろうか。つまりゲームのシステム的なものだろう。

このゲームのストーリーは実は簡単なものなのだと思う。ゲームの説明が1文で終わるように。でもストーリーに不確定な要素、読み解けないものが含まれているので、プレイヤー自身がストーリーに色々と尾ひれを付けており、ストーリー全体が高評価になってしまっていると感じる。

ストーリーを高評価している人は、実はストーリーだけでは無く、「ストーリー+自分のイマジネーション」 を評価してしまっているのでは無いだろうか。ただ、色々と考察されているように、解釈の自由があって気になるストーリーだとは言える。ストーリーをうまく見せているのは間違いない。

私の感では、このストーリーの考案者は実はあまりストーリーを考えていないと思う。このゲームは Braid というゲームの模倣作品であり、その雰囲気を醸し出しているからである。もしこのゲームに感動した人がいたら、是非 Braid をプレイしてみて欲しい。もっと色々と考えられるストーリーで、ピースを組み合わせるように考えられる。Braid がパズルゲームだという事とダブルミーニングである。

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About

Nomeu

ほとんどのジャンルのゲームが好きです。特に好きなのはRPG。「Xenogears」「クロノトリガー」「ペルソナ3、4」とか。ドラクエは「V」。主人公が「勇者」ではないところが好き。ビジュアルノベルは「STEINS;GATE」「Ever 17」「AIR」が好き。

どこぞの作曲コンクール最優秀賞受賞。好きなゲーム音楽は「愛のテーマ (FF)」「Heartful Cry (ペルソナ)」「夢の卵の孵るところ (Xenogears)」「凍土高原 (Kanon)」「夜の底にて (クロノトリガー)」「Theme of Laura (Silent Hill 2)」「Scarlet (みずいろ)」「bite on the bullet (I've)」など。たくさんありすぎてスペースが足りません。

ゲーム音楽以外だと「Ballet Mecanique (坂本龍一)」「月光 第3楽章 (L.v.Beethoven)」「水のない晴れた海へ (Garnet Crow)」「Angelina (Tommy Emmanuel)」「空へ… ライブ版 (笠原弘子/ロミオの青い空)」「太陽がまた輝くとき (高橋ひろ/幽遊白書)」「スカイレストラン (ハイ・ファイ・セット)」など。

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