『The Last of Us: Remastered』レビュー - 冬のシーンがものすごい緊張感。このシーンを体験できて本当に良かった
高評価を聞いていた「The Last of Us」をやっとプレイ。このゲームはPC版が出ていないので PS3/4 を買わなくてはプレイできないゲームでした。
私が買ったのは Remastered 版。結果、プレイして良かった。
このゲームのことを話そうとするとやっぱりネタバレなしには語れません。ということで以下少しネタバレを含みます。
エリーと一緒にいるうちに芽生える愛情
幼女を守るゲームというのは良いゲームが多いですね。「BioShock」とか。この「The Last of Us」も14才の女の子(エリー)を守りながら進むゲームです。
ストーリーや設定はよくあるゾンビものと同じでそれほど奇抜ではないのですが、ヒューマンドラマの見せ方がうまい。
ゾンビ的な感染者が満ちあふれた世界で、最初は単にエリーを送り届けるという運び屋の仕事だったのですが、一緒に旅をしていくうちに徐々に愛情が芽生えます。
主人公は20年前に娘を亡くしており、その娘に注ぐはずだった愛情を徐々にエリーに注いでいきます。
娘がいるような年齢の大人に向けたストーリーですね。私は最初からエリー可愛いなぁと思いながらゲームを進めていたので、始めから愛情があるわけですが。
映画のようなカットシーンが多々あり、言葉での説明なしに映像だけでシーンを描くところがうまい。
車で遠くに行くときに主人公がエリーに「寝とけ」といい、エリーが「大丈夫」と答えるシーンがあるのですが、そのすぐ後にカットが切り替わり、助手席でエリーが眠っているカットに。このシーンはお気に入り。
どうしてエリーに銃を渡さなかったのか?
この手のストーリーに必ずあると言っても過言ではないのは、子供に銃を撃たせるかどうか迷うシーン。
主人公は最初はエリーに銃を渡さないのですが、エリーに何度か助けられ、エリーを信頼するようになります。主人公がエリーに心を開く場面として描かれています。
ここはちょっと不思議なのですが、私はもしこういう状況の世界ならすぐにエリーに銃を渡します。
自分で身を守れないといけませんし、突発的に敵に襲われるかもしれませんし、敵に銃を撃つ人は多い方が戦力的にいい。ゲームのコントローラーを握っている私は自分のことだけで精一杯で、エリーを守れません。
「The Walking Dead」など、アメリカの映画やドラマで子供に銃を渡すかどうか悩むシーンをよく見ますが、このゲームの世界は「子供に人殺しをさせたくない」といっていられる状況ではありません。撃たないと殺される。
そもそもエリーは逃げてくる前は軍の学校に所属しており、銃の扱いも手慣れたものです。主人公が銃を渡す前にもう銃を撃ったことがあるわけです。
序盤には主人公はエリーを送る依頼をすぐに終わらせようとしていましたが、この頃はそんなにエリーに対して愛情がなく、仕事と割り切ってエリーを送り届けるだけならなおさらエリーに銃を持たせた方がいいでしょう。
私には不思議に見えるシーンでした。
最高に盛り上がる冬のシーン
実は高評価のこのゲームをプレイして最初の数時間、あまり面白くないなぁと思っていました。ですが、最初はそっけなかったエリーと主人公の掛け合いが、徐々に面白くなっていったのです。
仲良くなっていくのが目に見えます。日本ではちょっと珍しく映るのですが、14才のエリーがズケズケと自分の考えを言うため気持ちいいのです。
エリーが他の人に馬鹿にされた事に対し「ハッハー死ね」と言ったときには思わず笑ってしまいました。
冬のシーンはこのゲームの最高潮。このゲームで一番良かったシーンはここです。
もう寝ないといけない時間でしたが、先が気になってやめられない…。ここが一区切りするところまで続きが見たい。
ゲームで先が気になって止められなくなったのは初めてです。
本当に緊張感のある場面。衝撃のシーンから冬のシーンにカットが切り替わったとき、私はもう数年時が過ぎているのかもしれないと怖かったです。
冬のシーン最初、誰かが動いているのですが、誰か分からないように見せているのが憎い。まぁ描写としてはうまいのですが。
ゲームをクリアした今言えるのは、この冬のシーンを見るためだけにこのゲームを買っても惜しくありません。
本当に最高のシーンでした。これは映画では得られない満足度です。私とエリー、私と主人公が一緒になって頑張りました。ゲームだからこそできるシーンです。
私にはすごくリアリティがあるように感じられました。生きるか死ぬか。人の最期は本当にあんな感じで、ゲームだとしても怖かった。
ちょっと気になったのは眠るときが寒そうだったから火をたいて欲しかったこと。火をたくと居場所がバレてしまうということでしょうか?
エンディングは読み解くのが難しい
このブロックは完全にネタバレです。注意。
エンディングは綺麗に終わらないので色々な見解が見られます。いくつか読んでみましたが、私はエリーが主人公に対してある種の決意と諦めをしたように見えました。
主人公(ジョエル)がエリーを自分の子供のように思っているのをエリーが感じ取ってはいる気配です。主人公が最後シーンで嘘をつき、エリーが「分かった」と言う。
この「分かった」の真意をみんな頑張って読み取ろうとしています。正解はないというか、続編が出ないと分からないわけですから(続編が発表されています)、現段階で正解を得るのは難しい。
私が重要だと思ったところは、病院に着く前にエリーが気落ちしているシーン。何で落ち込んでいるんだろうなと不思議だったのですが、病院に着くと自分が死ぬと分かっていると読み取ると納得できます。
でも結局生きている。ここがラストシーンに結びつくのですが、ジョエルに向かって「病院でのことを真実だと誓って」と投げかける。ジョエルはもちろん「誓う」。
「分かった」という返答をプラスに解釈すると、「ジョエルの言葉を信じ切る」という決意。マイナスに解釈すると、「真実を言ってくれなかったのね」という諦め。
ラストシーンは操作できる人物がエリーになっていることを重く受け止めている見解もあり、これは確かに言われてみるとプレイヤーは何でエリーを操作しているのでしょう?
ここからエリーの自立だろうと読み取る人もいました。でもエリーは一人になるのが苦手と言っていますし…。
キリスト教には "Leap of Faith" という言葉があり、あれと関係するのかなぁと考えたり。
答えに辿り着けるだけのピースがなく、正解は考えても分からないと思いますので、私はエリーが「分かった。あなたが嘘をついていたとしても、あなたの言葉を信じ切って生きる」という決意だと考えることにします。
ゲームプレイは不満あり
このゲームはストーリーが気になって早く先を知りたいのですが、ゲームプレイがちょっと邪魔だなとよく感じました。
基本はスニーク要素のあるゲーム(ステルスゲーム)なのですが、「Dishonored」ほどスニークに特化したゲームではありませんし、シューターとしては銃を撃つとちょっと不利になるゲーム性。
もう少し敵を倒す場面を少なくしてストーリーを描いて欲しかったというのが素直な感想です。プレイ部分はちょっと作業的でした。爽快感があるわけではないですし。
私は早めにゲーム部分に見切りを付け、難易度を一番簡単にしました。このゲームのステルス要素には付き合っていられませんでした。
プレイして良かった
このゲームの高評価ぶりはずっと聞いていたものの、PS3/PS4 を持っていない私は気になっているだけでした。
「The Last of Us」は PS4 を買ったらプレイしてみたいゲーム第一位で、ずっと Amazon のウィッシュリストに入っていましたが、ついにプレイすることができました。
クリアまでの時間は10数時間ほどでプレイしやすく、ヒューマンドラマも楽しめました。冬のシーンは忘れないでしょう。あれは本当に最高。
高評価となるのは理解できます。
未プレイの人がいたら是非お勧めしておきます。追加エピソードの「Left Behind」は物語をより深く知るためには良かったです。
この追加エピソードで冬のシーンでちょっと疑問だったところが解決しました。エリーの過去を描くシーンはちょっと冗長でしたが。
追加エピソードは Remastered 版には最初から含まれています。