『Cooler Master MM710』レビュー - ハニカムシェルで53gと超軽量、基板は撥水防塵コーティング。クリックも軽く、設定ソフトも素晴らしい。普段使いにも最高なゲーミングマウス
ゲーミングマウスにして 53g とかなり軽量、センサーは PixArt PMW 3389 で、とても人気の Cooler Master の「MasterMouse MM710」を買ってみました。
今回買ったのは白でグロッシーなモデルです。マットホワイトとグロッシーホワイトで悩みましたが、グロッシーホワイトにしてみました。
このマウスを買おうと思っている人はマットかグロッシーかで悩むと思いますので、下で私の意見を書いておきました。どっちの方が良いと断言できず、一長一短です。
製品説明には書いてありませんでしたが、マウスソール(フィート)が1回交換できるように付属していました。
目次
使ってみてのレビュー
53g はかなり軽い
これまで軽量なタイプのマウスをいくつか使ってきましたが、「Cooler Master MasterMouse MM710」の 53g はその中でも一番軽量です。「Razer Viper」が 69g、「G-Wolves Hati HT-M」が 60g。


意外と手の感覚は鋭く、10g ほどの差であって気付けます。
やはり軽いマウスは良いです。FPSゲームなどで後ろを振り返るとき、マウスが軽いと「マウスを動かすのが面倒だなぁ」という意識・ハードルが減ります。
私はFPSゲームで後ろから撃たれていても面倒で後ろに振り返らないときがあるのですが、そういう面倒臭がりの人には軽いマウスを是非お勧めしたいです。後ろは振り返った方が良いですから。
よくマウスが重い方が安定するという人がいますが、おそらくハイセンシティビティの人でしょう。ミドルやローセンシティビティならマウスが軽い方がマウスを振り回せて良いです。
あと軽いと初動(マウスの動き出し)が楽です。重いとどうしても物理的に初速が遅いです。
一度軽いマウスを使うと重いマウスに戻れません。
被せ持ちにはハニカムシェル構造が涼しい
ハニカムシェル構造はマウスの重さを少しでも軽くするためのデザインなのですが、マウスの中に風が通ってマウスを持つ手が熱くなりません。
これは被せ持ちの人にしか分からないかもしれませんが、マウスを持つ手が涼しいというのはかなり利点です。
被せ持ちはマウスと手が触れている面積が大きく、夏は手が結構熱いです。冬はマウスが冷たいため、温かい手で触れると結露してマウスがちょっと濡れたりします。
ハニカムシェル構造だとマウスと手が触れる面積が減り、こういった不満が減ります。
ハニカムシェル構造でも内部が撥水・防塵
ハニカムシェル構造のマウスは増えてきていますが、その穴の中にジュースをこぼしたときは故障してしまうんだろうなと気にしていました。ホコリもマウス内部に溜まっていきますし。
「MM710」は基板・回路に撥水防塵加工がしてあるようです。ただしスイッチとエンコーダーの部分はコーティングすると性能が落ちるとのことで、コーティングされていないようです。
上の画像の赤い部分がコーティングされていないところです。
でも大部分にコーティングがあるため、他のハニカムシェル構造のマウスと比べると「MM710」は耐久性のあるマウスです。たぶんジュースをこぼしてもすぐに水で洗って乾燥させれば大丈夫でしょう。これはとても良いです。
マウスの形状は掴み持ち~被せ持ち可
マウスは小さめです。他のマウスと比べると分かりますが、マウスの全長(縦の長さ)が短めです。
左から「Cooler Master MasterMouse MM710」(縦x横x高さ: 116.6 x 62.6 x 38.3 mm)、「Razer Viper」(127 x 66 x 38 mm )、「Logicool G703」(124 x 68 x 43 mm)。サイズは公表のデータです。
「MM710」はマウスが縦方向が短めなので基本的には小さめのマウスが好きな人向けではあります。
ですが、被せ持ちもギリギリ可能です。「Razer Viper」はマウスが長くて盛り上がりのない形状なので被せ持ちが全くできませんでしたが、「MM710」は尻上がりの形状なのでマウスが短くてもギリギリ被せ持ちできます。
私は「半被せ持ち」というような感じで持っています。指は全てをべたっとマウスにくっつけられませんが、マウスの背の部分に人差し指と中指の付け根を当てて、手の重さを預けられます。尻上がりの形状は被せ持ちする人には良いです。
被せ持ちするには「Logicool G703」や「Razer DeathAdder V2」タイプのもっと盛り上がった形状の方が良いのですが、「MM710」はそれほど悪くありません。
ただマウスが短いので被せ持ちだと手首がマウスパッドや机に付いてしまいやすいです。手首が手のひらの下部が付くのが気になる人はもっと長いマウスを選んだ方が良いでしょう。
クリックは浅く軽い、ホイールも軽い
クリックは「Razer Viper」よりも浅く軽いです。「Logicool G703」よりはやや深い。
「MM710」は指を乗せると指の重さでクリックが半押しというかクリックのプレートが 1/3 くらい下がった状態になります。残りの 2/3 を力で押す感じです。クリックが軽くてとても良いです。
クリック音は少し大きめ。
ホイールは軽く、回転の区切り(ノッチ)が狭い(角度が小さい)。このため、連続してホイールを回転させられてとても良いです。ただ区切りが狭いため、細かなホイール操作が重要なゲームではちょっと使いにくいかもしれません。
「Logicool G703」はノッチ感(カタカタ感)がないホイールですが、「MM710」はカタカタ感があります。
私は「MM710」のホイールは結構好みです。「Logicool G703」だとノッチ感がなくてホイールを狙ったところで止めるのが大変ですが、「MM710」はしっかりカタカタと動くので回転を調節しやすいです。ノッチ感がないホイールはブラウザなど普段の利用では便利です。
ホイールを右に倒すとホイールクリックになる
これは初期不良なのかどうか分からないのですが、ホイールを右側に倒せて、倒すとホイールクリックになります。
最初は「あれ、チルト付きだっけ?」と思ったのですが、ホイールは左には倒せません。
なのでたぶんこういう構造のマウスだと思います。
ホイールクリックを使う人にはこのデザインは意外と良いのではないでしょうか。ホイールを真上から押し込むのは結構力が要るのとホイールが回転しないように注意しなければならないため、右に倒す方が楽です。
ケーブルが柔らかく軽い
ケーブルはパラコードで、柔らかくふにゃふにゃタイプです。
「Razer Viper」より柔らかいです。それに「MM710」の方がケーブルがやや軽い感じがあります。ただ少しだけ太めです。
マットを買うか、グロッシー(光沢)を買うかを悩んだ
「MM710」にはマットタイプとグロッシータイプがあります。白色よりも黒色の方がマットとグロッシーの違いが写真で見えやすいです。
今回はグロッシータイプを買ってみました。
マットにするかグロッシーにするかで結構悩みました。マットはAmazon限定のようで、グロッシーが通常版です。
マットはちょっとおもちゃっぽくて安っぽく見えますが、かといってグロッシーが高く見えるかというとそうでもありません。
結局は見た目ではなく実際の使用感で決めることになります。
日本のAmazonではマットのレビューがほとんどですので、海外のレビューをいくつか読んでみましたが、「グロッシーが売っていなかったからマットを買ったけど、グロッシーが欲しい」「グロッシーの方が掃除しやすくて良い」というコメントがあり、こちらを選んでみました。
では実際に使ってみた感想を。
確かにグロッシーだと表面がつるっとしていて掃除しやすいです。マットタイプはよくあるシボ加工表面で細かなでこぼこがあります。でこぼこに汚れが付いたときにちょっと掃除しにくいですが、そこまで大変ということでもありません。でもグロッシータイプの方が掃除はしやすいでしょう。
購入前のグロッシーは指が少し滑りやすいのかなと思っていたのですが、実際に使ってみると指がペタッとくっつく表面でした。指は滑りません。
グロッシーでもマウスの裏側などはマット表面です。これを触ってみると、マット表面はさらっとした感触があり、汗などでも指がべたつきません。ただマット表面は小さな凸凹によって指との接触面積が少ないため、指が少し滑りやすいです。
グロッシー表面にはさらさら感はありません。誰でも何かしらこんな感じの表面のものを持っていると思いますが、本とかマンガとかの、つるっとしたカバーの表面に似た感じです。あれを触るか思い浮かべると想像しやすいでしょう。スマホの裏側よりは滑りません。
グロッシー表面は強く握ると指が吸着して滑らなくなりますが、マット表面は強く握っても滑ります。
私の感覚としては、通常時はグロッシー表面の方が指がペタッとくっついて滑りにくい。ただし、汗や油が表面に付くとマット表面よりも指が滑りやすい。汚れが付くとベタッとして指触りが悪い。
顔をよく触る人は手に皮脂が付いていますので、グロッシー表面は相性が悪いでしょう。ポテチを手で食べたりする人も。私のように、よくエタノールでマウスを拭いている人はグロッシー表面は合うかもしれません。
逆にあまり掃除が好きでない人は、マット表面ならそもそも汚れが付きにくいため、こちらの方が合っていると思います。
あと指がかなり乾燥しているとグロッシー表面でも指が滑ります。マット表面でも指が乾燥していると滑り易くなるかと思います。
「Logicool G703」のような表面だと指が乾燥していてもそれほど滑らないのですが、「MM710」はマットでもグロッシーでも指の乾燥具合によって指の滑り具合が結構変わります。
指が乾燥しやすい人はこのマウスは使いにくいかもしれません。ある程度水分がないとグロッシー表面で指の吸着が悪くなります。
グロッシーが良いかマットが良いかはこちらの方が良いと断言するのが難しく、結局好みによって選ぶべしということになってしまいます。
通常時のマット表面の指の滑りやすさが気にならない人は、マットの方が良いでしょう。グロッシー表面は指がペタッとくっつく感覚が嫌いな人はやめておいた方が良いです。たぶんマットの方が万人向きだと思います。
ちなみに、マット、グロッシーの他の要素として、「RGBモデル」もあります。光るタイプです。レビューを読むとこの「RGBモデル」はマウスの風通しが塞がれてしまうとのことです。私は光らせる趣味がないので選びませんでした。
設定ソフトが素晴らしい
「MM710」の設定ソフトの出来が素晴らしいです。
他社の設定ソフトでもDPIの変更を割り当てられるものがありますが、Cooler Master の設定ソフト(MasterPlus)はかなり細かく設定できます。
これは感動しました。予め決めておいたDPIの数値のどれにするかが設定できますし、DPIを上下させることもできますし、通常のようにサイクルにもできます。
プロファイルもサイクルできたり、決まったプロファイルに変えられるように設定できます。すごい。ちなみにプロファイルはエクスポートもインポートも個別にできます。
連射にする設定も簡単です。秒間何回の連射にするかも設定できます。
ちなみに、ホイールの手前のボタンはデフォルトで「DPIサイクル」になっていて変えられませんが、これは「マウスコンボ」をオフにすると変えられるようになります。
マウスコンボは「シフト」機能です。シフトボタンを押しながら他のボタンを押すと別の機能を割り当てられる機能。
この設定ソフトでは現在(Ver 2.0.6)マウスコンボの機能を割り当てるボタンを選ぶことができず、これがホイールの手前のボタンに割り当てられているようです。
このため、ホイールの手前のボタンの機能が切り替えられなくなっています。そこで上のスクリーンショットのように「マウスコンボ」をオフにすると、他の機能を割り当てられます。
Debounce Time の設定も可、表面のチューニングも
設定ソフトが本当に細かく設定できて良く出来ています。今度は「パフォーマンス」タブの紹介です。
左下に「角度のスナッピング」があります。言葉は分かり難いですが、よくある「直線補正」のことで、ON・OFF を選べます。
ただし、「MM710」はそもそも直線補正に対応していません。直線補正は無くて問題ありません。OFF にしておきましょう。「角度の調節」はたぶん「角度のスナッピング」の補正の調節です。
「離昇距離」もあります。これは Lift Off Distance の設定。訳さないでカタカナとか英語の方が嬉しいです。低・高しかありませんが選べるのは良いです。
画面の右側にある「ボタン反応時間」は「Debounce Time」です。「G-Wolves Hati HT-M」の設定ソフトにもありました。

クリックが連打にならないようにする制限時間。これを長めに設定するとチャタリングなどの誤作動を防げたりします。
ただしゲームでは短くした方が良いでしょう。通常は 12ms で、これでも人間にはできない連射速度です。ですが、マウスは短時間でクリックの連射をしたかどうかを常にチェックしているため、これを最小にした方がマウスのクリックの遅延が少ないらしいです。
あと、「表面チューニング」はマウスを使う場所の表面のチューニングです。
左クリックを押しながらマウスを動かすと自動的にチューニングしてくれます。チューニングは何個も保存でき、切り替えられます。
設定ソフトは常駐の必要なし
Razer の「Razer Synapse」とは違い、アカウントを作ってログインする必要は無く、設定ソフトを常駐させる必要も無く(マウスのオンボードメモリに保存)、個人情報を提供する必要もありません。
素晴らしい。インターネットでサーバーとは通信していて、ソフトのアップデートをチェックしているみたいです。マウスのファームウェアのチェックもしていて、ファームウェアの更新もこの設定ソフトで行いました。
「MM710」を買ったばかりの人はたぶんファームウェアの更新が必要だと思いますので、忘れずに更新しておきましょう。
総評 4.7/5
良いところは、
- 53g でとにかく軽い
- ハニカムシェル構造で涼しい
- 基板が撥水・防塵コーティングされている
- ゲーム用としてセンサーが良い部類(PixArt PMW 3389)
- マウスが小さめだが、半被せ持ちが可能
- ケーブルがふにゃふにゃ
- クリックが軽め
- 設定ソフトの出来が素晴らしい
悪いところは、
- 購入時にマウスの表面をグロッシーかマットかで悩ませる
- 特にグロッシー表面は、指の乾燥具合によって指の滑り具合が変わる。指の乾燥具合を気にしなくてはならない。指が乾燥しやすい人は滑ってしまって扱いづらいかも
- ホイール手前のボタンはが押し込みがちょっと深い
- 被せ持ちにはもっと大きいマウスがいい
- マウスのクリック音が少し大きめ
- ハニカムシェル構造の弱点で、マウス内部にほこりが溜まっていってしまう
人によっては無線でないこともマイナスポイントかもしれません。これで無線だと最高ですね。
完全な被せ持ちができませんが、「半被せ持ち」ぐらいの掴み方ができますので、そこまでのマイナスポイントではありません。
マイナスポイントとしてはグロッシータイプのマウス表面は指の乾燥具合で指の滑りやすさが変わるところ。乾燥していると指が滑ってしまい、指の乾燥具合を気にしなくてはなりません。グロッシー表面に指がピタッとくっつくには少し水分がなくてはなりません。
マットタイプはさらっとしているため、そもそもちょっと指が滑りやすい表面かと思います。なので指の乾燥具合がそれほど大きく影響しない可能性があります。マットタイプの方が万人向きで扱いやすいでしょう。
Amazonのレビューで「集合体恐怖症の人は見た目が気になるだろう」とあって、これには笑ってしまいました。蓮コラですね。考えたこともなかったのですが、どうなんでしょう? 私も蓮コラは苦手ですが、ハニカムシェルデザインは気になりません。
このマウスは軽くてゲーム用としても良いセンサーを積んでいるのでお勧めです。スイッチも定評のあるオムロンスイッチです。
私は「Razer Viper」よりもこの「MM710」の方が好みです。「MM710」は「Logicool G703h」よりも「G403h」の価格に近く有線なのでの比較対象となりますが、この2つから1つを選ぶならかなり悩みます。
「G403h」はクリックが浅く軽く、被せ持ち形状。ただし 87g は「MM710」の 53g から見ると重い。ハニカムシェル構造に利点が見出せず、重さが気にならないなら「G403h」の方がクリックが浅くて良いでしょう。ホイールにノッチ感が欲しかったり、小さなマウスが好きだったり、被せ持ちが嫌なら「MM710」です。
もしどのマウスを買うか悩んでいる人がいたら是非この「MM710」を試して欲しいです。軽量ということが目立ちますが、他の部分も良いところが多いマウスです。
ゲーム用ではなく普段の利用でも軽いマウスは楽です。軽いマウスを探している人は「MM710」はかなり良い候補になるでしょう。軽いだけのマウスは他にもありますが、設定ソフトの使い勝手など全体を考えるとかなりお勧めです。