怪談を楽しみたい人にお勧めしたい。感想の言い合いで緊張をほぐせて、怖さを引きずらない『怪談のシーハナ聞かせてよ。』
最近はテレビで怪談が放送されることがなくなり、一龍斎貞水さんが恋しくなることがあります。
怪談をどこかで見ることができないかなと調べたときに『怪談のシーハナ聞かせてよ。』を見つけ、2年ほど前からちょくちょく見ています。
最近は怪談が流行ってきているらしく、Amazon Prime Video でも思ったよりも怪談のビデオがあるのですが、私はその中でも『怪談のシーハナ聞かせてよ。』が一番好きな怪談番組です。
なぜこの番組が優れているのかというと、怪談社の二人の存在と、聞き手の存在。
目次
怪談の後で感想の言い合いがあり、緊張をほぐせる
怪談師だけではなく、聞き手も番組に登場することで、怪談の後で感想を話しているのを聞くことができます。
怪談というのは怖い話ですから、聴いている方は緊張します。
怪談を聴き終えると「怖い」という感情を解消したくなりますが、一人で見ている場合は人に話すことができずに怖さを解消できません。
この番組は怪談の後で、聞き手の人が「いやぁー怖かった」「あの場面はこういう意味?」などと感想を言ったり質問をしたりしてくれます。
一人で番組を見ていると、これが一区切りとなって緊張がほぐれてとても助かります。これはもの凄いメリットです。
この番組なら怪談の怖さを番組後も引きずるということが少ないはずです。
語り手(怪談師)も複数人がその場にいるため、語り手側からも語り手の視点での質問が出たり答えたりして、知識が深まります。
例えば、沖縄生まれの怪談師や沖縄の怪談をする人がいて、沖縄独特の習慣や、沖縄には「ユタ(cf. wikipedia)」という民間霊媒師(シャーマン)がいることを知ったりすることができます(ユタは「トリック TRICK」でも登場しましたね)。
聞き手が狩野英孝で大丈夫なのかと思う人もいるかと思いますが、大丈夫です。彼は真面目に怪談を聴いていて、コメントも楽しませてくれます。
『怪談のシーハナ聞かせてよ。』では聞き手も怪談をするという回が何度かあり、狩野英孝はお笑い芸人ですから人の話し方をよく観察しているのだなと気付かせてくれます(気付いてもそれを実行できるかは別にして)。
ちなみにバラエティ番組「内村さまぁ~ず Second」の Season4 #22 (#322)『もう全員50を超えてんだからそろそろイライライしないで過ごしてもらいたいシローとエイコー!!』で、狩野英孝が怪談の持ち込み企画をする回があります。
『怪談のシーハナ聞かせてよ。』を知っている人は狩野英孝の成長(の片鱗)をこちらでも見ることができます。
怪談社の二人の怪談に対する姿勢がとても良い
『怪談のシーハナ聞かせてよ。』は現在「第二章 (season 2)」になって聞き手の二人の女性が代わった新体制ですが、それ以前のファーストシーズンを見ると「怪談社」というのは小さな会社というかグループだということが分かります。
他にも怪談を話す人はいたと思いますが、当時その中で怪談社の二人を起用したのは今考えると素晴らしかったと思います。
この二人は怪談(体験)をできる限りそのまま話す、ということをモットーにしています。
つまり、聞き手を怖がらせるために話を変に足したり盛ったりするのを避けています。
私はこれがとても誠実な姿勢に感じています。
『怪談のシーハナ聞かせてよ。』は怪談社の二人がメインキャストで、彼らの他にも怪談を話す人をほぼ毎回呼んで怪談を聴けます。
彼らの怪談と他の怪談師の怪談を聞くと、話に驚かせが少ないことが分かるはずです。怪談師の中には「ワッ」「キャー」とか突然大きい声を出すのを連発する人がいるのですが、あれはやや興醒めです。
怪談社の人は怪談の締めが「なぜこうなったのか理由は分かりません」で終わったりします。事象への理由付けは後からするものであって、まずは体験談をそのまま話す。
ただし、彼らは盛った怪談を否定はしていません。他の怪談師の話を聞くと、確かに怪談でもエンターテインメント的には話をカットしたり、足したりした方が良いという場面もあることが分かります。
『怪談のシーハナ聞かせてよ。』は色々なタイプの怪談師が登場するので、その違いは味として楽しめます。
ホラー映画に例えると、音で驚かすタイプと、じわじわくるタイプの違いのような感じです。たまには音での驚かしも面白いですし、全部がじわじわタイプだとメリハリがない。バランスが大事です。
色々なタイプの怪談師が登場するというのは面白いです。
慣れてくると怪談師の話し方を楽しめる
怪談師が何人も登場するので、それぞれの怪談師がどのように怪談を話すのかを聴いて楽しめます。
「友達に話すように話す人だな」とか、「あ、この人、話の構成が悪くて頭にスッと入ってこない」とか、「えっ、この人滑らか!」とか、「声でびっくりさせる系か」とか。
Amazon Prime Video で「怪談」と検索したり、怪談師の名前を検索すると、怪談師単体の怪談番組を見つけられます。『怪談のシーハナ聞かせてよ。』で好きな怪談師を発見するのもうまい方法かもしれません。
例えば、「とうもろこしの会」会長の吉田悠軌は話を盛るタイプの怪談師だと分かります。怪談をエンターテインメントと捉えていて、話のテンポを大事にしています。怪談社の二人が話を盛りに盛る彼に笑いながら苦言を呈する場面もあったのですが、エンターテインメント的にはこのタイプの怪談もアリだなと思えます。
女性で話がうまいのは、牛抱せん夏。怪談を語るときの演技もうまく、とても落ち着いて話してくれるので聞き応えがあります。
「演技」という言葉が出ましたが、怪談で演技をするかどうかは難しいところです。怪談の登場人物の演技をすると「体験談」というよりも落語的な「完成された話」という印象が強くなります。演技をどのように使っているか見るのも面白いです。
2人以上で1つの怪談をする回がお勧め
最初から見ていると怪談社の人も話し方がうまくなっていくのが分かります。
特に面白い怪談は、怪談社の二人で1つの怪談を語る回。1人加えて3人で1つの怪談をする回もあります。
ラジオドラマを聴いているような状態で、迫力があって思わず拍手してしまいました。怪談の語り方としては複数人で役を分けて語るというのは面白く、満足度がかなり高い。
この複数人で語る怪談を聴いて欲しいです。
たぶんスペシャル回で複数人で1つの怪談をしています。Season1 #16「怪談社SP」、#29「真夏の怪談社スペシャル」、#52「晩夏の怪談社スペシャル」、Season 2 #29「【古典怪談SP】怪談社・牛抱せん夏による大迫力の怪談!」など。
先ほど Season2 #29 を観たのですが最高でした。ここまで来ると本当に落語ですね。
以前、桂歌丸師匠の「江島屋騒動」を見ましたが、落語家がする怪談も面白かったです。歌丸師匠は話に入る前に「イカモノ」という言葉の説明をしていたのが印象的でした。現代では使われない言葉なので配慮をしていました。
「エンタメ~テレ」のチャンネルに登録するのが安い
現在 Amazon Prime Video では、プライム会員なら Season 2 #1 を無料で観られます。
これを観てみてこの番組が合うかどうか見極めると良いでしょう。
以前は Season 1 の回がいくつか無料だったのですが、今は Season 2 の #1 だけしか無料で観られないようです。
Amazon Prime Video ではそれぞれの回を1つずつレンタルするより、「エンタメ~テレ☆バラエティ オンデマンド」チャンネルに登録(購読)すれば全部観られるので安いです(登録ボタンは『怪談のシーハナ聞かせてよ。』にもあります)。
実は私が今のところ Amazon Prime Video で登録したチャンネルはここだけです。この番組見たさで登録しました。映画とかは Netflix で良いですしね。
怪談好きな人や、怪談は聴きたいけど緊張しすぎるのが苦手な人、怪談の怖さを引きずりたくない人に、この番組は本当にお勧めです。