北極で孤立したアメリカ海軍の駆逐艦と研究者からスタートする「ザ・ラストシップ」。

ウィルスで伝染病が広がって世界的なパンデミックとなったが、外部との通信を切っていたのでその状況を知らないアメリカ海軍の駆逐艦と、密かに状況を知っている研究者。

世界中が無法状態となるのは、ゾンビは出てきませんが「ウォーキング・デッド」に似ています。でもこのドラマは海軍の戦艦(駆逐艦)に軸をおいているため、陸上ではなく、海上がメインというところが新鮮です。

第1話から戦闘シーンに力を入れていて、戦闘ヘリを打ち落とすシーンが最高。このドラマはロケットランチャーや重機関銃でヘリを撃ち落とす場面が結構あり、Call of Duty とか Battlefield シリーズをプレイした事がある人はそのシーンのままで「うぉー」と盛り上がれます。

酷くつまらないドラマ「フィアー・ザ・ウォーキング・デッド」を観た後なので、とても楽しめています。

楽しめた度

ストーリーはウィルスによるパンデミック+ワクチン+サバイバル

ストーリーはアメリカ海軍とウィルス研究者に焦点を当て、アメリカ海軍の1部隊(駆逐艦ネイサン・ジェームズ)に協力してもらって北極に来ていた研究者がロシアから襲撃を受けるところから始まります。研究者はずっとアメリカ海軍に任務を秘密にしていましたが、襲撃されて艦長に真実を語ります。

研究者はペンタゴンから指令を受け(正確にはペンタゴンを説得した)、北極でウィルスの始原株を探していました。その間に世界がウィルスで伝染病のパンデミックとなり、40億人が死んだ。

でも北極に来ていたこの戦艦は極秘の武器評価試験のために数ヶ月のあいだ外部との通信を遮断していたため、そのような現状を知りません。研究者はこっそり衛星通信で連絡を取り、状況を知っていました。

これが第1話で、この世界人口がかなり減った状況からどうサバイバルしていくかとストーリーが進んで行きます。

海軍としてはアメリカの政府は崩壊してしまったようだがとりあえずアメリカに戻りたい、研究者はワクチンを作りたい。資源が少なくなっていく。ロシアからもウィルス始原株を手に入れようと攻撃される。ロシアの内通者が艦内にいる。

無法状態は「ウォーキング・デッド」と似ているが、観ていてイライラが少ない

無法・無政府状態になったサバイバルの面では、ゾンビとの戦いを描く「ウォーキング・デッド」と似ています。でも圧倒的に違うのは海軍の部隊であるということ。

軍隊なので指揮系統があり、バカな行動をする人がほとんどいないし、戦闘もうまい。パニックもない。海軍で訓練をしているため、敵のとの戦闘(近接格闘も含め)に勝てることに理由付けがある。

艦長はしっかりしている人で、筋が通っているし、自己反省もする。隊員も自己中心的な人が少ない。観ていてイライラすることが少ないドラマです。感情的で頭の悪い人がほぼ登場しない。

ウォーキング・デッド」は普通の人が過酷な状況でサバイバルするのをシミュレーションするように楽しめますが、ヒューマンドラマ故にバカな行動を起こして観ている側がイライラする場面もあります。バカが居ないと始まらない「イディオット・プロット」というアレ。

サバイバルものの中では「ウォーキング・デッド」は比較的ストレスが少ないドラマだと思いますが、「ザ・ラストシップ」はもっとストレスが少ない。

サバイバルものというか、無政府状態・無法状態のドラマや映画は最近多くていろいろありますが、このドラマは海上というのが新鮮で観ていて楽しいです。戦艦はこうなっているのかと眺められます。

あと、「ウォーキング・デッド」とは違い、「ザ・ラストシップ」では世界人口はかなり減ったもののまだ社会が機能していて、秩序があります(シーズン2から描かれます)。ここはゾンビパニックものと違います。

ゾンビに殺されるわけではないので、テレビ放送やラジオ放送がまだ行なわれています。このあたりの描き方はちょっとふわっとして曖昧です。

感情的な人ばかりの「フィアー・ザ・ウォーキング・デッド」は酷すぎる

最近「ウォーキング・デッド」のアナザーストーリーである「フィアー・ザ・ウォーキング・デッド」を観たのですが、感情的な人ばかりで合理性もないし判断基準がいつもふわふわ。

自分の思い通りに行かないと怒る人が主人公なのでどうしようもない。ずっと子供のケンカを観ているようなドラマで、本家「ウォーキング・デッド」には全く勝てず、観ても観なくても同じというような、本当につまらないドラマでした。

一応流し見でシーズン4の途中まで観たのですが、面白くなることがありませんでした。過去どうだったかの話ばかりで飽きしてしまい、共感できないし、脚本が酷すぎる。良い題材を貰いながら、こんなドラマができあがるとは逆に驚きです。

自分の体にゾンビの血を塗ればゾンビに襲われないという隠しテクニックを早めに出してしまったのは敗因です。

常時それでいいじゃん。何で外に出るときにゾンビの血を塗らないの?というかゾンビの血が体内に入っても大丈夫ってこと?

それに比べ、「ザ・ラストシップ」は艦長がしっかりしているので行動の決定にとても安心感があります。周りからの進言にも耳を傾けられる人物です。

ヒューマンドラマが少なくてとても良い。過去の振り返りもない

ザ・ラストシップ」は恋愛がどうのこうのとか、嫉妬とか喧嘩などのヒューマンドラマはほとんどなく、目的のためにストーリーが進んで行き、観ていて先を知りたくなります。

舞台設定がしっかりしていてストーリーが進んでいくドラマは良いです。最近こういうドラマにあまり出会えません。どれも恋愛要素が多くて困ります。

みんなヒューマンドラマが好きなのでしょうか? 私はヒューマンドラマとか恋愛要素はもう十分で、それがないものを観たいです。

あと、「ところで、この人物の過去にはこういうことがあって~」と過去や生い立ちを見せるのがないのも良いです。「フィアー・ザ・ウォーキング・デッド」や「LOST」など、個別に人物の過去の出来事を観ていくドラマが多すぎます。

この手法はすごく退屈です。多用されるとまた過去の話かよとうんざりします。

フィアー・ザ・ウォーキング・デッド」のシーズン4は酷すぎ。毎回のエピソードに数回以上過去のシーンが挟まれます。

今の状況を少しだけ見せ、過去の出来事をダラダラ、現在をちょい見せ、過去をダラダラ、の繰り返し。誰か周りにこの手法が退屈だと指摘する人はいなかったのでしょうか。

私が観たいのは過去のストーリーでは無く、現在のストーリーです。

ワクチンの開発を今と照らし合わせて観ると面白い

ウォーキング・デッド」はゾンビ化の原因である「ウィルス」についてはシーズン1~2以降はほぼ触れられなくなるのですが、「ザ・ラストシップ」はしっかりとワクチンを作ります。

その作ったワクチンが本当に効果があるかをテストをするエピソードもあり、ストーリーがとてもしっかり作られています。

ウォーキング・デッド」は早々にウィルスのことに触れなくなってヒューマンドラマに終始してしまいますが、「ザ・ラストシップ」はワクチン・治療薬がメインテーマの1つになっています。

今はコロナウィルスが蔓延していますが、このドラマは2014年に放送開始で、先見の明がありました。

どうやってワクチンを作るのか、どうやって改善するか、どうやってワクチンを広めるか、とワクチン周辺のこともしっかりと作られています。

今はコロナウィルスによってワクチンに少し詳しくなっていますので、現状と比較して楽しめます。

ザ・ラストシップ」では資源と人材が足りなくてワクチンを量産できず、液体のワクチン注射ではワクチンを大量には配れない。

そこで、シーズン2で凄いアイディアが登場します。驚きました。

「えっ、そんなことできるの?」という画期的なアイディア。免疫の獲得を一気に広範囲に広められます。

現在のコロナウィルスへのワクチンもこの方法で開発できれば素晴らしかったです。ただ素人目線でもこの方法はちょっと無理っぽいような…。まぁそこはSFとして実現できればいいなぁと思いながら楽しんでいます。

メンタリストDaigoのような優生思想・選民思想と闘う

ザ・ラストシップ」は優生思想・選民思想と戦い、多くの人を助けようとします。一部の人へだけワクチンを打つシーンはありません。

メンタリストDaigoのような、優秀な人だけを助け、他は殺すという人が登場するのも彼のおかげで身近となって興味深く観ることができます。

生きるか死ぬかという状況下では仲間をどう助けていくか、コミュニティをどう存続していくかを考えなくてはなりません。どうしても優生思想と相性が良いです。

ナチュラルに優生思想を持っているメンタリストDaigoとは状況は違いますが、緊急事態下では誰が生き残るかを決める際にはどうしても役立つ人を生かしたくなってしまうでしょう。

ザ・ラストシップ」は物資が比較的潤沢で、食料が尽きるなどの困窮した状態は描かれません。これにより、究極の選択をしなければならない状況にはなりません。

それが描かれているのは「ウォーキング・デッド」の方です。どちらも良いところがあるドラマです。

シーズン2では選民思想を持った集団が登場し、彼らは自然免疫を持っています。周りの人が死んでいく中、ウィルスに免疫を持っていて死ななかった。だから神から選ばれたのだ、と。選ばれなかった人は殺していきます。

何とアメリカ大統領もそれに心酔している。シーズン2の放送は2015年で、当時のアメリカのドナルド・トランプが話題になっていたことを考えると、とても時事的なテーマを盛り込んだストーリーです。

反ワクチンとの闘いも

ザ・ラストシップ」のシーズン2では、反ワクチンとの闘いも描かれます。

反ワクチンの集団が登場するのも見事な予想でした。ドラマの原作はウィリアム・ブリンクリーによる1988年の小説。彼は反ワクチン運動を経験したのかもしれません。

ワクチンの副作用で死ぬ恐怖から反ワクチン的な考えになるのは分かりますが、このドラマではそちらではなく、お金儲けと陰謀説で反ワクチンを先導して利用するリーダーが登場します。

反ワクチンのリーダーは何とフェイクニュースを使って海軍の悪い噂を広めます。この手法は2015年あたりのドナルド・トランプの影響を受けて作ったストーリーだと見受けられます(原作にもこの手法が登場するなら素晴らしい予想です)。

時事ネタを盛り込んだストーリーで、今となってはフェイクニュースやデマ、陰謀説は日常茶飯事となり、親近感がある内容です。

2020年のアメリカ大統領選挙で、トランプ大統領を擁護して選挙が不正だとするデマを広めたTwitterアカウントのランキング上位に門田隆将(門脇護)を始め、日本人が多く居たことが驚きでしたが。

VoterFraud2020: a Multi-modal Dataset of Election Fraud Claims on Twitter

不満点は殺しの判断が遅いこと

不満点があるとすれば、「ウォーキング・デッド」よりも殺しの判断が遅いこと。

上で書いた、メンタリストDaigoのような、優秀な人だけを助け、他は殺すという人物(政府高官でボルティモア地域のリーダーの女性)をすぐに撃ち殺せば良かったのですが、それはしません。

「げ、こいつの思想ヤバい」と分かった瞬間に、眉間を撃ち抜いて瞬殺すれば不要なトラブル(全面戦争)を避けられたのですが、状況がまずくなってから腰を上げます。

これがやや不満です。ロシア海軍が脅しをしてきてその艦長と対面して交渉する場面でも、私はその場にいる全員をうまく殺せればロシア戦艦を無力化できるのにと考えていました。相手も油断していたので、隙を突けばできそうな場面でした。

ウォーキング・デッド」のように周りは敵ばかりという、荒んだ発想からの行動にはなっていません。「ザ・ラストシップ」ではまだ社会が機能しているのと軍人なので、あまりにも法外の行動は取りません。

殺人を行った人を法で裁こうとするのは驚きでした。外部に何も言わなければ裁判なんて起きないのに。この辺りは法を守りすぎているように思えます。

ザ・ラストシップ」は「ウォーキング・デッド」よりも慎重派です。慎重が故に仲間が死んでしまうのはちょっとやるせない。

海上のバトルは新鮮。敵の戦艦・潜水艦との戦いは緊迫感があって楽しい

現在シーズン2を見終わったところです。ドラマ「ボッシュ」の主人公が味方で良かった。

シーズン2の魚雷の発射のバトルは緊迫感があって最高でした。頭を使ったバトルは面白い。

敵の潜水艦から狙われているがこちらからは敵の位置が分からない。敵のパッシブソナー探知から隠れるため音を立てないように無音航行を全隊員に指示(このシーンで靴を脱ぐのを観られて勉強になります)。

敵がこちらの駆逐艦を探知できないため、敵はアクティブソナー探知を開始。敵がこちらを見つけ魚雷発射。すぐさまこちらもアクティブソナーの発信源を把握して魚雷発射すると共に敵の魚雷を避けるように回避行動。敵がアクティブソナーを切って隠れる。

…敵の魚雷を避けられるか? こちらの魚雷は当たるか?

このシーンは緊迫感があって最高でした。なるほど、戦艦はこうやって戦うのか。脳筋バトルではないので面白い。

今では昔のドラマになってしまいましたが「Heroes」というドラマは熱中して観ていました。頭を使った超能力バトルだったからです。戦略が見えると面白いです。

ストーリー展開のテンポが良い。サバイバル要素は早めになくなる

シーズン1はサバイバルとワクチン開発とロシア海軍との戦い、シーズン2は優生思想・反ワクチン集団と戦ってワクチンを広める。シーズン3は対中国。

ストーリーは次々とテーマが移り変わっていきます。シーズン1の最初はサバイバルだったのですが、早々にサバイバル要素はなくなっていきます。

ストーリー展開のテンポが良いので状況の変化が激しく、ストーリーがドンドン進んで行くのが楽しい。

それを考えると「ウォーキング・デッド」はずっとサバイバルですからシナリオライターが頑張っています。

戦闘シーンも結構力が入っていて面白いし、「こんなところ借りて撮影したんだ」という驚きもあって面白い。ホワイトハウスによく似た場所でも撮影しています。セットなのか合成なのか分かりませんが。

撮影にお金を掛けているドラマは見ていて満足感があります。こういうのは日本のドラマではほぼありません。合成だなと分かってしまうところもありますが、そんなに気になりません。

途中で投げずにシーズン5の最後まで観られそうです。

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Nomeu

ほとんどのジャンルのゲームが好きです。特に好きなのはRPG。「Xenogears」「クロノトリガー」「ペルソナ3、4」とか。ドラクエは「V」。主人公が「勇者」ではないところが好き。ビジュアルノベルは「STEINS;GATE」「Ever 17」「AIR」が好き。

どこぞの作曲コンクール最優秀賞受賞。好きなゲーム音楽は「愛のテーマ (FF)」「Heartful Cry (ペルソナ)」「夢の卵の孵るところ (Xenogears)」「凍土高原 (Kanon)」「夜の底にて (クロノトリガー)」「Theme of Laura (Silent Hill 2)」「Scarlet (みずいろ)」「bite on the bullet (I've)」など。たくさんありすぎてスペースが足りません。

ゲーム音楽以外だと「Ballet Mecanique (坂本龍一)」「月光 第3楽章 (L.v.Beethoven)」「水のない晴れた海へ (Garnet Crow)」「Angelina (Tommy Emmanuel)」「空へ… ライブ版 (笠原弘子/ロミオの青い空)」「太陽がまた輝くとき (高橋ひろ/幽遊白書)」「スカイレストラン (ハイ・ファイ・セット)」など。

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