プレイヤーの努力が戦闘で報われる錬金術。ストーリーはミステリー要素があって意外にも楽しめた。想像よりもエロくない『ライザのアトリエ』レビュー

意外にもとても面白かったです。アトリエシリーズはエロ推しが目立つゲームになってしまいましたが、プレイしてみるとかなり優しいシステムになっていてゲームとして好印象です。

楽しめた度

最近のアトリエシリーズは依頼の期限が無くなったのが良い

アトリエシリーズをプレイするのは「ソフィー」以降初めて。「ソフィーのアトリエ」はあまり面白さが分からず、PS4でプレイしているのにユーザーインターフェースが PS Vita 向けなのが嫌でした。

でも最近のアトリエシリーズは依頼の達成に時間制限が無くなったのはとても良いですね。私は初期アトリエシリーズ(ザールブルグシリーズ)の「マリー」「エリー」をプレイし、そこから飛んで「ソフィー」をプレイしました。

かつては時間制限に追われる忙しいゲームという印象であまり楽しくありませんでした。マップの移動に時間が掛かるため、調合に必要なアイテムの探索場所を何度か間違えるともう依頼の期限に間に合いません。セーブ&ロードが必要なゲームでした。

私は依頼の期限がない方が忙しくなくて好きです。RPGで時間に追われるのは楽しくないです。私は二股に分かれた道は両方とも行って宝箱が落ちていないか確かめる性格で、忙しくて片方にしか進めないと気になってしまいます。

これまでアトリエシリーズはマルチエンディングだったのもあまり好きでは無く、マルチエンディングを見るために何度もプレイしなくてはならないのは大変です。最後の選択肢でエンディングが分岐する程度ならリプレイが簡単なので良いのですが。

「ライザ」のエンディングは1つです。ストーリー重視のゲームではエンディングが1つで十分です。

「ライザ」を試す。ストーリーメインのRPGになっていて興味を保てる

「ソフィー」は世間的には高評価のゲームですので、これが楽しめなかった私にはアトリエシリーズは合わないのかもしれないと思いつつ、新しめのアトリエシリーズである「ライザ」を買ってみました。

以前のアトリエシリーズはアイテムの作成がメインとなってストーリーが進んでいくゲームでしたが、「ライザ」はストーリードリブンになっていてその過程で錬金術でアイテム作成があるというような構成でした。

昔のようにアイテム作成の依頼を受けて調合して納品というのは少ないし、ほとんどがサブクエストで達成しなくてもストーリー上は問題ありません。

仕事としての錬金術師を極めるというのが昔のアトリエシリーズでしたが、「ライザ」での錬金術は例えるなら冒険を有利にするための「魔法」の1つというような感じです。

アトリエシリーズの印象がずいぶん変わりました。JRPGとして楽しい。私は日本のRPGが好きなので嬉しいです。

ストーリーは序盤は退屈だが、中盤から島の謎が明かされて面白くなる

ストーリーは序盤は退屈です。

島で普通に暮らしていたが、錬金術を教えてくれる人がいて、そこから錬金術にはまる。島の外に行ってはいけないと言われているがちょっと冒険してみたい。いじめっ子がいて仲が悪い。

ストーリーの始まりはよくあるパターンで、もはや見飽きています。

しかし最初は「冒険」がテーマですが、後半から自分たちが住んでいる島には実は隠された歴史があって、それが徐々に分かっていくので少しミステリー的な雰囲気が漂い、面白くなります。

購入前はあまりストーリーには期待していなかったのですが、思ったよりも濃厚なストーリーで良かったです。

ただ主人公たちの年齢が子供であることからジュブナイル的な要素が入ってきてしまい、ミステリー色が弱くてそこが残念です。

ストーリーは子供向けですね。

日本のゲームというのはターゲットが子供向けに作られていますから仕方ありません。

努力した分が戦闘で報われる錬金術。難易度のバランスがうまい

「ライザ」の良いところは、錬金術での武器・防具・魔法アイテムの作成を頑張れば頑張っただけ、戦闘での性能・効果が高くなるところです。

努力が報われるシステムになっていて、これがとても良いところです。

良いアイテムを作るにはフィールドで素材(材料)の収集を何度も行い、良い特徴を持ったアイテムを厳選して調合する必要があります。収集が一番時間が掛かります。

「ライザ」の戦闘システムは比較的簡単な作りです。一回の戦闘時間はボス戦でもかなり短く、戦術は重要ではありません。

戦闘に勝てるか勝てないかは良い装備・魔法アイテムを持っているかどうかで決まります。

戦闘システムも錬金術に重きを置いています。中盤まではとりわけ良いアイテムを作らなくても先に進めますが、戦闘の楽さが変わってきます。

敵が強い場合、従来のRPGのようにキャラクターたちのレベル上げをするという手もあります。ですがレベルアップでは小さなステータスアップしかできないので錬金術で良いアイテムを作った方が早いです。

「ライザ」はカジュアル寄りの戦闘システムですが戦闘の難易度のバランスがうまい。

錬金術にそれほど興味が無い人もいるでしょうから、そういう人もある程度なんとかなって、錬金術を頑張る人は戦闘が簡単になるようになっています。

中盤までは良い装備品を作らなくてもなんとかなりますが、終盤のボス戦は良い装備品を作っていないと勝てません。

中盤からはアイテムの強化ができるようになり、そこからは装備品を調合して作り出すだけでなく、作った装備品を強化することができるようになります。優しいシステムです。

終盤は拾える素材の質がかなり上がっていて、錬金術の調合で投入できるアイテムの数も増え、プレイヤーの調合への理解も進み、アイテムの厳選が楽しくなってきます。

さらに終盤は調合したアイテムを複製することができるようになり、調合が一気に楽になります。

終盤の調合の楽しさが序盤にもあると良かったのですが、序盤はアイテム投入数の制限などがきつく、序盤はアイテムを厳選する意味がそれほどありません。調合が楽しくなるのは終盤です。

システムが親切。バックログが最高

最近のJRPGは親切設計になっていて良いです。

今やどのゲームにもありますがミニマップはとても有り難いです。かつてRPGはミニマップが無かったのでマップ探索が結構大変でした。それが今やミニマップを見ながら移動できますからとっても楽になりました。

「ライザのアトリエ」で一番嬉しかったのはバックログの存在。

私は会話シーンをポンポンポンと一定のリズムでボタンを押して読んでいきます。たまに集中していなくて、文字は追ったけど何を読んだか分からないということがあります。そういうときにバックログがあると、とても助かります。

これまではバックログはビジュアルノベルなどでしか無い機能でしたが、RPGにもこの機能があるのは有り難いです。

アイテムの絞り込み(検索)は改善の余地あり

システムは全体的に親切だと思うのですが、アイテムの絞り込みは不便です。

アイテムは5000個まで保管でき、この中から調合に使用するアイテムを選んだりします。保管しているアイテムが少ないときは良いのですが、多くなってくると目的のアイテムを見つけるのが大変です。

もう少しなんとかならないものでしょうか。

アイテム一覧を見るときは毎回「並び替え」→「品質」を選択してから、「並び替え」→「図鑑順」と選択してソートしています。こうしないと図鑑順で品質順に並びません。アイテムの並べ方ぐらい保存して欲しい。

アイテム毎に少しずつ特性が違うのですがそれをもう少し簡単にパッと見て分かるようにして欲しいです。

調合時にアイテムを選んでいるときもお気に入り登録させて欲しい。調合のシステムは細かな部分に不満がたまります。

図鑑を見るときも目的のアイテムを発見しにくい。

「ライザ2」では改善されているのかもしれません。

エロ推しは気にならない、というか想像よりもエロくない

アトリエシリーズは錬金術のシステムがどうのこうのよりも、ビジュアルで「かわいい」「エロい」を押し出すようになってきたゲームです。「ライザ」も太ももとおっぱいで宣伝したゲームです。

私は日本のコンテンツに何でもかんでもエロ(サービスシーン)が入るようになってきておかしくなっていると思いますが、「ライザ」はプレイしてみると意外と太もももおっぱいも気になりません。

Steamのレビューコメントでは「ムラムラしてゲームが進まない」「思考力を奪われてストーリーや会話の内容が頭に入ってきませんでした」というのがありましたが、私は全然エロが気になりませんでした。

「ライザ」は映像でおっぱいがアップになるシーンなどはなく、カメラワークは意外にも上品です。

たぶんエロを欲している人はマップ移動時にカメラを動かしてキャラクターを眺めているかフォトモードで楽しんでいるのだと想像します。でも私はそんなにエロさを感じません。ライザは健康的なエロに入るのかも。

エロ推ししているアトリエシリーズなのに思ったよりもエロくないんだなと驚きました。

SteamのレビューコメントなどSNSでは人気取りのための受け狙いのコメントが多いので、上で挙げたSteamのレビューコメントはその類いのものだったのかなと思っています。

「ライザ」のおかげでシリーズの他のゲームにも興味が湧いた

楽しめた度

久しぶりにJRPGをプレイして楽しかったです。エンディングまでプレイできました。裏ボスみたいなのも倒しました。

実は意外と敵の種類が少なく色違いばかりなのですが、そこまで気になりませんでした。もう少し敵の種類が多いとより楽しいゲームになります。

有料のDLCは導入していないのでお着替えは楽しんでいません。

恐る恐る買った「ライザ」でしたが想像以上に楽しかったです。やはり人気のゲームはよくできていますね。

システムがカジュアル寄りですのでアイテム調合をがっつりやってしまうと戦闘が簡単になってしまうのですが、私は終盤になるまで調合がそれほど楽しめなかったので丁度良い難易度でした。

「ライザ」が思いのほか楽しめて他のアトリエシリーズにも興味が湧きました。

「ライザ」が楽しかったなら「ライザ2」があるじゃない、と思うのですが、レビューを見てみるとそんなにストーリーが良くないというコメントが多いです。

ジュブナイル系のストーリーになることは容易に想像できるのでストーリーにはあまり期待できそうも無いです。

でもシステムは改善されているようなので安くなったら買ってみようかと思います。

登場人物がほとんど大人で、思いっきりミステリーのアトリエシリーズとか無いでしょうか。そうなるとほのぼのワールドではないので無理でしょうかね。

登場人物が次々と殺されていく殺人事件とかが良いなぁ…。「ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団」のストーリーはその系統で良かったです。この次回作の「ガレリアの地下迷宮と魔女ノ旅団」をプレイしたいのでPC版を発売して欲しいです。

それはともかくアトリエシリーズの他のものもちょっと調べてみてみます。

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About

Nomeu

ほとんどのジャンルのゲームが好きです。特に好きなのはRPG。「Xenogears」「クロノトリガー」「ペルソナ3、4」とか。ドラクエは「V」。主人公が「勇者」ではないところが好き。ビジュアルノベルは「STEINS;GATE」「Ever 17」「AIR」が好き。

どこぞの作曲コンクール最優秀賞受賞。好きなゲーム音楽は「愛のテーマ (FF)」「Heartful Cry (ペルソナ)」「夢の卵の孵るところ (Xenogears)」「凍土高原 (Kanon)」「夜の底にて (クロノトリガー)」「Theme of Laura (Silent Hill 2)」「Scarlet (みずいろ)」「bite on the bullet (I've)」など。たくさんありすぎてスペースが足りません。

ゲーム音楽以外だと「Ballet Mecanique (坂本龍一)」「月光 第3楽章 (L.v.Beethoven)」「水のない晴れた海へ (Garnet Crow)」「Angelina (Tommy Emmanuel)」「空へ… ライブ版 (笠原弘子/ロミオの青い空)」「太陽がまた輝くとき (高橋ひろ/幽遊白書)」「スカイレストラン (ハイ・ファイ・セット)」など。