この前 G2A.com のマネージャーという方からメールで連絡が来て、「G2A.com とのパートナーシップ契約に興味がありませんか」という内容でした。

現状、私のサイトは PC ゲームのことを書いていますが、PC ゲームはアフィリエイトでは儲かりません。Steam はアフィリエイトプログラムを行っていませんし、Amazon(JP) では紹介料が一番安い商品です。そもそも日本では PC ゲームに興味のある人数が少ないでしょう。

また、今使っているサーバーは利用料金が意外と高く、私はトータルでマイナスになるようならすぐにこのサイトを止めようと思っています。ゲームのレビューを書くのは時間がかかります。

そんなときにパートナーシップ契約の話なのでこのメールに返信し、パートナーシップ契約の内容を聞きました。内容は私にとっては渋いもので、質問への回答もちょっと信頼できませんでした。どうしようか考えましたが、契約は止めておこうと思います。

そもそも G2A とは? シリアルキー(ゲームコード)販売サイトとは?

G2A は G2Play という会社が運営するサイトのようです[G2A のマネージャーの方から違うと連絡がありました]。オフィスの所在は香港、ポーランドあたりにあるようです(本当か分かりません)。このサイトではゲームのシリアルキーが販売されています。

シリアルキー販売サイトは、日本ではスラングで「鍵屋」とも呼ばれています。海外では「Key reseller」。多く(おそらく全て)が Steam などから認可されていない販売者です。

ここまでの説明で、こういうことを知っている人にはもう十分だと思いますが、一応周りのことも少し詳しく書いておきます。

シリアルキー販売の需要

ゲームのシリアルキーは最近では目にすることが多くなったと思います。Steam 以外のサイトで Steam 対応のゲームを購入すると、Steam で有効化できるゲームのシリアルキーが貰えます。買ったゲームのシリアルキーを Steam で有効化してゲームをプレイするわけです。シリアルキーさえあれば、Steam や Uplay、Origin からゲームをダウンロードしてプレイできます。ゲームのパッケージは必要ありません。

知っている人もいると思いますが、ゲームの販売価格は国によって違います。日本では高いゲームでも、アメリカではもっと安かったり、ロシアや他の国ではもっと安かったりと、ゲームは国によって価格差があります。これを利用するとゲームを安く手に入れることができます。ゲームの価格が高騰している国に住む人としても、これを利用したいところでしょう。

パッケージを輸入するのは面倒で時間がかかりますので、インターネット上で全てを行いたいところです。しかし Steam ではユーザーの自国以外の国で販売されているゲームを買うのは許可されていません。そのため国別の価格差を利用することはできません。そこで、ゲームのシリアルキーを販売しているサイトの需要が出てくるわけです。

シリアルキーの不安と抱える問題

ゲームのパブリッシャーや Steam は自国外のゲームについて対策をしています。シリアルキーを国別にし、ゲーム内言語を制限したりしています。例えば、ロシア用のシリアルキーのゲームにはロシア語しか含まれていないなど。また、ロシアのシリアルキーはロシア国内でしか有効化できないようにしたりもしています。最近ではギフトにも制限を加えました

シリアルキー販売サイトで扱われているシリアルキーや Steam ギフトは、ほとんどが出所が分かりません。どうやって安く手に入れたのかが分かりません。そもそも販売されているシリアルキーが本物かどうかも判断ができません。

つまりシリアルキー購入には、「正規に発効されたシリアルキーなのか」「有効化できるかどうか」「どこの国に向けて発効されたシリアルキーなのか」などの問題があります。

最近起きたシリアルキー販売サイトでの事件

シリアルキー販売サイトで扱われているゲームは確かに安いです。消費者にとってそれは魅力的ですが、シリアルキーの出所が分からないという不安が常にあります

盗まれたクレジットカードで買われたゲームのシリアルキーがそういうサイトで販売されていることが多々あります。これはよく問題となっています。最近では UBI が販売する「FarCry 4」のシリアルキーでこの問題が起こりました。日本語では下のサイトが分かり易いです。

盗難クレカで購入されたキーが「鍵屋」に流入 Uplayアカウントから対象タイトル削除 | AUTOMATON

Ubisoftは、G2Playなどサードパーティから購入した『FarCry 4』を、一部ユーザーのUplayアカウント上から削除した。これは数日前、Ubisoftの公式サポートフォーラムや、Redditのユーザーらの報告により明らかとなった情報だ。その後のUbisoftの調査と公式声明により、盗難されたクレジットカード情報にてOriginから購入されたキーが、G2Playなどに流入していることが判明した。

この問題は大きくなったため、シリアルキー販売サイトで FarCry 4 を買った人はシリアルキー販売サイトから返金をされたり、UBI が Uplay に登録されたシリアルキーを失効させる処置を止めたりしています。このように不正取得されたシリアルキーはもちろん G2A や Kinguin(G2Play の運営するサイト) で販売されています

G2A は FarCry4 のシリアルキー購入者に代金を特例で返金しています。つまり、不正取得されたシリアルキーがあったということです。特例として返金をしているので返金が無いよりは良いのですが、全部が安全なシリアルキーでは無いというのはこれで分かって貰えると思います。

また、Devolver Digital も G2A に対して怒っています。

https://twitter.com/devolverdigital/status/466577590606520320

Devolver Digital games purchased on @G2A_com are not legitimate, not guaranteed, and not supported. We are actively canceling those keys.

[G2A.com で購入された Devolver Digital のゲームは正規のものではなく、保証されず、サポートもされない。それらのゲームキーは積極的に失効させていくつもりだ。]

このようにシリアルキー販売サイトのキーは 100% の安全性はありません。

シリアルキーが有効化できたからといっても安心ではない。犯罪の手助けをしているのかも

FarCry 4 の例でも分かるように、盗難クレジットカードで買われたシリアルキーかどうかは犯罪が発見されなければ分かりません。シリアルキーを買って登録し、今はプレイできていても、その後に犯罪に関与しているシリアルキーだったと分かり、Steam や Uplay などからゲームが無効化される可能性があります。買って少し経った後でゲームが無効化されたという報告が多々あります

出所が分からないシリアルキーを買うと、もしかしたら買った人は犯罪の手助けをしているのかもしれません。盗難クレジットカードを使って入手したゲームを G2A などで販売し、儲けている人がいるのです。他にも何か手法があるのでしょう。

G2A が自分たちを合法だと言い張るわけ

シリアルキーを購入するのはこういったリスクがあるわけです。しかし、これまでのキー販売サイトと少し違い、G2A や Kinguin は自らがシリアルキーを販売していないというスタンスを取っています(本当かどうか判断できません)。シリアルキーを販売したい人が、それらのサイトでシリアルキーを出品するというシステムです。

G2A は「自分たちは eBay や Rakuten と同じである」と公言しています。これはつまり、自分たちがシリアルキーを販売していないため、「自分たち『は』」合法だと言っているわけです。

G2A.com の「Battlefield: Hardline」の販売ページ。2015/3/23 の時点。

シリアルキーを販売している人の情報はありません。国籍以外は伏せられています。国籍も本当か分かりません。星と数字は評価値と評価数です。

Kinguin と G2A についてもっと知りたい人は Polygon の記事を見てみると良いでしょう。結構突っ込んで調べています。

The truth behind those mysteriously cheap gray market game codes | Polygon

これを読むと Kinguin の方が販売者をよりチェックしているようです。シリアルキーの入手元も書かなければならないようです。

ネット上で溢れるシリアルキー販売サイト擁護の声は怪しい

私は G2A のことを検索してみたのですが、多くの Forum(掲示板)で「G2A は合法なの?」というスレッドがあります。みんなシリアルキー販売サイトが安全かどうか不安がっているのです。それらの Forum のほとんどで、「G2A is legit(G2A は合法だ)」という言葉が見られます。この言葉は怪しいです。2つの怪しさがあります。

論理がおかしい

そういう発言をしている人の論理はこうです。「G2A でシリアルキーを試しに買ってみたところ、問題なく使えたよ。だから G2A は合法」。これはおかしいです。買ったシリアルキーが有効化できれば G2A は合法なのでしょうか。不正取得されたシリアルキーも Steam で有効化できます。となると、ここから「G2A は合法」とは導けません。

そもそも G2A は自らシリアルキーを販売していないというスタンスですから、G2A 自体の合法性について判断する際に「シリアルキーが実際に使えたかどうか」は別の話です。

「G2A は自分でキーを販売していないから合法である」とどうしてコメントしないのでしょう? 私が想像するに、この言葉では読んだ人が G2A でシリアルキーを買わないからではないでしょうか。「G2A は合法であったとしても、シリアルキーは違法なものかも」という考えに行き着きやすいはずです。

同じ文言でコメントをする人が多すぎる

多くのサイトで「G2A is legit.」というコメントが見られます。私はこの言葉をコメントして回っている人がいるのではないか、と考えてしまいます。多くのこのコメントがあれば、G2A というサイトを信じる人も多くなることでしょう。

この疑念を抱いたのは他の要因もあります。下です。

日本でパートナーシップ契約を誘う連絡をたくさんしている

ゲームのセール情報などを載せているブログ、このサイトもそうですが、そういうサイトに G2A のマネージャーから連絡が行っているようです。日本でも「G2A」と検索すると意外と多くのサイトがパートナーシップ契約を結んでいることが分かります。

パートナーシップ契約を結んでいるかどうかは、そのサイトに「割引コード」があるかどうかである程度判断ができます。私もその条件を提示されました。「割引コード」は一般向けのアフィリエイトプログラムでは発効されず、パートナーシップ契約を結んだ人にしか渡されないようです。

「割引コード」があるとその割引コードを使って少しでも安くゲームを買おうとする人が多いでしょうから、アフィリエイト利用者としては有利なのです。

G2A はパートナーシップ契約者に対して最初にお金を払うわけではありません。アフィリエイトプログラムに参加させ、自分のサイトでゲームが売れてから、その売り上げの何パーセントかをパートナーシップ契約者に支払うのです。パートナーシップ契約者が増えれば増えるほど良いです。G2A にとってリスクはありません。

Google のページランクを上げるため、たくさんの被リンクが欲しい

Google はブログやサイトを運営する人にとっては重要です。ユーザーは自分のサイトに Google 検索を通して来ることが多く、検索結果の順番(ページランクと呼ばれています)を少しでも上げたいという思いがあります。

順位を上げるには「被リンクの量」が重要です。多くのサイトからリンクされているサイトは信頼度が大きいと判断する、というシステムを Google が組んでいるのです。信頼度が大きいサイトを表示するのがユーザーにとっても利益が高そうだ、ということは誰でも分かるかと思います(ただし、これを利用したスパムサイトが多いため、実際には他の算出方法と組み合わせられています)。

G2A のマネージャーはできるだけ G2A の被リンク量を上げるため、パートナーシップ契約を結びまくっているのではないかと考えられます。私はマネージャーに「G2A でのセールのニュースを毎週複数回書いて欲しい」と言われました。これでも被リンク量は上がりますね。「それができない場合、ページの分かり易いところにリンクを張って欲しい」と。同じ話です。

他者による承認の安心感を利用している

つまり、「G2A is legit.」「G2A でゲームを買ったけど問題なかった」という言葉がたくさん溢れると、それで安心感が形成されてしまうのです。嘘であっても量が多いと本当かもしれない思ってしまいます。

G2A などのシリアルキー販売サイトを『「他の人も使っているから」、安心だ、私も使ってみよう』と思わせる戦略でしょう。日本人は特にこれに弱いです。注意してください。

「G2A is legit.」と発言している人は利害関係者の可能性があります。本当にそう思って発言している無関係者もいるでしょうが、ちょっと注意して読んだ方が良いです。

GOG.com でのコメントが分かり易い

GOG.com の Forum にあったコメントが分かり易いのでちょっと紹介しておきます。

Kinguin.net legit?, page 2 - Forum - GOG.com

MaximumBunny

Posted December 31, 2013

For the record, all of those cdkey sites (g2play, kinguin, etc.) are illegitimate, unauthorized resellers. Kinguin is just a database of them, like Google shopping showing you prices of every store it finds. And they may make some affiliate $ off of the other ones.

You can tell a store is not legitimate when they sell Russian copies of games and/or tell you to use a VPN to activate one. That violates the terms of service of many distribution platforms including Steam and I think Uplay? You should avoid those sites at all costs. Working keys does not mean 'legit'.

The problem with shutting them down is that many countries allow the reselling of games, so legally they can't be touched even they support practices like VPN's and bypassing regional pricing (2 violations). But they can be screwed over (credit card chargebacks for example) and they can't do a thing because they don't work with the publishers of those games, nor will (Steam for example) accept their claims to revoke games from your account. They're just people with access to boxed copies of games (by whatever means they obtained them) trying to make money.

Just FYI. I deal with this stuff regularly.

良心の呵責

さて、G2A 自体は合法かもしれません。詐欺の幇助とも考えられますが、合法だと言い張れるかもしれません。確かに不正なシリアルキーを販売したのは G2A ではなく、シリアルキーを出品した人かもしれません。このあたりは私には分かりません。

しかし、私が G2A のアフィリエイトでお金が貰える可能性がある(リンクを通してゲームが買われないと儲かりません)からといって G2A とパートナーシップ契約を結ぶと、私が利害関係者となってしまいます。そうなると「G2A は大丈夫だよ」と言うしかありません。その発言が私の利益になるわけですから。「G2A is legit.」と言っている人と同じ状態です。

そうして私が紹介する G2A というサイトを「このサイトでも大丈夫だと書かれているから安心だ」と思って使う人が出てくるかもしれません。私はこの良心の呵責に耐えられません。

私は自分では安全では無い、詐欺に引っかかる可能性がある、犯罪を助長させる可能性があると判断したサイトを人に使わせるのは大変不誠実だと考えます

このサイトでは基本的には読む人の利益になるような情報を書いてきました。セールの情報を書くのは「安く買えるなら安く買った方が良いだろう」、他の情報も「情報としては一応知っておいた方が良い」、という考えがあります。後は面白いかどうかなどが記事を書く判断基準です。

G2A は 100% 安全ではありません。ゲームの価格が安いからと言って、私はそちらに誘導したくありません。

アフィリエイトでの利益はできれば Win-Win の状態で発生させたいところです。上でも書きましたが、PC ゲームのアフィリエイトプログラムは日本ではほとんど無いため、紹介料の安い Amazon(JP) ぐらいしかありません。後は全部 Google の広告任せです。

そんな中のパートナーシップ契約の話だったので魅力的ではあったのですが、不安がある会社とのパートナーシップ契約は避けようと思います。G2A マネージャーからの「パートナーシップ契約のサインは必要ありません」という話も不信感がありました。

G2A を使うのはあなたの判断次第

私は G2A を使いません。安全ではないと思っています。そもそも unauthorized reseller だ、という判断です。

しかし、この判断を他人には押しつけません。各自で判断してください。「G2A や Kinguin にはどうして保証プログラムがあるのか」「VPN の利用はそもそも Steam 規約違反である」なども是非気にしてください。リスクがあるから安いということは分かっておいてください

G2A とパートナーシップを結んでいる人はたくさんいます。例えば、PewDiePie という YouTube で有名なゲームプレイビデオ作成者も G2A とパートナーシップを結んでいるようです。この人はものすごく有名で、YouTube でかなり稼いでいます。今 YouTube で一番稼いでいるようで、4億円以上。その有名人が G2A とパートナーシップ契約を結んでおり、これが大きな影響をもたらしているでしょう。

また、日本でも「DeToNator」や「DetonatioN」というゲーミングチームが G2A とパートナーシップを結んでいます。これらのチームの契約内容は私のサイトに来たパートナーシップ契約とは内容が違うでしょう。これらのサイトでは G2A のセール情報がたくさん書かれています。頑張っていますね。チームの情報が埋もれるくらい。

日本のゲーム実況の配信者も G2A とパートナーシップを結んでいるようで、年いくらか貰っているようです。こういうチームや人にとって、G2A との契約は有り難いでしょう。活動資金になります。

eSports のニュースサイトとしてたぶん有名な Negitaku.org も G2A の広告がサイドバーに表示されています。パートナーシップ契約か何かを結んでいる可能性があります。他にも日本でも検索すれば G2A とパートナーシップを結んだことが書かれたブログがいくつかあります。

Negitaku.org。2015/03/23 の時点

こうやって G2A とパートナーシップ契約を結んでいる人もいるわけです。そういう人は G2A を安全だと紹介しているわけですが…。

G2A は最近では DotA2 の大会を主催したりしています。儲かっているのでしょう。おそらく独自に企画した大会で、Valve は関わっていないでしょう。

今後 G2A は電子書籍も販売する予定のようです。そういえば最近 Humble Bundle で電子書籍が売られていますね。(Humble Bundle は個人使用のみ許されています。)

追記

反論が来たのでそれについての記事もご覧ください

また、G2A は Authorized Reseller でないことの確認が取れました

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Nomeu

ほとんどのジャンルのゲームが好きです。特に好きなのはRPG。「Xenogears」「クロノトリガー」「ペルソナ3、4」とか。ドラクエは「V」。主人公が「勇者」ではないところが好き。ビジュアルノベルは「STEINS;GATE」「Ever 17」「AIR」が好き。

どこぞの作曲コンクール最優秀賞受賞。好きなゲーム音楽は「愛のテーマ (FF)」「Heartful Cry (ペルソナ)」「夢の卵の孵るところ (Xenogears)」「凍土高原 (Kanon)」「夜の底にて (クロノトリガー)」「Theme of Laura (Silent Hill 2)」「Scarlet (みずいろ)」「bite on the bullet (I've)」など。たくさんありすぎてスペースが足りません。

ゲーム音楽以外だと「Ballet Mecanique (坂本龍一)」「月光 第3楽章 (L.v.Beethoven)」「水のない晴れた海へ (Garnet Crow)」「Angelina (Tommy Emmanuel)」「空へ… ライブ版 (笠原弘子/ロミオの青い空)」「太陽がまた輝くとき (高橋ひろ/幽遊白書)」「スカイレストラン (ハイ・ファイ・セット)」など。

Twitterのアカウントはありますがうまく扱えていません。Twitterでご連絡の際はDMだとメールが来て気付けます。