遺体を解剖すると違和感の連続。解剖で謎の真相に迫るステリーに引き込まれた『ジェーン・ドウの解剖』レビュー
前回に続き、ホラー映画を観ていく中で面白かったものを書き残しておきます。今回は「ジェーン・ドウの解剖」。
最初は遺体が見つかったところから始まり、よくある警察・捜査もののホラーかなと思ったのですが、遺体解剖のホラーです。珍しい。
土に埋められた女性の遺体が見つかるのですが、とても綺麗です。
女性の顔・体はとても綺麗なのですが、綺麗なのはそれだけではなく、埋められているのに体に土が全く付いていません。最初から何かおかしいという雰囲気が満載です。
この映画の主役は検死官の親子。仲がとても良い。彼らがこの遺体を解剖し、あれ何か変だな、と徐々に気付いていくのです。
遺体に違和感が満載
遺体をチェックしていくと異常な状態が見つかります。
「外傷がないのに手首と足首の関節が折れている」「手足の爪の中に泥炭が含まれている」「…舌が切り取られている」
検死官達は最初は性犯罪などの筋で考えていくのですが、どうにもおかしい。
外傷のチェックをした後にいざメスを体に入れると、なんと血が流れます。時間が経っていてこんなに流れるはずが無いのに…。
「ウェストが骨格に比べて細い。コルセットをはめていたか」「肺が真っ黒だ…。第三度の熱傷を全身に負っているぐらいではないとこうはならない」「心臓が切り刻まれたように傷だらけだ」
検死官は遺体の状態から死亡の原因を突き止めようとパズルのピースを組み合わせようとしますが、答えに到達できません。
ただ、ここまででもパズルのピースを組み合わせると、視聴者はなんとなく分かるはずです。アレかなと。
終盤がとても惜しい
解剖で徐々に真相が明らかになっていく過程には本当に引き込まれました。
解剖を進めていくにつれてラジオが勝手に切り変わったり、部屋が停電したりして、不気味な、不安な雰囲気を醸し出しているのも良かった。
ただ、肝心のホラーが惜しい。
突然廊下に何かが立っていたりしてびっくりするのですが、この手のホラー要素は普通のホラー映画でよくあるものです。
解剖でのミステリー・ホラーという面白いアイディアを映画にしているのですが、解剖で見つけたおかしな箇所の答えを導いても、怪奇現象への対処法は分からないのです。
確かにリアルと言えばリアルです。実際に怪奇現象に出会ってもその解決策を見つけられないこともあり、逃げるのも手でしょう。
映画ですから私としては解剖で解決策を見つけるのを期待していたのですが、検死官達は手に負えないと諦めます。
ミステリーとしても中途半端だし、ホラー要素も中途半端です。この映画は観た後の爽快感がありません。
何かカタルシスが欲しかった。それを考えると「死霊館 (The Conjuring)」のカタルシスは素晴らしかったです。

でも「ジェーン・ドウの解剖」の解剖ミステリーは面白いアイディアですし、解剖で謎を見つけ、パズルのピースを組み合わせていく過程は楽しかったです。
映像も綺麗で雰囲気も良かったし、父親は人が良さそうな人で好きでした。
続編を見たいです。