死にながら新しい事実を掴みループする1日を抜け出す。良ゲーだが設定が語られず考察する気が起きない。実は隠しクエストで記憶を保持できる特殊な人に出会える『DEATHLOOP』レビュー
FPSゲームで久しぶりに面白かった『DEATHLOOP』。今月の「Humble Choice」で購入したゲームです。

今月の「Humble Choice」の内容にはかなり満足しています。まだ買えるので興味があるゲームがあるかチェックしてみて下さい。通常のセールよりもかなり安く買えます。
最近のFPSゲームはマルチプレイに重点を置いたゲームが増えてしまい、シングルプレイはおまけ程度という作品が増えてしまいました。たまにシングルプレイのみのFPSゲームがあっても、ただ敵を撃って進むだけのストーリーがほぼないゲームも。
そういえばテーマがSCP財団系の「Control」というFPSゲームも少し前にプレイしてみたのですが、(陰謀論的に)意味ありげに話される内容をプレイヤーに理解させる気が無く、私には何を言っているのか本当に理解できず、すぐにプレイをやめてしまいました。
目次
ループする1日で、何度も死んで新しい情報を掴む
「DEATHLOOP」はその名の通り、ループしてしまう世界を何回も死にながら新しい情報を掴み、ループから抜けだそうというストーリーです。
主人公は最初、記憶喪失の状態から始まります。主人公(コルト)と主人公を追って殺そうとする女性(ジュリアナ)だけがループしても記憶が残るようで、この二人に焦点が当たります。
主人公が動けるのは朝、昼、午後(afternoon)、夜。この4つの時間帯にループに関わる重要人物の行動を読み、殺します。基本的にはステルスゲームですが、ステルスしなくても構いません。
「DEATHLOOP」を開発したのは Arkane Studios で「Dishonored」シリーズを作っている会社です。
ステルス要素がメインの「Dishonored」と違ってこちらはとにかく殺せばOKで、このゲームでは「敵に見つかるな」などの細かい条件はありません。楽で助かります。
ストーリーが進んでいくとループの終わらせ方が分かります。ネタバレではありますが早めに分かることなので書いてしまいますと、重要人物8人全員を1日の間に殺せばループが終わるらしいです。
1日の間に8人を殺すので戦略が必要となり、主人公は重要人物たちの行動を操り、同じ場所に集まるようにして殺す計画を立てます。
ストーリーが惜しい。舞台設定がほぼ語られない。実は記憶を保持できる人が他にもいる
タイムループもののストーリーはそれだけで面白いです。繰り返す時間の中でうまく行動して1日を自分の好きなように操っていくことなどに興味があれば「DEATHLOOP」のストーリーも楽しめるでしょう。
しかし、ストーリーにもう少し入り込もうとすると「DEATHLOOP」では舞台設定がほとんど語られないので入り込めません。疑問がたくさん浮かぶゲームではありますが、曖昧なままにしてあります。
何故ループが発生したのか、何故8人全員を殺すとループが終わるのか、ループとは何か、何で記憶が残るのか、何で主人公は記憶喪失だったのか、別の自分自身に出会えるのは何故か、など。曖昧なままです。
これらの疑問の答えを少し教えてくれるのは隠されたサブクエストになっていて、ゲーム中で意識的にサブクエストを達成しようとしないと何も分からないままゲームが終わります。
ただそのサブクエストも疑問にしっかり答えてくれる情報を提供してくれません。
最重要なサブクエストを一応書いておきますと、フリスタッドロックにある隠し部屋のクエストです。「Z-29」と書かれたドア。いくつかのマップでドアベルを鳴らしても開かないドアがあったのを覚えているでしょうか。あれはこの隠しクエストで訪れることになります。
「Z-29」と書かれたドアの先にはコルトだけが目隠しされたヴィジョナリーたちの写真がある。
かなり難解なパズルでヒントもないので、普通の人は何をすれば良いのか理解するのが困難です。YouTube で解説してくれている人がいるので載せておきます。
このサブクエストについて他の情報も見たい人は「DEATHLOOP spy bunker」で検索すると出てきます。このクエストで主人公のコルトという人物の過去が少し分かります。見た目と年が合わないなど。
あと、実は記憶が保持されるのはコルトとジュリアナの他に2人います。「2-BIT」と「Pick Rexly(ピック・レクスリー)」。
「2-BIT」はメインストーリーで出会います。
しかし「Pick Rexly」はかなり隠されています。普通にプレイしていても出会えません。
彼女もループの終わらせ方に気付きますが、主人公のやり方とちょっと違うようです。どうやって気付いたのか語られません。
このように、このゲームはほとんどが分からないまま終わります。
SF好きな人ならタイムループそのものは楽しめると思いますが、何故ループしているのかという設定が語られないため、エンディングを迎えても「このストーリーは一体何だったんだろう」と消化不良です。
ゲームが始まった当初は記憶保持のタイムループが面白く、「BioShock」並みのストーリーになるかと思いきや、ストーリーのメインが殺し方に移ってしまい尻つぼみでした。
エンディングに向かうときに「RAK (rakyetoplan)」という戦闘機(輸送機?)に乗るのですが、このシーンがひどく、コックピットの操作パネルしか映さないのでどこを飛んでいるのか分かりません。酷すぎる映像でした。前を見ないで飛んでいたということ?
そのシーンは下のYouTube動画の冒頭で見られますが、エンディングなのでネタバレにご注意を。
近年のFPSゲームの中では良くできたストーリーだと思いますが、あくまで「近年の中で」であって、「BioShock」などと比べるとかなり見劣りします。
「秘密が多いゲームだ」と読み取るとそういうのが好きな人には高評価だと思いますが、ここまで設定が語られないのを見ると、実際のところは設定がしっかり構築されてないのだろうと思ってしまいます。
「ゴールデンループ アップデート」後の今、エンディングが改善されている
「DEATHLOOP」は 2022/9/21 に「ゴールデンループ アップデート(GOOLDENLOOP UPDATE)」がありました。
『DEATHLOOP』ゲームアップデート第4弾 – ゴールデンループアップデート パッチノート
新しいコンテンツ
- 新しいアビリティ「フーガ・スラブ」を追加しました。敵の動きを止め、混乱させることができます。アップグレードは4種類あります。
- 新しい武器「試作型HALPS」を追加しました。敵を丸焦げにできる一丁です。
- 新しい敵を2種類追加しました。重装備のゴミ収集人と危険なペイントボンバーとの戦いをお楽しみください。
- 「ループを断ち切れ」エンディングにシーンを追加しました。
- 「マスカレード」に4種類のアップグレードを追加しました。新しいトリンケットでジュリアナのマスカレード スラブを強化し、タイムループを守りましょう。
- 2つの効果が得られるトリンケット、「ダブルトリンケット」を19種類追加しました。
- トリンケット11種類、武器スキル4種類を新たに追加しました。
- カールスベイに探索可能なエリアを新たに追加しました。
- プレイヤーの待機モーションを追加しました。武器やスラブの扱いの上手さを、暇なときでも見せつけましょう!
私がプレイする少し前のアップデートで、プレイするにはとても良いタイミングでした。
『「ループを断ち切れ」エンディングにシーンを追加しました。』という追加要素で、トゥルーエンディングにシーンが追加されていてより良いエンディングになっています。
このゲームはマルチエンディングで3種類のエンディングがあります。他のエンディングを見るためにプレイするのが面倒だったので YouTube で検索して観ました。
そのエンディング集を観て私はトゥルーエンディングに到達したんだなと分かりましたが、「ゴールデンループ アップデート」の以前はトゥルーエンディングが本当に短くてびっくりしました。
ちょっとネタバレになるかもしれませんが、トゥルーエンディングで追加されたシーンのスクリーンショットを載せておきます。
主人公の後ろに「2-BIT」と「Pick Rexly」がいるのが分かります。
隠しクエストをクリアしていないと「Pick Rexly」に気付けないと思いますが、知っていると心温まるシーンです。
「2-BIT」には外を歩かせてあげると約束していたのを思い出しましょう。
武器やスキルを集めるのが楽しい。後半の戦闘は厳しめ。キーボードで「Enter」と「Delete」を押させるのはセンスが無い
FPSゲームとしてはゲーム部分はほとんどストレスを感じませんでした。上る動作をするのに上れない岩などの glitch はありますが、全体としてとても出来の良いゲームだと思います。
基本はステルスゲームなのですが、敵に気付かれたら戦略が崩壊するということもなく、死んでも近くで復活できます。ステルスゲームはセーブ&ロードを繰り返す完璧主義的な思考に陥りますが、このゲームは死んでもそれほど問題が無く、気軽なステルスゲームというデザインになっています。とても良いです。
FPSゲームには銃の挙動が変でどうも弾を撃っている感じがしないゲーム(「Fallout」シリーズや「Half-Life」シリーズなど)もありますが、そういうのも感じませんでした。
ただ私は手榴弾の使いどころがありませんでした。なので手榴弾は無くても良かったかなと。
敵のスポッティングも簡単で、設定で一度に複数の敵をスポットするようにでき、とても便利です。スポットの初期キーは「T」になっていて、左手では遠いので私は「X」キーに変更していました。
ループで朝を迎えると持ち物も無くなってしまうのですが、武器やスキルは次のループでも最初から持っているように「レジドゥム」を注入することで保持できます。
私は主人公を強化していける要素が好きで、武器やスキル(正確には「トリンケット」)を集めて保持するのが楽しかったです。ストーリーをクリアするだけなら必要の無い要素ではありますが、ストーリーそっちのけで武器を集めたりしていました。
ゲームの後半は敵が強くなってきます。このゲームは主人公にも敵の弾がヘッドに当たったか体に当たったかの判定があり、後半は敵がヘッドを狙うようになります。あと主人公を殺そうとして乱入してくるジュリアナがやっかいでスキルを2つぐらい同時に使ってくるので結構強いです。
ゲーム終盤になると主人公のスキルや武器の強化も進みプレイが楽になってくるのですが、それでもジュリアナに追いかけられるなどして敵に囲まれると意外と簡単に殺されてしまうため、少し緊張感のあるゲームプレイになっていました。
このゲームは銃を撃つならヘッドショットを狙わないとなりません。銃弾が敵の体に当たるのとヘッドでは10倍くらいダメージが違う感じがします。普段シューティングゲームでヘッドショットを狙っていない人だとちょっと難しいと感じるかもしれません。
ゲームが難しいと感じる人は設定で簡単にできるのもとても良い機能だと思います。
ストーリーの進行のために次は何をしたら良いのかもフローチャートで分かりやすいようになっていて親切です。
気になったのはキーボード+マウスでのプレイ時、決定ボタンをどうして「Enter」キーにしたのか理解できません。右手はマウスにあるので「Enter」キーを押すのは大変です。
さらに、キャンセルボタンとして「Delete」キーを押させるのもセンスが悪い。
このゲームのストレスはキーボードのボタン設定がおかしいところだけです。
まとめ:「BioShock」ほどの濃厚さはないがFPSの中では良ゲー
ストーリーをクリアするだけならたぶん10~20時間位のボリュームです。私はサイドクエストや武器集めのクエストも行ったので40時間ほどでクリア。マルチプレイは何も触っていません。
私は単調なシングルプレイのFPSゲーム(「Call of Duty」とか)だとすぐに飽きが来ることが多いのですが、このゲームは最後まで楽しめました。
「BioShock」のような濃厚のストーリーになると思いきや尻つぼみだったのは残念ですが、それでも良ゲーと言えるクオリティだと思います。
最近はシングルプレイのFPSゲームで話題になるほどのヒット作があまり無いので、その中では「DEATHLOOP」は輝けます。近年で有名なFPSゲームは「Cyberpunk 2077」ぐらいでしょうか。
最初マップが4つしか無いのは少ないかなと思っていたのですが、それぞれのマップが意外と広いので後半ではこのくらいで丁度良いと感じました。何度も同じマップを訪れることになり、どこに何があるのか分かっていると移動や戦闘にほとんど時間が掛からなくなってきます。
2021/9 の発売直後バグが多かったようでレビューで低評価を集めていましたが、今はアップデートされて修正されているものが多いかと思います。
でも私もバグに遭遇しました。発電機を動かそうとしてバッテリーを入れたらクラッシュ。何度か試して必ずクラッシュすると分かり、合計で1時間ほどのプレイ時間が飛びました。発電機は諦めて次の機会にしたら、それ以降はクラッシュに遭遇しなくなりました。
あと、毎回遭遇するバグがあり、レジドゥムを注入済みのものなのに未注入のマークが付いてしまいます。これはゲーム進行が不能になるバグではないのですが混乱します。
たぶん今後アップデートがあるかと思います。
「Humble Choice」で安く買ったので、少しプレイして合わなければプレイをやめれば良いかと思っていたのですが、結局すごく楽しめました。
ストーリーはタイムループである事以外はそれほど楽しめなかったのですが、スキル(トリンケット)を集めて主人公を強化できるのが面白かったです。
でも武器は結局、序盤で手に入れられるサイレンサー付きのサブマシンガンが一番強いという…。