クロノトリガーのような昔ながらのRPGを再び作ろうとした作品「いけにえと雪のセツナ」。私はクロノトリガーが好きなのでこのゲームには期待していました。

プレイしてみるとクロノトリガーを感じさせる部分があまりありません。戦闘はATB(アクティブ・タイム・バトル)で、連携技もありますが、そういうシステムのある別のJRPGです。技の名前やアイテムの名前にクロノトリガーを感じさせるものはありますが…。

連携技の名前には「エックス斬り」などがあり、少しだけニヤッと出来ます。

戦闘のシステムが複雑

戦闘は連携技があり表面的にはクロノトリガーっぽいのですが、かなり違います。システムが複雑で、さらにその複雑なシステムの説明が簡単にしかされないため完全には理解できませんでした。ネット上でシステムの説明を得ずに、ゲーム中だけで理解できる人はほとんどいないでしょう。

「法器」「法石」「昇華」「刹那」「シンギュラリティ」を理解しないと戦闘がうまくいきません。理解するのが結構難しい。「法器」と「法石」は FF7 のマテリアのシステムに近いです。法石には「技(アクティブスキル)」「パッシブスキル」などが入っていて、それを法器(アクセサリー)に付ける。法石を付けられる数はキャラクターのレベルと、法器に付いている穴の数によって変わります。

法石がなければ技を使えません。このゲームはレベルによって技を覚えていくタイプではなく、素材と法石とを交換して新しく技を手に入れなければなりません。素材というのは敵が落とすもので、特定のトドメの刺し方をしないと落としません。

属性攻撃で倒したり、オーバーキルしたり、オーバーキルしないようにして倒したり(ジャストキルと呼ばれています)、デバフ状態の敵を倒したり、連携技で倒したり。倒し方によって落ちる素材が違い、結構大変です。

素材と法石を交換するショップ

さらに大変にしているのは、どの敵が何の素材を落とすのか分からないことです。ショップで法石のリストを見られるので、そこで欲しい法石を見つけ、必要な素材を確認します。さて、この素材はどの敵が落とすのでしょう…?

私はゲーム内の図鑑を見る習慣がなく、実はゲーム終盤になって図鑑を見ると敵の説明に素材のことが書かれていることに気付いたのですが、図鑑はちょっとしたヒント程度の情報しかありません。欲しい素材の入手方法がゲーム内では分からないことが多いです。ネットの Wiki を探した方が早いです。

図鑑の情報

私はゲーム内で「特定の倒し方をして素材を集める」と説明を受けた段階から面倒そうだと感じました。結局、私は素材を自分から積極的に手に入れようとせず、ゲームはクリアしましたが、交換できる全法石の3割程度しか手に入れていません。面倒臭がりには辛いシステムです。

法石を手に入れないと連携技も使えません。連携技は数個しか使いませんでした。せっかく連携技のシステムがあっても使いづらいです。どの技とどの技が連携できるのかも分かりませんし…。

ネット上でも素材の情報を集めましたが、欲しい素材を落とす敵がどこにいるのか探すのが面倒でパスしてしまいました。手に入れなくても何とかゲームをクリアできました。

「昇華」は法石を強化させるシステムなのですが、狙ったタイミングでは強化できず、ランダムです。分かりにくい。名称から効果が想像できず、これも分かりにくいです。

戦闘システムはもう少し分かりやすい説明が必要です。ゲームの開始時に一気にドカッとシステムを説明するのは良くないデザインです。眠くなってしまいます。

戦闘の「刹那」システムは好きだが、悪い面も

戦闘の「刹那」システムは、行動できるようになってからそのまま待っているとゲージ(SP)がたまっていき、一定以上貯まるとそのSPを使用して技を強化できます。

私はJRPGで攻撃時にタイミング良くボタンを押すシステムが好きで、マリオRPGとかが好きでした。この刹那システムもボタンを押すタイミングがあります。タイミングを逃すと強化が失敗し、通常の強さの技になります。

タイミング良くボタンを押すのは好きなのですが、「刹那」はゲームデザイン的にはちょっと良くないです。というのも、効率の良い攻撃をするならSPを貯めてからになるため、戦闘で待ち時間が増え、戦闘がテンポ良く進みません。

待たずに攻撃することももちろんできますが、「刹那」を利用した方が利点があることが多いため、どうしてもSPの貯め時間ができてしまいます。「刹那」はSPを貯めるのではなく、タイミング良くボタンを押すだけのシステムでも良かったかもしれません。

雑魚戦は敵のシンボルに背後から突っ込むとSPが貯まった状態で戦闘を開始できるので快適です。

ゲーム画面のサイズ感が PS Vita

ゲームの画面のサイズ感が PS Vita 用のサイズです。キャラクターが大きく、ゲーム画面が狭い。PS Vita でプレイすることにデザインされた比率のUIのゲームは、それを PC や PS4 に移植したり同時発売するとUIが大きすぎるものが多いです。

このゲームもキャラクターがちょっと大きい。カメラがキャラクターに近く、世界の広さを感じにくいです。マップの移動でこれが顕著です。もっとカメラを遠くに引きたいです。

もっとカメラを引いて街の構造を理解したい。マップの構造を理解するのに歩き回る時間が掛かる

私はこの PS Vita 用の画面のサイズ感がもの凄く嫌いです。私はFPSゲームでは真っ先に FoV を設定したいほど、画面を広くしてより多くの情報を得たいです。そういえば PC や PS4 の「ソフィーのアトリエ」もゲーム画面のUIが PS Vita にデザインされたままのものでゲンナリしました。

ワールドマップは通常のマップよりも見やすいです。ただ移動速度が遅すぎ。

戦闘はボス戦は丁度良いきつさ

このゲームの雑魚戦は単調な戦闘なのですが、ボス戦は雑魚戦と難易度が急激に変わります。

「オッカオッカの洞窟」の「オーロランタイガー」というボス

ごり押しでは勝てないようになっています。私は上のボス戦が一番大変でした。何度か死に、この時に初めて技の効果をしっかり確認しました。この戦闘ではボスの攻撃力を下げないとほぼ勝てません。(実は「カウンター」を使うとコントローラーを投げて放っておくだけで勝てますが、この勝ち方はずるい抜け道のような勝ち方で、ちょっと味気ないです。)

ボス戦のレベルデザインは厳しめで良かったのですが、このゲームは会話のスキップができず、死んだときにボスと再戦するまでの会話をボタン連打するのが辛いです

ストーリーは説明不足。プレイヤーの想像力に委ねられたが、パズルのピースが足りない

ストーリーが良いというレビューもありますが、私としてはそんなに楽しめませんでした。世界に魔物が増えていくのでそれを抑えるために生け贄になる少女がいて、主人公はその少女を殺せという依頼を受けて殺そうとしますが失敗し、少女が生け贄になる旅に同行します。

その少女は「誰でも話せば理解してくれる」というタイプの考えを持ち、戦った敵もできるだけ殺さないようにしようとします。「なぜそう考えるのか」を説明せずに強引に敵を守るため、生け贄である自分が殺される可能性を考えていなくてイライラさせてくれます。

このゲームは基本的には優しい世界なのでそれでも良い感じにストーリーが進んでいきますが、私はこういう考えの人が守った敵によって仲間が殺されたらどう反応するのか見てみたいです。それでも敵を守るならそれも一興です。

少女がどうしてそういう考え方になったのかを説明して欲しかったです。少女がどのように育ったのかは隠されています。いけにえになることは理解しているのですが、自ら敵に突っ込んで死んでしまうとどうなるのかを考えていません。自己犠牲の精神に溢れていますが、自分が死ぬことをなんとも思っていないのがちょっと不気味に映ります。

少女は主人公にこの敵を殺さないでおくのかどうするのかと一応訊き、選択肢が出ますが、このゲームの選択肢はストーリーに影響がありません。少し会話が変化するだけで結局ストーリーは同じです。選択肢の意味がありません。

このゲームのストーリーは色々と細かく説明されません。そのため、エンディングまでプレイしてもストーリー中の疑問が解決せず、よく分かりません。プレイヤーの想像力に任せる作りにしたのだと思いますが、解釈をプレイヤーに委ねるというよりも、ストーリーをプレイヤーに隠しています

「ここはこういう解釈が出来る」とゲーム中のピースを組み合わせて解釈を楽しむのではなく、このゲームではそのピースも曖昧なためプロットを確定できず、全てあやふやです

キトと主人公が重要人物だが、説明されずにモヤモヤ

(ここは少しネタバレっぽいですが、ゲームを未プレイならば読んでも意味が分からないはずです)

例えば「主人公」が訳が分かりません。このゲームはクロノトリガーにインスパイアされていますから、時間跳躍がストーリーに絡んできます。主人公は突然現れたイレギュラーな存在です。なぜ主人公が現れたのかが全く説明されません。なのでストーリーの根幹が理解できません。仮面の一族は何者?

ネット上でこのゲームの感想をいくつか読みましたが、『「キト」が未来の主人公だ』と考えている人もいます。さらに『キトは魔物だった』と。

タイムリープものの厄介なところなのですが、過去に戻った場合が難しいのです。このゲームでは世界線は同じっぽいので、過去に戻るとその戻った人物たちは同時に二人存在することになります。倒したはずのボスも倒していない状態に戻ります。このゲームではタイムループもあるのでさらに複雑になっています。

ゲームの最初に主人公とキトが依頼を行うシーンから始まりますが、このときキトは主人公と違ってセーブポイント(魔力の痕跡)を見ることが出来ません。キトはサイドクエストで古代人の叡智にも触れることできないのが分かります。このサイドクエストで「キトは魔物だった」と判断している人もいますが、キトとの会話から素直に判断すると「魔物の演技」ではないでしょうか。

いけにえと雪のセツナ エンド「ジェネシス」入手

ですが、キトと主人公は古代人の関係者っぽいので、魔物と人間のどちらかに分けられる存在ではないかもしれません。キトが死ぬことで法石が完成しますので、このあたりも鍵ではあるのですが…。

これらのことからキトは主人公ではなさそうなのですが、肯定するにも否定するにも材料に乏しいです。キトの会話のどこからどこまでが本当なのか分かりません。

主人公は一体何者なのか説明されず、エンディングの後にどうなったのかも分からないため、このゲームのストーリーは結局分かりません。「少女を殺せ」という最初の依頼も結局何だったのでしょう? 依頼主が語ってくれるかと思っていたのですが…。

まとめ・総評

期待したクロノトリガー感は全くありませんでした。戦闘は雑魚戦が単調で同じことの繰り返しですが、ボス戦は厳しめの難易度です。戦闘システムは複雑すぎて面倒なのと、説明不足です。素材集めも大変です。ゲームをやりこめる人にとっては素材集めは面白いのかもしれません。

私はレベルが上がると使える技が増えていく、普通のJRPGの方が良かったです。それかスキルツリーのようなのが良いです。素材を集めて技を増やすのはプレイヤーへの負担が大きいです。素材集めの為の戦闘方法にしなくてはならないので、戦闘の選択肢が狭まってしまいます。連携技ももっと使いたかったのですが、法石が手に入りません。

このゲームはクリアまでが短いことが良いところです。十数時間でクリアできます。複雑な戦闘システムも、ゲームが短いと分かっているとプレイヤーの判断で切り捨てることができる部分が出てきます。例えば私は法石をたくさん集めることを諦めています。

ちなみに宿屋がなくて回復できないことを不満だと言っている人もいましたが、このゲームの回復はアイテムで行います。回復アイテムが安い価格設定になっています。MPを回復できる「エーテル」をこんなにたくさん使ったことはこれまでプレイした Final Fantasy シリーズでもなく、このゲームでかなりの贅沢使いができました。

世界は雪で覆われていて、ずっと雪ばかりです。もう少し何か変化が欲しいところです。ですがゲームが短いので、大きな不満になる前に終わります。

BGMが良いという人も多いのですが、私はそんなに魅力を感じませんでした。うるさくはなくて良いのですが、メインテーマの童歌のメロディーラインが気になって仕方がありませんでした。この童歌は「かごめかごめ」のメロディーに似ているのですが、全く同じになるのを避けるためか、突然メロディーが急ぎ詰まる部分があります。

「いついつでやる」の「でやる」から「おうけのもんに」が詰まっています

童歌は歌いやすいものが多いため、この詰まったメロディーは違和感があります。最後の「ゆーぅきー」のメロディーラインにはなるほどなと思ったのですが、メロディーが詰まっている部分の違和感が強いです。

全体としては私は1500円くらいなら満足できるゲームのクオリティかなと感じます。戦闘もストーリーもちょっと中途半端な感じがあります。戦闘もストーリーも頑張って理解しようと思うほどのめり込めませんでした。

このゲームを名作という人もいますから、合う人には合うゲームなのでしょう。


いけにえと雪のセツナ - PS4


いけにえと雪のセツナ - PSVita


いけにえと雪のセツナ - Switch


いけにえと雪のセツナ Original Soundtrack

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About

Nomeu

ほとんどのジャンルのゲームが好きです。特に好きなのはRPG。「Xenogears」「クロノトリガー」「ペルソナ3、4」とか。ドラクエは「V」。主人公が「勇者」ではないところが好き。ビジュアルノベルは「STEINS;GATE」「Ever 17」「AIR」が好き。

どこぞの作曲コンクール最優秀賞受賞。好きなゲーム音楽は「愛のテーマ (FF)」「Heartful Cry (ペルソナ)」「夢の卵の孵るところ (Xenogears)」「凍土高原 (Kanon)」「夜の底にて (クロノトリガー)」「Theme of Laura (Silent Hill 2)」「Scarlet (みずいろ)」「bite on the bullet (I've)」など。たくさんありすぎてスペースが足りません。

ゲーム音楽以外だと「Ballet Mecanique (坂本龍一)」「月光 第3楽章 (L.v.Beethoven)」「水のない晴れた海へ (Garnet Crow)」「Angelina (Tommy Emmanuel)」「空へ… ライブ版 (笠原弘子/ロミオの青い空)」「太陽がまた輝くとき (高橋ひろ/幽遊白書)」「スカイレストラン (ハイ・ファイ・セット)」など。

Twitterのアカウントはありますがうまく扱えていません。Twitterでご連絡の際はDMだとメールが来て気付けます。