
先日に続き、Synthesizer V Studio 1 Pro(V1)のスターターパックでどの歌声DBを受け取るか選んでいます。

良さげな歌声DBを絞り込んで、「Ayame」「Saki」「Megpoid」「夏色花梨」「宮舞モカ」「Feng Yi」あたりにしようと決めました。
Dreamtonics の公式サイトの歌声サンプルだけでなく、実際の歌声がどんな感じかもう少し詳しく知るため、YouTube で実際に使っている人の曲を聴いてみました。
そうしたところ、歌声が自然になっている曲と機械的で自然でない曲があります。「Megpoid」「夏色花梨」は特に差が激しい。
ということは、使うのが(調声が)難しいのかもしれません。
目次
歌声DBのトライアルすると長所や欠点が分かりやすい
そこで実際にトライアル(デモ)で試すことにしました。
Synthesizer V Studio 2 Pro は良く出来ていて、ソフトウェア内部のブラウザから簡単に歌声DBをトライアルできます。
内部ブラウザで「トライアルを開始」ボタンを押し、ダウンロードボタンを押すだけ。簡単。
歌声DBのデータ容量って少ないんだなぁ…。
簡単にトライアル(7日間)ができるのは良いのですが、トライアルが何回できるのかが不明です。1回しかできないのかもしれません。
トライアルが1回しかできないなら、トライアルを始めること自体にちょっと慎重になってしまいます。
それでも今トライアルする必要があるので「Megpoid」「夏色花梨」「宮舞モカ」「Feng Yi」などを試してみました。
Synthesizer V1 用の歌声DBもトライアルでき、V1 用の歌声DBに互換性アップデートが適用された状態でのトライアルとなります。
試してみて分かったのは、歌声が自然でない人は Synthesizer Studio V1 でほぼベタ打ちにしているだろうということ。
Synthesizer V Studio 2 はベタ打ちでもかなり人間に近くて自然に聞こえますが、V1 は違います。音と音の繋がりがやや機械っぽいところがあって、少し弄らないと機械っぽいです。
V1 用の歌声DBである「Megpoid」「夏色花梨」は Synthesizer Studio V2 だとより自然に聞こえて良い感じです。
しかし、他の問題点が見つかりました。
実際に試してみると「夏色花梨」は得意な音域が狭くて高音の抜けが弱く(声が籠もって聞こえる)、「Megpoid」はボーカル・スタイルを変えても歌声の変化が少なくて平坦です。
そこで V2 専用の「宮舞モカ」を試したところ、Dreamtonics のサイトで聴いたサンプルの歌声よりも良い感じです。
「宮舞モカ」はロック向きの歌声なので声のアタック(子音、出だしのしゃくり)が強いのですが、ボーカル・スタイルの「Soft」「Cute」「Mellow」「Breathy」を重ねて適用すると随分アタックが弱まります。
さらに「音素タイミング」で子音の音量を下げるとかなり良い感じです。…まぁそこまでしないと癖が強すぎて気になるのですが。
↑ 画面下部に「音素タイミング」のパネルを開き、「きょ」という音の子音(ky)の音量を下げ、タイミングを後ろにずらしたところ。
「宮舞モカ」の他の問題点としては、音が高くなると突然音量が大きくなること。バグのような気もしますが。
「宮舞モカ」は子音の音量を1つ1つ下げるのが面倒ではありますが、思った以上に調声できるので驚きました。
歌声DBには得手不得手がある
色々な歌声DBをトライアルして、やはり歌声DBには得手不得手があることが分かりました。
そんなの当然だと思う人もいると思います。しかし、ボーカル・スタイルで歌い方を変えられる機能はありますが、変えていないデフォルトの歌声が一番質が高く、それがその歌声DBの一番得意な歌い方です。
歌声DBを比較するときはデフォルトの歌声で比較した方が良いかもしれません。
例えば「宮舞モカ」は頑張って調声して声のアタックを下げたとしても、やはり元から優しい声の歌声DBには敵いません。
私は歌声DBのキャラクター性にそんなに興味が無いので歌声の質の観点から話していますが、キャラクター性を重視する人は「宮舞モカ」を頑張って調声することに価値を見いだすのかもしれません。
また同様に、優しい声の歌声DBはロックなどの声を強く出す曲には合わず、「宮舞モカ」に敵いません。
中国語メインの優しい声の歌声DBでボーカル・スタイルに「Powerful」があるものがありますが、声を強く出すと日本語の発音が崩れます。
なお、「宮舞モカ」はボーカル・スタイルがたくさんあって変化を楽しめますが、Synthesizer Studio V2 では元の声質から変化させるほど声にノイズが入ります。
Dreamtonics 公式の歌声DBは変化させてもノイズ感が少ないので優秀なのですが、この会社以外のものは違います。
結局のところ、至極当然ではありますが、歌声DBをどのジャンルの曲に使うかどうかで、スターターパックで受け取る歌声DB、または買う歌声DBを決めるのが良さそうです。
Synthesizer Studio V1 よりも V2 の方が楽
現状 Synthesizer V Studio 1 の方が1つの音符に対して細かく調整ができ、V2 はダメだといっている人を結構見かけます。
ですが、私は面倒臭がりなので、ベタ打ちでも人間っぽく聴かせてくれる V2 の方が楽で良いです。
私の印象としては V2 はユーザーの操作量を少なくして負担を軽減させ、より楽に人間っぽい歌声になるように開発の方向を変えたのだなと感じました。
歌声の調節を細部まで突き詰めたい場合は V1 の方が良いかもしれません。V2 はマニュアルモードがありません。
Synthesizer V Studio 1 を V2 にアップグレードしても V1 のライセンスは無効化されず、V1 と V2 は同じPC上で共存できます。
V1 用の歌声DBでも Synthesizer V Studio 2 上で動かせば、機能が少し制限されますが、より楽に人間っぽくしてくれます。
トライアルをした限りではその機能制限はそんなに不便ではないですが、大きなところではボーカル・スタイルの調整の選択肢が狭まります。オートメーションでスタイルの微調整ができなかったり。
V1 のスターターパックで受け取る歌声DBを決めなくては
Synthesizer V の歌声DBはほとんどキャンペーンが行なわれないので、今回は V2 へのアップグレード無料という良いキャンペーンがある「宮舞モカ」で良いかなと思っています。
ちなみに過去のキャンペーン情報ですが、「Saki」を持っている人に「Saki AI」を無料提供、「小春六花」を持っている人は「VOICEPEAK 小春六花 開発版(商用利用不可)」の無料提供がありました。
これまでこのくらいのキャンペーンしかないのです。V1 のスターターパックで V2 用の歌声DBをもらえるのは今しかないかもしれません。
私は優しい声の方が好きなので「Megpoid」を選びたかったのですが、トライアルをしてみると思った以上に声が平坦です。トライアルって大事ですね。
「Megpoid」は VOCALOID 用の録音データを流用しているようなので、しっかり録音し直して V2 として発売して欲しいです。
なお、スターターパックで受け取る歌声DBとして「宮舞モカ」を欲しくない人は、今後は V1 からのアップグレード版を狙う手がたぶんあります。たぶんです。
歌声DBは V1 → V2 のアップグレード価格があるものがちらほら登場しています。
「宮舞モカ」や「夢ノ結唱 POPY / ROSE」は製品版の半額で V1 から V2 へアップグレードできます。今後もこのようにアップグレードできる歌声DBが増えるかもしれません。
Synthesizer V1 のスターターパックは歌声DBの交換期限が今のところないので、アップグレード価格を狙う人は受け取る歌声DBを今決めなくても良く、もっとゆっくりできます。
ただ、そんなに得にはならないですね。V2 の歌声DBを半額で買えるというだけです。
歌声DBはたまに少しだけ割引販売されることがあるので、あるか分からないアップグレードを待つよりも、欲しい歌声DBを今すぐに受け取って使い、他の歌声DBはそういったセールで買った方が満足度が高いかと思います。