『From Dust』レビュー - 海岸で打ち寄せる波に負けないような砂山を作るゲーム
From Dust は UBI の DRM のせいでかなり評判が悪い。それにゲームのバグ、起動時のエラーもその評価を手助けしている。そんなところで私も Steam のセールで購入してみた。
基本的にはこのゲームはシャーマニズムの原始的な民族の集落形成を手助けするというゲームプレイ。
民族をトーテムポールに呼び、そこに集落を作らせる。トーテムポールに辿り着くまでに地形的な困難があるので、それを神ごとく手助けする。プレイヤーはステージ中の物体を集め、それを他の場所に放つ。例えば周りの土地から土を集めてきて、それを民族が先に進むための道作りに使ったりする。序盤では道作りばかりなので、私はこのゲームはゲームなのか、と問いながらプレイした。ゲームというよりも民族が繁栄する過程を見るというシミュレーターに近かった。BGM がほぼ無いのも、よりそれを感じさせていた。
最初の1時間ほど。ここはゲームシステムを学ぶための学習時間。それを越えると少し面白いステージになってくる。
左: 砂漠の地表の砂を吸い集めるとその下から水源が見つかり、そこから水が溢れ出る。
右: 火を発生させる木。周りの植物に火が燃え移り、火事が広がっていく。
水害を回避したり、火事にならないように気をつけたりと、少し忙しくなってきて面白い。このゲームのデザインは、水害を回避しないとならないのだけど後で水が必要になったり、水を回避させた方向に何か重要なものがあったりという、少し厄介なデザインになっている。火事も同じ。火を発生させる木があって、周りに植物があるとどんどんと火が広がって集落に到達してしまう。そこで火事を止めるには水が必要になるが、実はこの火を発生させる木が水を蒸発させ、ステージ中の水量を調節してくれているという面もある。
中盤から終盤に掛けてがこのゲームが一番面白くなるところ。
雨がたくさん降って洪水が発生したり、津波が一定時間毎に押し寄せてきたりする。火山の噴火も加わり、溶岩が溢れ出る。集落を溶岩や洪水から守りながら、集落を増やしていく。このあたりのステージは刺激的だった。意外と忙しかったりする。特に面白いのは溶岩や河が流れる方向を自分である程度制御できるところ。流れる道筋をうまく作っておけばステージのクリアが随分楽になる。ちなみにステージのクリアは民族の集落を4つ作ること。集落はトーテムポールの場所にしか作れない。
クリアまで4~6時間ほどか。私は思っていたよりも楽しめた。序盤はつまらなくてもう止めてしまおうかと思ったのだけど、ゲームが長くないことは進行度から分かっていたので耐えながらプレイした。そうしたら中盤から少し忙しくなって面白くなってきた。このゲームはジャンルとしては珍しい。民族が集落を作る手助けをするのだけど、プレイヤーの力はそこまで大きくない。なのでサンドボックス的なシミュレーターゲームに近いのかも知れない。
ほとんどの人が海岸の砂浜で砂を集め、山を作ったことがあるだろう。頑張って高く積み上げた砂山でも海の波によって徐々に崩れていく。そんな情景をこのゲームでも眺められる。砂浜にいるヤドカリなどの小さな生物を打ち寄せる波から助けるために、少し進む道を高くして上げたり、波が来ないように手前に砂で山を作ってあげたりする。そんな感じのゲーム。ゲームのコンセプトは面白いのだけど、パズルゲームというほど難しくも無いのでやはりサンドボックス的なシミュレーターゲームという少し消極的なジャンル説明になってしまう。(実際にゲームにサンドボックスモードがあったりする。)
そもそもこのゲームは定価($15) が高くない。このゲームのコンセプト、デザインの分かりにくさ、ゲームクリアまでの短さを考慮してこの値段なのだろう。私は $5 で購入したのだけど値段分は十分楽しめた。ただアクションゲームや FPS などばかりが好きな人には少し退屈なゲームなのかも知れない。