ゲーム音楽展「Ludo-Musica」は期待外れだが、岩本翔による「ゼルダの伝説 風のタクト」の解説は面白い。「FF XV」の音楽って覚えてる?

2021/01/27

ゲーム音楽展「Ludo-Musica 〜音楽からみるビデオゲーム〜」をオンライン開催(2021-01-27〜2021-02-26) - 立命館大学ゲーム研究センター : Ritsumeikan Center for Game Studies (RCGS)

ゲーム音楽展「Ludo-Musica 〜音楽からみるビデオゲーム〜」なるものがオンラインで開催されるとのことで、結構期待していました。

1/27 から公式HPで公開され、早速見てみました。

まず、ウェブサイトがとても使いにくいですね。横にスクロールしていくタイプのやや先進的なウェブデザインなのですが、マウスのホイールをカタカタ回しても僅かしか横に動きません。誰もテストしていないのかな?

「スマートフォンでの閲覧も可能ですが最適化はされておりません」「パソコンでご覧下さい」と書かれているのですが、パソコンで見ても見づらいデザインです。PCブラウザではスクロールバーをマウスカーソルで掴んでムリヤリ横にスクロールさせればOKです。

音楽を文字で語るのは難しい。時代背景に逃げる

この音楽展を読んでみてがっかりしました。私は音楽を正面から語ってくれるものと勘違いしていたようです。

音楽を語るというより、ゲームにおける音楽使用システムの遷移、という感じの説明ばかりですね

音楽を文字で語るのは難しく、音楽知識の無さそうな人もいますし、となると、とりあえず当たり障りのないように「名曲だ」と言っておいて、「当時のゲームは~」「作曲者の経歴は~」と時代背景に逃げる。

私が知りたいのは「何故、名曲なのか?」です。これを解説しないと音楽を正面から語っていません。何で「名曲だ」と判断したのでしょうか?

2番目「パックマニア」の解説では、作曲家の慶野由利子さんが「初めてFM音源を使いました」という日記しか書いていません。作曲家という肩書きなんだからもう少し良い解説を書けるはずです。

うーん、「音楽からみるビデオゲーム」というテーマはあまり面白くないんだなぁ。

読むべきは6番目の「ゼルダの伝説 風のタクト」の解説

私には6番目の「ゼルダの伝説 風のタクト」が唯一面白い解説でした。サウンドプログラマーの岩本翔さんによる解説で、サウンドプログラマーの視点から音楽を切り取っています。

音楽とゲームにおけるインタラクティビティを「ゼルダの伝説 風のタクト」で説明しています。

ボス戦で敵の光の弾を撃ち返すシーン。ゼルダが光の弾を撃ち返し、敵もそれを撃ち返す。その繰り返しで弾を撃ち返す毎に音楽が半音上がっていく。解説動画を作ってくれています。

こういったように、ゲームでのプレイヤーの行動が音楽に反映されるゲームは面白いです。

「ゼルダの伝説 風のタクト」は「効果音」の音の高さが上がるのではなく、「音楽(BGM)」の音の高さが上がるところが珍しい。

確かに数あるゲームの中から取り上げて解説すべきゲームです。面白いシステムです。

効果音が高くなるものなら、古くはブロック崩しや、棒と円だけの単純なテニスのゲームでも、弾(ボール)が返されるたびに音が上がっていくデザインのゲームがありました。

そういえば任天堂は「マリオブラザーズ」でも効果音が高くなっていくデザインでした。スターをとって敵をポコポコ吹き飛ばしていくのも敵の数によって音が上がっていきますし、亀の甲羅を何度も踏みつけるのも音が上がっていきます。

音の高さが上がっていくと緊張感が出てゲームに熱中できるんですよね。

ゲームと音のインタラクティビティの他の側面として、プレイヤーのアクションと音が一致していると面白いという面があります。

音ゲーではプレイヤーのアクションで音楽を実際に奏でるタイプと、プレイヤーが失敗しない限り音楽がスムーズに流れるタイプのゲームがあります。私はボタンを押す(タッチをする)とプレイヤーが押したタイミングでメロディが紡がれていくゲームが好きです。

プレイヤーの行動のタイミングがゲーム中の音楽に反映される方が楽しいです。

他に、手の込んだゲームでは音楽を弄っているものがたまにあり、「NieR:Automata」はレビューでも書きましたが、メニュー画面を開くとBGMがゲーム中より主張しなくなるように控えめバージョンに変わったり、ゲーム内ゲームでは8bitサウンドっぽく変わったりします。こういうのは手が込んでいます。

『NieR:Automata』レビュー - 私は輪廻の中で足掻きたくない。解脱したい。生きる意味は本当に「輪廻の中で」足掻くことなの?
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こうして音楽をゲームに合わせて弄るというところまで気を遣えるゲームは少ないですが、気を遣ってくれているとプレイヤーは気付きます。

ところで「FF XV」の音楽って覚えてる?

9番目の「Final Fantasy XV」の解説を読んでいて再確認しましたが、私は「FF XV」をプレイしてクリアしているのですがゲームの音楽は覚えていません。たぶん聴けば分かるものもあるかと思うのですが…。

FFシリーズの中では新しめの「FF XIII」は戦闘の曲や「君がいるから」を覚えています。

このアルバムには他にはない FF XIII 挿入歌「Eternal Love」が入っていて買いました。

私はファイナルファンタジーの音楽は植松伸夫さんが作っているものでないと記憶に強く残らないようです。植松伸夫さんの曲はメロディーが美しい。FFシリーズの中で一番美しさが出たのは「FF VIII」かなと思っています。

3番目の「ファイナルファンタジーII」の解説で、「『ファイナルファンタジー』シリーズの植松伸夫が編み出したゲーム音楽のテクニックは、今もなお分析と驚嘆に値する。」とあり、「エコーの効果」のような作曲法が取り上げられていますが、私は植松伸夫さんはメロディの美しさが特筆すべきところだと思っています。

「愛のテーマ」はサビ(メインモチーフ)で大きな跳躍進行をしているのですが、「あぁ、こんなに美しく響くのか」と驚きました。植松伸夫さんの曲は単純なBGM(ゲームを引き立たせるための音楽)ではなく、すごく記憶に残ります。

あまり人に教えたくないのですが「ファイナルファンタジー ヴォーカル・コレクションズI-祈り-」はとても良いアルバムです。美しい曲が好きな人はたぶんドハマリします。私は度々このアルバムを聴いています。

「The Promised Land - メインテーマ (FF2)」「光の中へ - 愛のテーマ (FF4)」「時の放浪者 - ティナのテーマ (FF6)」などはもう最高です。他の曲も良いものばかり。

ゲームのアレンジサウンドトラックの中で最高の出来です。とても厳かな気分になるので気分を上げたい時に聴く音楽ではありません。

植松伸夫さんが作曲していた頃のファイナルファンタジーの曲を知っていると、「FF XV」や最近のゲームの曲を聴いても普通だなぁと感じてしまいます。

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Nomeu

ほとんどのジャンルのゲームが好きです。特に好きなのはRPG。「Xenogears」「クロノトリガー」「ペルソナ3、4」とか。ドラクエは「V」。主人公が「勇者」ではないところが好き。ビジュアルノベルは「STEINS;GATE」「Ever 17」「AIR」が好き。

どこぞの作曲コンクール最優秀賞受賞。好きなゲーム音楽は「愛のテーマ (FF)」「Heartful Cry (ペルソナ)」「夢の卵の孵るところ (Xenogears)」「凍土高原 (Kanon)」「夜の底にて (クロノトリガー)」「Theme of Laura (Silent Hill 2)」「Scarlet (みずいろ)」「bite on the bullet (I've)」など。たくさんありすぎてスペースが足りません。

ゲーム音楽以外だと「Ballet Mecanique (坂本龍一)」「月光 第3楽章 (L.v.Beethoven)」「水のない晴れた海へ (Garnet Crow)」「Angelina (Tommy Emmanuel)」「空へ… ライブ版 (笠原弘子/ロミオの青い空)」「太陽がまた輝くとき (高橋ひろ/幽遊白書)」「スカイレストラン (ハイ・ファイ・セット)」など。