『不思議のクロニクル 振リ返リマセン勝ツマデハ』レビュー - ゲームバランスが悪くて「片道勇者」の爽快感がない
セールで安くなっていたので以前から気になっていた「不思議のクロニクル 振リ返リマセン勝ツマデハ (Mystery Chronicle: One Way Heroics)」を買ってみました。このゲームは「片道勇者」をスパイクチュンソフトがリプロデュースした作品です。
「片道勇者」からアイディアを頂いて独自に作り直しています。ですが見た目はほとんど「片道勇者」と同じです。
目次
敵が強い
プレイしてすぐに感じたのは「片道勇者」よりも敵が強いということ。敵の強さのバランスを作り替えていて、Normal では「片道勇者」よりも戦闘がきついです。私は「片道勇者」をプレイしてもすぐに死んでしまうことはほとんどないのですが、「不思議のクロニクル 振リ返リマセン勝ツマデハ」は思ったよりも敵の攻撃ダメージが大きく死にやすいです。
あとは敵が投石してきたり、炎の攻撃をしてきたりと、敵がスキル攻撃をよく使います。このため、敵の遠距離攻撃も強く、引火するアイテムはかなり燃えやすい。敵が効率の良い攻撃をしすぎるのもゲームとしては問題です。
敵が遠距離攻撃をよくしてくるため、プレイヤーの遠距離攻撃はこのゲームではそんなに有効ではなくなっています。そもそもプレイヤー側は通常攻撃の遠距離と近距離の切り替えに時間が掛かるため、ここはもう少し改善しても良かったように思います。
「不思議の」シリーズの冠が付いたこのゲームでは、「不思議のダンジョン」のように矢さえ装備しておけば放てると楽でした。これをやるとおそらくゲームが簡単になってしまうため、「片道勇者」でも切り替えに時間と武器が必要なデザインにしているのだと思います。
確かに「片道勇者」ではある程度の踏破距離を超え、レベルや装備が整うと戦闘が楽になり、その先はあまり緊張感のないゲームになってしまいます。これを改善したかったのか、全体的に敵を強くしたと思うのですが、序盤から敵が強いのはきついです。
建物の壁が堅く、装備が手に入らない
良い装備を手に入れれば戦闘が楽になるのですが、私が何度かプレイした限りでは、あまり装備が落ちていません。良い装備を拾うことはありませんでした。そもそもアイテムがあまり落ちていないような気がします。村にも装備品を売ってくれる人があまりいません。
500km付近まで到達しても初期装備のままのことが多く、戦闘が厳しすぎます。「片道勇者」ではこんなことはなかったのですが…。私の運や通り道が悪いのかとも考えましたが、500km付近で初期装備のままのことが何度もあり、ここまでのこととなると運ではなさそうです。
それならモンスターが集まっている建物(ダンジョン?)に入り、宝箱を開けようと考えます。ですが、敵が強くて一体倒すのがやっとという事が多いのと、建物の壁が「片道勇者」よりも遥かに堅くなっていて、壁を壊して侵入口と脱出口を開けることが簡単に出来ません。
村・町の壁も堅く、基本的には入り口の扉から入らねばなりません。もちろん扉が山に塞がれていることもありますが、このときは壁を壊すのは大変すぎるので立ち寄るのを諦めることになります。
壁を壊して建物に入る選択肢をほぼなくしていて、楽しい要素がなくなっています。
このゲームでは装備を手に入れるのが大変です。ですから初期装備で 500km まで来てしまいます。
爽快感無し
敵が強い、装備が手に入らない、壁が堅い。このゲームデザインによって、「片道勇者」にあった爽快感がなくなっています。
「片道勇者」はハックアンドスラッシュのような要素が少しあって、弱い敵はサクッと倒せたりして爽快感があったのですが、「不思議のクロニクル 振リ返リマセン勝ツマデハ」ではその爽快感がなくなりました。
評判の悪い「罠」は隠さないオプションで問題なし
このゲームでは道中に「不思議のダンジョン」のような罠が存在し、プレイヤーにはかなり不利に働いています。ただでさえ戦闘がきついのに、そのうえ罠まであるとなると大変です。地雷や装備の耐久度が落ちる罠は辛すぎます。
この不満が多かったのか、アップデートで罠を隠さないようにするオプションが追加されました。通常は罠は隠されていて、不思議のダンジョンシリーズのように一度武器を振ると発見できます。
私は最初はこのオプションを利用せず、罠が隠されている状態でプレイしたのですが、罠があると理不尽さを感じて楽しくありません。
オプションで罠を隠さないようにすると、戦闘で罠を敵に踏ませて利用できるようになります。この追加されたオプションで罠については不満がなくなりました。
堕天使(魔王)は弱い
他にもゲームバランスについては、「片道勇者」で一定時間毎に登場していた「魔王」が弱くなっています。「片道勇者」では登場するのは「魔王」でしたが、「不思議のクロニクル 振リ返リマセン勝ツマデハ」では「堕天使」になっています。
堕天使は魔王よりも攻撃力が低く、体力が高い。そんなに脅威ではないように作られています。私は堕天使を理術士で初期装備で倒しました。
堕天使のゲームバランスは良いのか悪いのかよく分かりません。通常の雑魚敵が強いので逃げるにしても堕天使よりもそちらに気を遣います。
ゲームがカクカク & UI が悪い
このゲームはそんなに処理が重いゲームではないのですが、ゲームが結構カクカクします。「片道勇者」でも敵やNPCが多かったりすると動作が重くなっていましたが、その重くなるまでの閾値が下がっています。
ユーザーインターフェース(UI)はデザインが悪く、台詞に重なって文字が見えなくなったり、設定画面にたどり着くのに必要な操作量が多いです。これは後発のこのゲームではもっと改善できたところでしょう。
一番イラッとしたのは、アイテムを選択するときに十字キーを押しっぱなしにする時の動作です。例えば十字キーの下方向を押し続けると選択位置がパパパパッと下へ進めば良いのに、カタッカタッカタッとゆっくりな移動になってしまいます。自分で十字キーを連打した方が早い。こういう何度も行う動作は時間が掛かると気になります。
ショートカットも登録しにくいし、使いにくいし、もう少し何か改善できたことでしょう。会話のスキップももう少し考えた方が良いでしょう。仲間のNPCを味方にするときに毎回同じ話を聞かなければなりません。
旅をする世界は毎回自動的に切り替わってしまいますし、細かなところの作りが甘いです。
このゲームよりも「片道勇者」をプレイした方が楽しい
セールで100円くらいでこのゲームを買ったので、その価格からすると文句は言いにくいのですが、PCでゲームをプレイできる環境ならば「片道勇者」の方が快適でゲームバランスも良いと思います。
「不思議のクロニクル 振リ返リマセン勝ツマデハ」は雑魚戦がきつすぎて、「片道勇者」のように寄り道を楽しめません。敵がたくさんいる建物に突っ込んで壁を壊して宝箱だけを開けて逃げてきたり、村の壁を壊して敵にNPCを殺させたり自分で殺したり、善良な動物やNPCを殺す方向のプレイスタイルをしたり。
こういうことをこのゲームでもやろうと思ったのですが、雑魚戦がきつくて余裕がありません。装備は手に入らないし…。「不思議のダンジョン」のような、戦闘に気を入れないといけないゲームデザインにしたかったのでしょう。そういうのが好きな人はこちらのゲームの方が気に入るのかもしれません。
装備が手に入らないので、私はクラスを理術士にしてスキルで敵を倒すスタイルに切り替えました。これなら装備がなくてもかなりのダメージを出せます。本当はクリア方法は堕天使を倒すのだけではなく、他のクリア条件があるのは「片道勇者」の経験からも知っているのですが、とにかく色々を試す余裕がありません。
「片道勇者」では冒険家など一風変わったクラスでも十分戦闘ができたのですが、このゲームでは装備が手に入らなくて戦闘が弱いクラスはかなりきついです。このゲームの冒険家で、初期装備で 500km まで来たときは戦闘がきつくてきつくて、もう諦めの境地でした。
「片道勇者」よりも立ち絵が綺麗になっているところがこのゲームの良かったところです。
とりあえず堕天使は倒したのでこのゲームはこれでクリアとしておきます。このゲームはセールで100円ほどですので、その価格分は十分楽しめました。