Dragon Age からか、Mass Effect からか。ゲーム中で決断の難しい選択を迫られることが多くなった。Bastion でも難しい選択を迫られる。Bastion はアクションゲームなのだけど、ここではそのストーリーに焦点を合わせてレビューを書こうと思う。

Bastion のストーリーを軽く紹介し、最後の選択肢について書く。そして軽いまとめ。核心までは細かく書かないけれど、最後の選択肢の部分では少しネタバレをしてしまうので、このゲームを確実にプレイする予定のある人は見ない方が良いかも。このゲームに少しだけ興味を持っている人はもっと興味が湧くかも。

ストーリーの序盤

このゲームでは、プレイヤーは全く分からない世界に投げ込まれる。これは新しいファンタジーゲームをする時ならどのゲームでも同じ。でも、Bastion は主人公である Kid に何が起きて、何故このような事をしているのかを、プレイ開始後長らく説明しない。なので、訳の分からない世界に放り込まれた後、訳の分からないまま、とりあえず目の前の目標をクリアするためにゲームをプレイしていく事になる。Kid という名前はもちろん本名では無い。

「とりあえず Bastion に向かおう」。ゲーム開始後にすぐ、このゲームのタイトルである「Bastion」が出てくる。プレイヤーが Kid のいた部屋から出て分かることは、どうやらこの世界は浮いているらしい、ということ。ゲーム中ではほとんど語られないのだけど、このゲームの舞台は浮遊している。ちなみに、ゲーム中では Kid の行動に合わせて自動的にナレーションが流れ、それが Kid の行動を説明したり、その周りの色々な事を説明したりする。このナレーションがこのゲームの雰囲気を小説的に、ファンタジックにしている。

Bastion に向かう途中、良く分からない敵は出てくるのだけど、Kid は生きている人間に全く出会わない。そして、プレイ後に初めて人間に出会った時、その人は石化したように止まっている。ここで初めて「The Calamity」という単語が出てくる。何かが起きたのだろうか。


画面上の方に固まった店主がいる。

「生き残りはいないのか」と進むうちに、生きている人間に初めて出会う。この時ナレーションが流れる。「He finds me.」。


「He finds me.」

なるほど、今までナレーションで語っていたのはこの人だったのか。彼は多くを説明すること無く、「ここが Bastion で、Monument に Core が必要だ」と言う。


左が Bastion の全体図。右が Monument。

Bastion に辿り着いた Kid の次の目的は、この老人の話から Core を幾つか集めることになる。その過程で、「The Calamity」から生き残った人を見つけたり、Kid の過去が語られていく。ゲーム開始直後に放り込まれた世界の説明がだんだんとなされていく。


他の生き残りと出会う。

このように、このゲームをプレイしていると、「どうして人がいないの?」、「The Calamity って何?」、「Kid は何故生き延びたの?」、「Bastion にいる老人は誰?」、「Core を集めるとどうなるの?」、「Ura って何?」などと疑問が次々に浮かび上がり、ゲーム中のナレーションの言葉の端々からそれらを考える必要がある。そして、それらの疑問が細かく語られる時が訪れる。様々な疑問を持ちつつ、色々な想像をしていたプレイヤーはこの時に大きなカタルシスを得られるだろう。ただ、言葉の表現には分かりにくいものがあり、このゲームの文章は小説的なので遠回りに表現されることもある。この表現の仕方が普通のゲームと違っていて面白く、このゲームに独特な雰囲気を持たせている。

最後の選択肢

最終的には Kid は The Calamity から世界を救おうとする。でも、問題がある。

The Calamity から世界を救うのに Kid が選べる選択肢は2つ。「Restoration」か「Evacuation」。

Core を集めた Bastion の力を発揮し、「Restoration」を行えば The Calamity から世界を救える。ただ、これは The Calamity が起きる前に時間を戻すというものだ。Restoration は時間を逆戻りさせて世界を直す。これを行うと、Kid が今までしてきたことや、出会った人たちとの記憶が無かったことになる。それに、再び The Calamity が起きる可能性は消えない。

「Evacuation」は、「Restoration」を行わずに、今いるみんなと共に Bastion で逃げ出す選択肢。石化したように動けなくなっている人達を助けずにそのままにし、世界をそのままにし、逃げ出す。


The Calamity を逃れられなかった人々。

どちらを選ぶ? Restoration を行うのは今までの時間と記憶を犠牲にするのに近く、さらに世界を完全に救えるとは言い難い。無限にループする時間を過ごさせるという一時しのぎだ。かといって、Evacuation するのはどうなのだろう?

私は Evacuation を選んだ。Restoration を選ばない理由は、まず、記憶を保持して時間をループできないという事、次に、同じ時間を同じように過ごすのは幸せなのだろうかという疑問(時間を過ごす本人達は事実を傍観できないので気付かないのだけど)、そして、結局 The Calamity が起きるだろうという事による。The Calamity が起きる度に Restoration を行うという時間の無限のループを抜け出し、時間を先に進ませた方が良いんじゃ無いだろうか。

Evacuation をした後のエンディングでは幸せそうな日常の様子が描かれ、この選択肢で良かったんじゃ無いかと思ってしまう。クリア前のセーブをロードし、Restoration もしてみたのだけど、こちらでも幸せそうな情景が。エンディングはどちらも幸せそう。でも、私はループは終わらせないといけないと思っているので、やはり Evacuation が本当のエンディングのように思える。

ちなみに、Restoration を行うと、「The End」という実績を貰える。一方 Evacuation は「The Beginning」。なお、このゲームは周回プレイができる。クリア後に色々なデータを引き継ぎつつニューゲームを始められるというもの。これは New Game Plus というモードなのだけど、これは上の Restoration を行った後という設定。周回プレイにまでしっかりとした説明を付けるとは。Evacuation をしても New Game Plus はできるのだけど。

まとめ

アクションゲームとしてはこの値段($15) では申し分が無い。戦闘のゲームシステムは綺麗にまとまっている。さらに、インターフェースは丁寧な作りだし、武器のアップグレードや、少し有利になる能力を付けるシステムも面白かった。また、プレイヤー自身の手で難易度を設定するシステムは意外と良いのでは無いだろうか。これは敵をどのように強くするかを自分で選択し、強くなった分だけ経験値を多く貰えるというシステム。これは今後流行るかも知れない。ゲームシステムの不満点は足が遅いことだけ。走るより速い回避行動のローリングを常にしたくなるほど足が遅い。もう少し移動速度を上げくれると嬉しい。

グラフィックスはアナログタッチで綺麗。特に敵が綺麗で、アナログな塗りを堪能できた。アナログタッチの絵によりゲーム画面は優しい。ただ、このゲームでは明るい場面が少ないので、どんよりとした重みのあるグラフィックスが多かったと思う。

ストーリーは実はあまり期待していなかったのだけど、良い意味で裏切られた結果となった。このゲームで選択肢が出てくるとは全く予想していなかった。ストーリーはプレイヤーに疑問を抱かせるようなプロットになっており、ストーリーに対してずっと興味を持ちながらプレイできると思う。ストーリーの不満点を挙げるとすると、ゲームをクリアした後でも、例えば上で書いた「The Calamity」が正確には良く分からないなど、ゲームの世界を説明不足な感がある。わざとこうのようにしているのかもしれないのだけど。

ゲームの BGM に関しては、私は良く出来ていると思う。オーケストラのような重厚なサウンドと言うわけでは無いのだけど、聞きやすいのと、印象的なメロディーが多い。私はサウンドトラック付きの Bastion を $20 で購入したのだけど、これは正解だった。Civilizatoin V のサウンドトラックなんて全然聴いていないのに、こちらはもう数回通して聴いている。Build That Wall(Zia's Theme) と、Setting Sail, Coming Home(Ending Theme) はかなり耳に残る。

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Nomeu

ほとんどのジャンルのゲームが好きです。特に好きなのはRPG。「Xenogears」「クロノトリガー」「ペルソナ3、4」とか。ドラクエは「V」。主人公が「勇者」ではないところが好き。ビジュアルノベルは「STEINS;GATE」「Ever 17」「AIR」が好き。

どこぞの作曲コンクール最優秀賞受賞。好きなゲーム音楽は「愛のテーマ (FF)」「Heartful Cry (ペルソナ)」「夢の卵の孵るところ (Xenogears)」「凍土高原 (Kanon)」「夜の底にて (クロノトリガー)」「Theme of Laura (Silent Hill 2)」「Scarlet (みずいろ)」「bite on the bullet (I've)」など。たくさんありすぎてスペースが足りません。

ゲーム音楽以外だと「Ballet Mecanique (坂本龍一)」「月光 第3楽章 (L.v.Beethoven)」「水のない晴れた海へ (Garnet Crow)」「Angelina (Tommy Emmanuel)」「空へ… ライブ版 (笠原弘子/ロミオの青い空)」「太陽がまた輝くとき (高橋ひろ/幽遊白書)」「スカイレストラン (ハイ・ファイ・セット)」など。

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