『Razer Viper』レビュー - マウスが低くて被せ持ちできない。つまみ持ちの人には良いゲーミングマウス。個人情報を提供しないと設定ができないので注意
Razer のゲーミングマウスで軽量な 69g、オプティカルマウススイッチ搭載の「Razer Viper」を買ってみました。
以前買った「G-Wolves Hati HT-M」と比べると付属品の少なさに驚きます。

でもUSBプラグに保護パーツが付けてあるのとかは良いですね。
目次
使ってみてのレビュー
「Logicool G703」や「G-Wolves Hati HT-M」と比べながら書いていきます。
マウスの表面が少し滑る
マウスの左右クリックの表面は、汗などが付きにくいように細かなでこぼこが加えてある表面(シボ加工表面)です。最近よく見ますね。汗や汚れが付きにくいのは良いのですが、少し滑ります。ちょっとぬめっとしたような感触です。
マウスの側面は滑りにくいように大きめのでこぼこで表面が加工されています。こちらはゴムっぽい感触がしますが、柔らかくはなくゴムなのか分からない堅さです。
滑り止めとしては機能はしているのですが、こちらも指がやや滑ります。全体的にホールド感が弱く、指が滑るのがちょっと気になります。
「Logicool G304」の側面はかなり滑りましたが、あれほどは滑らないもののそれにちょっと近い感覚があって、滑らないように力を入れてマウスを握ってしまいます。

よく見ると手のひらが当たる面の加工は左右クリックの部分の表面と加工が違い、もっと細かなでこぼこなのか、でこぼこが低いのか、わずかにざらつきのある表面です。この表面はぬめっとしていなくて気持ちいいです。
69gは軽いはずだが、マウスが滑るせいか少し重く感じる
「Razer Viper」は軽いゲーミングマウスの部類に入ります。69g。
53gなどもっと軽いマウスもあるものの、有名どころのゲーミングデバイスメーカーが出しているマウスとしては「Razer Viper」はかなり軽いです。
ただ私は「G-Wolves Hati HT-M」で 60g を体験してしまっているので、69g にそれほど感動はありません。「Logicool G703」を持つと「以前はこんなに重いマウスを使っていたのか」と驚きますが。

「G-Wolves Hati HT-M」の 60g と「Razer Viper」の 69g は違いが分かります。「Razer Viper」は少し重い。
「G-Wolves Hati HT-M」は持つ度に「軽いな」と思うのですが、「Razer Viper」はそこまで軽いとは感じません。マウスが少し滑りやすいためか、想像よりも少し重く感じます。
まだ重いマウスを使っている人は「Razer Viper」を使ってみると「羽根のように軽い!」と驚くことでしょう。一度でも軽いマウスを持つと重いマウスには戻れないのでご注意を。
マウスが軽いとFPSゲームでは視点を大きく変えるのが億劫ではなくなります。私は後ろから撃たれていると分かっても「後ろを向くのは面倒だなぁ」と感じて振り返らないことがあるのですが、軽いマウスにすると面倒さを感じにくく、後ろを振り返れます。
クリックは深め
クリックはちょっと深いです。「Razer Viper」は「Logicool G703」よりもクリックにちょっと力が要り、押し込みも深く、「G-Wolves Hati HT-M」に似ています。「G-Wolves Hati HT-M」よりはちょっと浅いですが。
クリックの軽さ、浅さは「Logicool G703」の方が良いです。
「Razer Viper」はオプティカルマウススイッチというのを使っているようで、赤外線でクリックを検知するため、マウスをクリックしてからのラグが少ないとのこと。「従来のマイクロスイッチよりも3倍速い」という謳い文句です。
オプティカルマウススイッチの利点として、従来のマイクロスイッチとは違ってチャタリングが発生しないようです。
ラグが少ないのは良さそうですが、クリックがちょっと深いのは気になります。ラグが少ないのをあまり体感できませんが、ラグが少なくなっているなら嬉しいです。
薬指側のサイドボタンは押せない
「Razer Viper」のサイドボタンは出っ張っていません。押し間違いがなくて良いというメリットもありますが、出っ張りがないため手探りでボタンを探すことができず、サイドボタンの位置を覚えておかないと押せません。
サイドボタンを押す時はマウスの形からちょっと奥の方にへこませるように押し込まなければなりません。これは普通のマウスのサイドボタンと違い、出っ張っているボタンを平らにするようにボタンを押すのではなく、平らをへこませるようにボタンを押すのです。
サイドボタンはちょっと押しにくいです。押し心地はそんなに悪くないのですが。
このマウスは左右対称型のため、左利きでも右利きでも使えます。サイドボタンも両面に2個ずつ付いています。
私は右利きなので右手でマウスを持つと、薬指の第1関節あたりに右側の奥のサイドボタンがきます。サイドボタンが出っ張っていないのはここで役に立ち、マウスを持つときの邪魔にはなりません。
しかし、うまく押せません。
マウスを強く握り込むようにするとやっと右側の奥のサイドボタンを押せます。でもちょっと持ち方を変えると、薬指の第1関節がボタンからずれて押せません。さらには忙しい場面では間違って押してしまうことも。自分が思ったように押せないのがもどかしい。
Amazonのレビューでは薬指側のサイドボタンは誤爆(誤クリック)しないと書いている人がいますが、おそらく「つまみ持ち」タイプです。「被せ持ち」「掴み持ち」タイプの持ち方だと誤爆します。
設定から薬指側のサイドボタンを無効にしていますが、力んだときに押してしまってその感触にいつもびっくりしてしまいます。
ちなみに手前側のサイドボタンはどこにあるのか分からず、薬指や小指で全く押せません。ボタンが存在しているのは分かっていますが、出っ張っていないので直感的に押せません。位置を探ってもどこにあるのか分からないです。
右利きでも左利きでも、薬指側のサイドボタンは押せないと思っていた方が良いでしょう。ちょっともったいない形状です。
マウスソールが大きくて安定感があるが、持ち上げるときに吸着力を感じる
動かしてみて驚いたのは、マウスの動きが滑らかなこと。マウス裏側のソール(フィート)が大きく、接地面が大きいがゆえに、滑らかな動きです。
「Logicool G703」や「G-Wolves Hati HT-M」とソールを比べてみましょう。
マウスソールの面積はマウスによって結構違いますが、「Razer Viper」は面積が大きく、それを手で感じ取れます。
「Razer Viper」を動かした後に「G-Wolves Hati HT-M」を動かしてみると、ソールの接地面が少ない時の感覚が分かります。接地面が大きい方がマウスの動きがスムーズ(スムース)です。
ただ一方でちょっとぬるっとした動きに感じます。
マウスを持ち上げるときに、ソールがマウスパッドと静電気でくっついているような、または真空が発生してくっついているような、そんな吸着している力をわずかに手に感じます。
ゲームでは気にならないと思います。マウスを使うときに平らな表面で使わなければ感じないでしょう。布のマウスパッドとかだと感じないかも。
逆に平らな表面のテーブルとかで使う場合は分かってしまうでしょう。マウスを持ち上げるときにわずかに引っ張られます。
マウス裏側のボタンは誰が使うんだろう?
マウス裏側にある「DPI STAGE」は DPI の設定に合わせて光ります。その下にあるのが DPI 切り替えボタンです。最初はこれがボタンだと気付きませんでした。
マウスの設定ソフトを使うとこのボタンを DPI の切り替えではなく、他の機能に割り当てることもできます。ですがマウスの裏側のボタンなので押すタイミングがありません。
うーん。不思議な位置のボタンです。DPIの切り替えをする人はもっと頻繁に切り替えをしたいでしょうからマウスの裏側では不便ですし、DPIの切り替えが要らない私のような人からすると裏側のボタンは押せない。
たぶん試合の合間とかのちょっと暇があるときに DPI を切り替えるような人のためのボタンでしょう。「今日は 1600 だとちょっと調子悪いから 1650 かな」とか。普通の人には使えません。
あ、たまにしか使わないアプリケーションをこのボタンで起動するのには良いのかもしれません。
マウスは高さが低くて被せ持ちができない
形状は「高さが低い」というのが第一印象です。被せ持ちができません。手が小さい人向け、ちょっと小型のマウスがいい人向けのサイズです。
「G-Wolves Hati HT-M」は「Logicool G Pro Wireless」に似た形状で、「Razer Viper」は「Logicool G703」よりはこちらに似ています。
ですが、「G-Wolves Hati HT-M」よりも高さが低く、べたっと指も手のひらもマウスに付ける「被せ持ち」ができない高さで、「掴み持ち」になってしまいます。「Razer Viper」は「つまみ持ち」「掴み持ち」タイプの人に適しているでしょう。「被せ持ち」はできません。
実はこれがちょっと誤算で、「Razer DeathAdder」は大きなマウスで「被せ持ち」で手がピッタリ吸い付くというとても良い形状だったのでそれを「Razer Viper」にも期待していたのですが、形がかなり違いました。
指を乗せるところはくぼんでいて似ているんですけどね。
丁度良い写真があるのでここで書いておきますが、マウス中央のクリック面(板?)との大きな溝が気になります。ここにホコリが溜まったり、ここからホコリがマウス内部へ落ちていき、掃除しにくいです。溝は極力減らして欲しいです。
たぶんここに溝というか板の区切りがあるとクリックに必要な力を少なくできるのだろうと予想しているのですが、他のマウスのようにもっと小さな溝にして欲しいです。
余計なボタンはなくしてホイールの手前にボタンが欲しかった
「Razer Viper」には実用としては使えないボタンがいくつかあります。薬指側のサイドボタン2つ、マウス裏側のボタン。
これらのボタンはなくして、ホイールの手前にボタンが欲しかったです。
私はゲームではなくて普段の操作でホイールクリック(ミドルクリック)を多用するのですが、ホイールのクリックはあまりしないようにしています。
多くのマウスでホイールは壊れやすいこと、押し込むときにホイールが回ってしまってクリックしにくいことが理由です。
ですから普段はホイールの手前のボタンがあるマウスを使い、これをホイールクリックに割り当ててとても便利に使っています。
「Razer Viper」にはホイールの手前のボタンがありません。そこがかなり惜しい。最近はホイールの手前にボタンがあるマウスが増えているので、他の人もこのボタンを何かに割り当てて使っているのでしょう。
「Razer Viper」のホイール周りはちょっと珍しい形をしています。
ホイールのおくに溝があるマウスは多いと思いますが、「Razer Viper」はホイールの手前にも溝があります。溝の中にホイールがある、というような形。この溝があるとホイールを手前に回しやすいです。
ホイール手前のボタンが要らない人には良いデザインなのでしょう。
ちなみにホイールは少し重め。ノッチ感はあるけど連続してホイールを回せるぐらいに弱く、ホイールを回し始める最初がちょっと重い、という感じ。ゴムっぽくはなく、プラスチックのような軽くて堅い感触です。
「Logicool G703」のようなスルスルっとしたホイールではないです。「Razer Viper」は普段の利用ではちょっと重くて辛いです。
ケーブルは柔らかくて邪魔にならない
「Logicool G703」はケーブルが堅いです。上の写真のように円を作って形状を保てます。「Razer Viper」はふにゃふにゃタイプ。
ただ「G-Wolves Hati HT-M」よりもやや堅いです。この柔らかさなら十分だとは思いますが。
「G-Wolves Hati HT-M」と「Razer Viper」のケーブルをよく見ると、編み込みの太さ・細かさが違います。こういうところで少し高級感を感じます。
ケーブル自体は「Razer Viper」の方がやや細いです。
設定ソフト「Razer Synapse 3」の「ターボ」が面白い
Razer のデバイスの設定ソフトは「Razer Synapse 3」です。直感的に操作でき、悪くないです。ちょっと必要なクリック数が多いかなとは感じますが。
面白いなと感じたのは「ターボ」という機能。
「ターボ」は設定したボタンを押している間、連打してくれる機能です。1秒間に1~20回連打できます。
これは使いようによってはとても便利な機能です。使ってもいいのか迷うくらいです。
真っ先にFPSゲームでの銃の連射とかを思い浮かべてしまいますが、RTSゲームでも使えそうです。MOBA・RTSゲームではクリックして移動するタイプが多いと思いますが、移動の時に目的地を少しずつ変えてクリックをしまくるでしょう。
その場合に「ターボ」を使って左クリックを押しっぱなしにして、クリックを連打してくれるようにすると便利かもしれません。
うまい使い方を考えるのも面白いです。MMORPGなどでも何か便利な使い方がありそうです。
注意点としては、通常は左クリックに「ターボ」を設定できません。これは設定ソフトで理由が表示されますが、マウスには「左クリック」機能が必ず必要で、他のボタンに「左クリック」を割り当てて「左クリック」が2つ以上ある状態にするとマウスの左クリックを弄れるようになります。
上の状態だと「左クリック」機能が二つあり、マウスの左クリックを弄って「ターボ」も加えられます。
LOD(Lift Off Distance)を変えるには
「Razer Synapse 3」では通常は LOD(Lift Off Distance)を変えられません。
ですが、「較正」で Razer のマウスパッドを何か追加すると設定できるようになります。
上は「Razer Sphex V2」をマウスパッドに追加した状態です。これだと「リフトオフ距離」の設定が表示されます。
自分が使っているマウスパッドに似た Razer のマウスパッドを追加すればOKです。
「Razer Sphex V2」はプラスチック系のマウスパッドです。
Razer のソフトウェアは個人情報を収集しているので注意
Razer のソフトウェアは個人情報を収集します。
「Razer Synapse 3」をインストールするときにファイヤーウォールが感知して気付きましたが、Steam の steamcmd.exe を使っていました。
何故だろうと見てみたら、所有しているゲームとウィッシュリストを調べているとのことです。
どういった情報が収集されるかは「Razer Central」の「プライバシーセンター」で見ることができます。「Razer Central」は「Razer Synapse 3」のタスクバーアイコンを右クリックするとメニューから簡単に起動できます。
「Razer Synapse」の項目を見ると、ボタンの割り当てやマクロの設定、ライティング、電源、OS、使っているデバイスのシリアルナンバーなど、色々と収集していると書かれています。
「Razer Cortex」は持っているゲームや、ウィッシュリストを収集し、ウェブサイト上で価格の比較情報を表示するために利用するとのこと。
かなり色々と個人情報が収集されます。気になる人は Razer のソフトを使わない方が良いでしょう。常時起動しているとゲーム中の入力も読み取って収集するものもあります。
そもそも Razer のマウスは Razer のアカウントを作って設定ソフトからログインしないと設定ができないので、アメリカでは大変不評です。インストール時に利用規約があって、情報収集を後から拒否はできません。嫌な場合はアンインストールするしかありません。
「Razer Viper」はオンボードメモリがあり、こちらにボタン設定などを書き込んでおけます。これによって「Razer Synapse 3」を常時起動していなくても OK です。
ただ、Amazon でのレビューによると、ライティングの光り方の設定はメモリに書き込まれないようです。私はライトはオフにしてしまうので問題ありませんが、個人情報が気になる人は注意しておいた方が良いでしょう。
Razer の設定ソフトはWindowsの起動時にサービスとして自動実行されますので、アイコンからソフトを終了させただけだとまだ裏側で動いています。設定ソフトの自動実行が必要ない場合はサービスを無効にしておきましょう。
総評 3.5/5
「Razer Viper」は全体的には平均点を超える良い製品だと思いますが、マウスを握るときに指が少し滑ること、滑るためマウスが少し重く感じること、薬指側のサイドボタンが自由に押せないこと(むしろ邪魔)、クリックが浅くないこと、被せ持ちができないこと。これらがマイナスポイントです。
あとマウス自体ではないですが、付随するものとしてマウスの設定ソフト「Razer Synapse」が個人情報の提供をしないと使えないというのもマイナスポイント。
良かったところは、69g でマウスが軽い方だということ、ケーブルが柔らかくてマウスを動かすときにケーブルが気にならないこと、クリックのラグが少ないかもしれないこと。
こうして書いてみると私には良いポイントがあまり見いだせませんでした。マウスが被せ持ちできないため、つまみ持ちをする人か、手が小さめか、小さめのマウスが好きな人でないと使いにくいのかもしれません。
もっと小さめのマウスが好きなら「Razer Viper Mini」にするという手も。
センサー性能は Logicool 製品よりも良いという話がありますが、正直なところ私には分かりませんでした。ローセンシでマウスを動かしまくる人だと違いが分かるのかもしれません。
「Logicool G703」は優れたマウスなのだなぁということを再認識させられてしまいました。被せ持ちできて有線で軽く価格も安めの「G403h」を買うのも良いかもしれないなぁと。ただ有線でも 87g というのがネックです。
「Razer Viper」よりも「Razer Viper Ultimate(充電スタンド付)」が売れているのは分かる気がします。
無線、軽量、充電スタンド付き。対抗馬は「Logicool G Pro Wireless」ですが、無線充電できるマウスパッドを一緒に買うとなると3万円ほどになります。
それを考えると「Razer Viper Ultimate(充電スタンド付)」はその約半額です。一考する余地はあるでしょう。
多ボタン、チルトホイールがいい人は「Razer Basilisk Ultimate(充電スタンド付)」ですね。