LIMBO は評価が高い。metascore は 89。でも、私がプレイした感じではつまらない、平凡以下のゲームという印象。

LIMBO のプレイを開始すると主人公は全く分からない場所で気を失っている。起き上がって、そこから進んで行く。とりあえず走ってみる。ジャンプして崖を渡ったり。このゲームでプレイヤーができることは移動とジャンプと、オブジェクトに対するアクションだけ。操作は簡単。

死に覚え型、Trial-and-Error ゲーム

私はこのゲームをパズルゲームだと思って購入してプレイしたのだけど、この認識は違っていた。プレイし初めて数分後、走っていると突然トラバサミのような罠にかかり死んだ。一瞬だった。LIMBO は独特の白黒画面で罠が分かり辛く、全く気付かなかった。これは LIMBO のゲームデザインを示す通過儀礼のようなものだと認識できる。マップ上のトゲトゲの形に注意しなければならないようだ。しかし、

クモみたいな生物に近づいたらグサッ。

人影を追いかけたらグサッ。

このように、ただ進むと死ぬことが多い。なるほど、このゲームはパズルゲームでは無くて、死に覚えのアクションゲームだ。そのまま進んだら死んでしまうから、それを回避する為にパズル要素が少しあるアクションゲーム。LIMBO は VVVVV や Super Meat Boy! などの Trial-and-Error のアクションゲームに近い。そこにパズル要素が少し入っている感じ。それらのゲームに比べるとアクションはそれほどシビアでは無いのだけど、後半にはシビアなアクションもある。

良く死ぬゲームとしてはチェックポイントが重要。確かにチェックポイントは多くて良いのだけどあまり親切では無い。次のチェックポイントまでが少し長い箇所が幾つかあり、その途中で死んでしまうとチェックポイントから面倒な場面を繰り返しやらないといけない事があった。もっとチェックポイントを多くしても良かったのでは。

LIMBO ではこの Trial-and-Error のゲーム性に意外とイライラさせられる。とりあえずプレイヤーを死なせるというゲームデザインが、「初見プレイで死を回避しよう」という意欲を奪っている。白黒画面で意地が悪く、突然死が襲ってくるこのゲームでは理不尽さが真っ先に感じられる。

白黒画面が見辛い

LIMBO の特徴である白黒画面はゲーム性を殺している箇所がある。そもそもどうして白黒にしたのか、という疑問もあるのだけど、芸術的な効果を狙ったというのが一番の目的だろう。画面が白黒だから面白くなっている場面、というのは少ない。寧ろ、白黒によって目の前にあるオブジェクトが何か分からない。草なのか、トラバサミなのか。木の箱なのか、鉄の箱なのか。これがこのゲームの些細なパズル要素を変に難しくしていて、フラストレーションが溜まる。

上の場面では、左から人を殺しながらクモが迫ってきている。右には深い池があり進めない。この箇所は本当にイライラした場面だった。崖の出っ張りにぶら下がって隠れていれば大丈夫だろうと思ってそうしたらグサッ。崖の出っ張りの下に隠れるんだろう。グサッ。じゃあ、クモの足を飛び越えるのか。グサッ。殺された人の死体で何かするのだろうか。グサッ。

この場面での解法は実は簡単。

崖だと思っていた足場は押せる。これは木でできた何かだったようだ。これに気付いた時、思わず「白黒じゃなかったらなぁ」と思ってしまった。白黒の所為でオブジェクトが分かり辛すぎる。「あ、なるほど!これは押せるんだ!」というカタルシスは一切得られなかった。「あー面倒だ」としか思わなかった。パズル要素のパズルが難しいのでは無くて、パズル以前に白黒画面と戦わないといけない。これはパズルゲームでは無い。

訳の分からない制限

私が一番不思議に思ったのは上の場面。私はマリオなどのアクションゲームの知識から、「右の水中を進むには、この壊れかけの木箱をビート板のようにして進むのだろう」と考えた。そうすると、

このようになる。主人公はプレイヤーの意図に反して箱から手を離し、勝手に水没。浅瀬で死んでいる。LIMBO の主人公は水に弱い。水中では全く動けない、動こうとしないので、肩まで水につかったら終わり。「スペランカーかよ」と突っ込みを入れる。

木箱を右に押して泳がせておいて、上でジャンプして向こう側まで渡ろうとも考えたのだけど、木箱はすぐに90度回転するので連続してジャンプができない。そういうアクションゲームでは無いようだ。そもそも、これは木箱なのだろうかという疑問もあったりする。

この場面で Amnesia -The Dark Descent- を思い出してしまった。Amnesia の開発者は実際の世界に則して頭で考えられることをパズルの解法にしていた(ブログで発言している)。あのゲームは優秀だったのだ。LIMBO の主人公が箱から手を離すなど誰も予想できない。水に入って全く泳ごうとしないのも予想できない。

ストーリーが意味不明、または難解

「LIMBO は映画のようだった…」と Metacritic に書いている人もいるのだけど、それは自分でストーリーを補完しすぎている。

  • 草原で目を覚ます。
  • トラップが多い場所をかいくぐって進む。
  • 主人公は水中で全く動けない。
  • 主人公は手だけで梯子を登れるほど力がある。
  • クモが大きい。トラップも大きい。トラバサミは主人公の足から首までほどの大きさ。
  • 自分以外にも人がいる。
  • 人は人を殺している。
  • 後半では障害物センサー付きの銃が登場する。
  • 弓矢で攻撃してくる人達もいる。
  • 電気がある。
  • 「HOTEL」というネオンサインをもつ建物がある。
  • 重力をコントロールできる装置がある。
  • ゲーム最後に、(白文字) 女性らしき人を見かけ近づこうとしている。
  • エンディング後、(白文字) おそらく二人のいた場所にハエがたかっている。
  • Limbo という単語は、リンボーダンスの方では無くて、ジーニアス英和大辞典によると「Limbo - リンボ《地獄と天国の中間にあり, キリスト降誕以前の善人や洗礼を受けなかった幼児の霊魂が住む所;cf. Styx》.」のことらしい。

この情報から「映画のようだ!」とは私は言えない。第一印象では「Braid のストーリーに水をたくさん入れて薄めたんだね。」と思った。ゲーム中には文字は一切無い。(「HOTEL」という文字はあるのだけど。) なのでストーリーは映像からしか読み取れない。

人に襲われるのも意味が分からないし、クモが大きいのも意味が分からない。ある程度は予想できるのだけど、確実にこれだろうと予想出来ず、ストーリーはゲームからだけでは理解できない。

ちなみに、このゲームの説明には「Uncertain of his sister's fate, a boy enters LIMBO」とある。これはゲーム外の情報ではあるのだけど、この情報を知っているのと知っていないのではプレイから得られる情報に差が出てしまうので、一応知っておいた方が良い。

どうして評価が高いのか & まとめ

訳が分からず Metascore が高い LIMBO。私はこれを、「ゲームを最後までプレイせず、映像だけからしか評価していない」からだと考えている。実はこのような現象が Machinarium にもあった。あのゲームは Metascore は高いのだけど、パズルゲームとしては凡作。ゲームプレイではなくて、それ以外を評価していると思われる。アナログチックな絵、音楽の雰囲気。そのゲームプレイ以外の部分が高評価され、全体として点数が高くなっているのが Machinarium。

これと同じ現象が LIMBO にも起きたのでは無いだろうか。「白黒の画面」というだけで、「奇抜だ!」「なんて芸術的なんだろう!」と思ったレビューサイトの人が多かったのだろう。こういう評価には笑ってしまう。それなら白黒の映画や、白黒のショートムービーでいいじゃ無いか。白黒の一枚の絵でも良い。それなら高評価が分かる(かもしれない) のだけど、ゲームを絵だけからしか評価しないというのは良くない。

なお、ストーリーに関して色々と書いており、User Score(Metascore ≠ User Score) の点数を高くしている人はこのゲームのエンディングの示唆について色々と考え、高評価しているのかもしれない。そういう人はゲームを確実にクリアしているし、私よりもストーリーに関しての理解が深いと思われる。なのでその人のレビューは参考にして欲しい。

  • ストーリー
  • ゲームプレイ
  • 映像
  • 音楽
  • その他

自分でも点数を付けてみようか。上の要素が各 20 満点で、これで合計 100 満点にしてみよう。私はあまり点数を付けるのは好きでは無いのだけど、ちょっとだけやってみよう。

  • ストーリー - 語られる部分があまりにも少なく、自分で補完が必要。断片的なストーリーも少ないため、ゲームプレイからだけでは理解ができない。ただ、良く分からない世界を何だろう何だろうと考えながらプレイできる期待感はあった。なお、エンディングの意味に関しては注意深さが必要とされすぎており、私はあまり評価できない。 [5/20]
  • ゲームプレイ - 操作は平凡なアクションゲーム。パズル要素も少しあるが、白黒の画面が理解を鈍らせており、フラストレーションが溜まる。Trial-and-Error もデザインからの期待に反して良くは無い。 [9/20]
  • 映像 - 白黒の画面というのは奇抜ではある。しかし、ゲーム中ずっと白黒のため、手抜き感もある。白黒の画面がパズル要素を変に難しくしている。なお、突然白黒の世界に色が付いたら芸術点をもっとあげた。 [5/20]
  • 音楽 - BGM はあったっけ?効果音はまあまあ。 [8/20]
  • その他 - 物理エンジンっぽいものを搭載している。が、私にはどうでも良いこと。(+3) 何度もプレイさせる魅力無し。(-0) チェックポイントが頻繁。(+5) ゲーム最後にゲーム停止のバグ。(-3) クリア後にはチャプターを選んでプレイできる。(+1) 何で主人公少しも泳げないの?(-3) 箱から勝手に手を離すんじゃない!(-1) 狂気の世界?(+3) 主人公が力持ち。(+0) 一応日本語付き (+0) $2.5 で買った(+0) ゲームが短い(+0) [5/20]

合計で 5+9+5+8+5 = 32。自分でも予想外に低い。ちょっとそれぞれの要素の点数配分を変えて、ゲーム性を重視してみよう。

  • ストーリー [20] → [10] で、[2.5/10]
  • ゲームプレイ [20]→[50]、[22.5/50]
  • 映像 [20]→[10]、[2.5/10]
  • 音楽 [20]→[10]、[4/10]
  • その他 そのまま。 [5/20]

どうだろう。合計で 2.5 + 22.5 + 2.5 + 4 + 5 = 36.5。えっ。点数の付け方が厳しいのかもしれない。「その他」を満点から減らしていく計算方法にしてみよう。そうして「その他」を 15 点ぐらいにしよう。フラストレーションが溜まるこのゲームにおいてゲームが短いのは大幅なプラスなのかもしれない。先ほどとの「その他」の差は +10。よって合計は 46.5 点。おお、このぐらいでどうだろう。それにしても点数を付けるのは難しい。1つの要素に対して「気にならなかった」というレベルなら満点近くを付けてしまっても良いのかもしれない。それか各要素の満点の半分を基準にしておき、そこから点数で増減させていくのも良いかもしれない。

私は LIMBO の metascore は 50~60 点ほどが良いのではと思っている。今の Metascore はちょっと評価が高すぎる。Metacritic というサイトの User Review は、点数を少なく付けていると何故かコメントに説得力がなくなるという不思議なサイト。あのサイトからゲームの良さを読み取るのは難しい。

ところで、画面が白黒でアクション&パズルゲームといえば「The Misadventures of P.B. Winterbottom」(cf. Steam) の方が面白いのでお勧めしたい。あのゲームは Steam セールでは $1 を切る値段になった事もある。あのゲームの方が Braid のゲーム性に近いし、ストーリーは絵本のような話である程度楽しめる。白黒から色も付くし。

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Nomeu

ほとんどのジャンルのゲームが好きです。特に好きなのはRPG。「Xenogears」「クロノトリガー」「ペルソナ3、4」とか。ドラクエは「V」。主人公が「勇者」ではないところが好き。ビジュアルノベルは「STEINS;GATE」「Ever 17」「AIR」が好き。

どこぞの作曲コンクール最優秀賞受賞。好きなゲーム音楽は「愛のテーマ (FF)」「Heartful Cry (ペルソナ)」「夢の卵の孵るところ (Xenogears)」「凍土高原 (Kanon)」「夜の底にて (クロノトリガー)」「Theme of Laura (Silent Hill 2)」「Scarlet (みずいろ)」「bite on the bullet (I've)」など。たくさんありすぎてスペースが足りません。

ゲーム音楽以外だと「Ballet Mecanique (坂本龍一)」「月光 第3楽章 (L.v.Beethoven)」「水のない晴れた海へ (Garnet Crow)」「Angelina (Tommy Emmanuel)」「空へ… ライブ版 (笠原弘子/ロミオの青い空)」「太陽がまた輝くとき (高橋ひろ/幽遊白書)」「スカイレストラン (ハイ・ファイ・セット)」など。

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