主人公が可愛らしく最初は頑張る姿を応援できるが、「私が絶対に正しい」の押し付け合いで海外ドラマによくあるパターンに陥る『SUPERGIRL/スーパーガール』レビュー
一言で言うと、スーパーマンの姉のお話。姉なのですが地球に来るのが遅れて年を取らなかったため、スーパーマンの妹のような状態です。
最初は主役の「メリッサ・ベノイスト(メリッサ・ブノワ)」が可愛いなぁと思いながら見ていけます。ひたむきに仕事とヒーロー活動を頑張る姿は応援したくなります。
「Arrow」「The Flash」と同じ世界「アローバース」でのお話です。
地球人として暮らしていた主人公のカーラは力を使って人助けをしたい欲求が抑えきれなくなり、会社で秘書として頑張って働きつつ、正体を隠しながらヒーロー活動を始めます。
ヒーロー活動を始めた最初は人助けをしようとして失敗して怒られます。力の制御が難しいようで、人助けは行うのですが周りへの被害が大きい。頑張ってはいるのですが、完全な成功とは行かない。そんな様子は可愛らしい。
このドラマはヒーローの普段の仕事(地球人としての仕事)とヒーロー活動の両面を描いていこうというドラマです。女性向けドラマのような気がします。
目次
登場する女性が美人ばかり。主人公が可愛い。姉も美人。会社のボスも美人
個人的に嬉しかったのは、スーパーガールであるカーラが働くゴシップメディア会社のトップが「Ally McBeal(アリー・マイ・ラブ)」の主役のお方というところ。キャリスタ・フロックハート。久しぶりに見ました。こちらでも良い役です。
厳しい上司なのですが、良い助言もしてくれる上司です。ツンデレ風味。
「アリー・マイ・ラブ」を主役の人が可愛いなぁと思いながら見ていたのを思い出しました。ジョン・ケイジも好きでした。「スーパーガール」ではそれが「メリッサ・ベノイストが可愛いなぁ」になっています。スーパーガールの服装よりも仕事の服の方が好みです。
「メリッサ・ベノイスト(メリッサ・ブノワ)」はアメリカの美人という感じではなく、日本人受けしそうな可愛いタイプの顔立ちです。つまり童顔タイプですかね。ゴージャスじゃなくてキュート、のような。
主人公の地球での姉も美人です。こっちは「端正な顔立ち」という言葉が似合うタイプ。このドラマはこの二人が映っている事が多く、男としては画面を見続けられます。
余談ですが、服を脱いで下に着ているスーパーガールのコスチュームになるシーンはこだわっているようです。服の下の「S」マークの見せ方が Season 2 だとほとんど固定化されています。
シャツを脱ぐ時に胸を見せるような動きをするのでドキッとします。とても分かっている脱ぎ方ですね。
Season 2 は軸がブレて恋愛ドラマに。女性向けに傾く
Season 1 ではスーパーガールの生い立ち、地球での家族愛、仕事、恋愛、ヒーロー活動などが描かれます。ヒーロー活動を始めて色々な障害を乗り越えていくところが楽しめます。
他の人と協力したり、衝突したり、ダマされたり。でも目的が人助けでした。Season 1 はヒーロー活動がメインの軸にあったのですが、Season 2 からは随分と様変わりします。
何故か急に、地球に宇宙人がいることが当たり前という社会になっているようです。宇宙人を保護する法律も成立。Season 1 では宇宙人は正体を隠していたのですが、Season 2 は宇宙人の姿で街にいてもジロジロ見られるだけです。
宇宙人の武器を使っても武器そのものは話題にならない。スーパーガールをサポートする地球人の男性はコンピューター関連の知識が優れているという設定でしたが、Season 2 では宇宙人でないと知らないような科学的な知識を当然のように知っていて応用します。ワープにも驚かない。
はぁ? どうなってるの?
スーパーマンがいる時点で地球人は宇宙人が存在することを知ってはいますが、地球の社会に宇宙人が溶け込んでいることが当然という共通認識になっているのは舞台が変わりすぎです。
普段の生活にもかなり科学が発達したデバイスが普通に用いられ、舞台が現代のドラマなのか未来のドラマなのか急に分からなくなります。Season 1 は現代かと思ったのですが、Season 2 は地球の科学が発展しています。
そして、ヒーロー活動はメインではなくなり、主人公やその周りの人の恋愛がメインになってしまいました。その間に敵をやっつける、というような構成。
Season 2 では倒すべき大きな敵が登場しなくなり、普通の恋愛ドラマになってしまっています。「スーパーガール ヒーローの恋愛事情」というタイトルの方が適しています。
女性が主人公ですし、女性向けを意識したのでしょうか。Season 1 はヒーローものが好きな男性も楽しめる要素、例えば悪の組織の陰謀とかがあったのですが、Season 2 は恋愛が必ず絡んできます。
その恋愛はよく分かりません。主人公が調子の良い男(チャラ男)と急にくっつきます。NTR感が少し…。姉の方も警官の女性とくっつきます。それぞれの相手の性格を見るとそんなに良いわけではないのですが…。結局顔なのか…。
Season 2 は半分ほど見たのですが、これほどまでに軽いストーリーになってしまって、先を見る気が失せました。上司の女性もいなくなってしまうし、協力者の男性はもうキャラクターが変わりすぎて脚本の都合に遊ばれているし。
スーパーガールが頭が悪く、戦いに弱いのにもそろそろイライラしてきました。何で相手のパンチを必ず受けるのでしょう? せっかく早く動けるのに。
人助けを優先してよく犯人を逃がしていますが、もう少し頭の良い方法があります。早く動けるし力が強いのだから、犯人を縛ったり、動けなくさせる程度に「目からビーム!」をしても良いですし、犯人を連れて人助けに行けばいいだけです。
Season 2 #13 の魔法使いは強すぎます。最強。スーパーガールはどうやっても勝てないので、彼をおだててヒーローにさせた方が良いです。本当に。(これ日本だと薄い本になりそうな強さ…。)
恋愛をメインストーリーに絡めないで欲しい。「私が絶対に正しい」の押し付け合い
海外ドラマでよくあるのですが、このドラマでも恋愛が登場人物の意思決定に影響してしまいます。あの人とうまくいかなかったから、人助けもうまくいかないとか、人と協力しないとか。
まぁ理解はできますが、私は恋愛要素を求めてドラマを見ているわけではないので、恋愛によって主人公の判断が大きく濁されるのは不快です。恋愛はサブ要素にとどめておいて欲しいです。
海外ドラマは「私が絶対に正しい。おまえが間違っている」という主張が多すぎます。男も女も相手に怒鳴り立てておいて、後から、言い過ぎた、ごめん、あなたを守りたかったの、愛してる、というのは都合が良すぎます。
この手の話はもううんざりです。恋愛が絡むとこの傾向が加速します。自己愛が強すぎます。ものの見方がパターナル。「怒っているよね? でもあなたを守りたかったの…。黙っていてごめん」。何度同じことを言うのでしょう。
スーパーガールや地球を守る組織で人助けを行っている人たちですら「私が絶対に正しい」と言い合っているので、独善的な判断によって任務が失敗するところの方が見たい。
「フラッシュ」でもそうでした。「アローバース」の共有宇宙は「絶対に私が正しい」という認識を共有しているのでしょうか。

「ボッシュ」はその点良かったです。あちらの方が大人向けのドラマです。主人公の思う「正しさ」が独善的だと常に批判されます。

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