『F.E.A.R. 3』レビュー - バイオハザードに続き、ただのシューティングゲームになってしまった
クリアまでの時間
Steam Forum などでも話題の「F.E.A.R. 3 は4時間でクリアできるゲーム(F3AR WALKTHROUGH FULL GAME 4HRS - Steam Users' Forums)」という事に関して、真偽を始めに書こうと思う。私のクリアタイムは5~6時間ほど。おそらく少し急げば4時間でクリア可能だろう。キャンペーンモードは各チャプター(Interval) 毎に目標タイムがあって、その全てを合計しても、おそらく5~6時間ほどになる。私は各インターバルを目標タイムくらいでクリアしていた。
キャンペーンモードはゲームが発売される前に大体5~6時間という目標クリアタイムが設けられていたので、このゲームがどのくらい楽しめるかというのは開発陣はもちろん分かっていただろう。IGN ではシングルプレイは7~8時間ほどと書いてあったのだけど(F.E.A.R. 3 Review - PlayStation 3 Review at IGN)、そんなものは関係なく、最初から大体5~6時間という長さにデザインされていたのである。それよりも、IGN のレビューで、クリアまでどのくらいの時間かを目標タイムの存在から算出しなかったのが不思議だ。
結局、Steam Forum での「4時間でクリアできてしまう」という件は、本当のこと。目標タイムのことを言えば分かって貰えるだろう。そうデザインされているのだから。それに、Co-op でキャンペーンを行うとゲームの進行がかなり楽になる。さらに各インターバルの目標タイムも短く設定されている。Co-op なら、急がずにプレイしても4~5時間でクリアできるだろう。
シューティング部分について
上の武器は F.E.A.R. 1 などで出てきた Nail-gun(HV Penetrator) のようなもの。今作にも登場する。
シューティング部分に関しては、最近の FPS の中では楽しめる方だと思う。敵は突っ込んでくるタイプと慎重にカバリングしながら戦ってくるタイプの敵とが混じっており、敵の攻撃の命中精度の良さもあり、こちらも棒立ちのままではすぐに死んでしまう。AI はプレイヤーが見ていない方から回り込んでこようとする場面もあり、そこそこの頭の良さ。しかし、マップが横に狭く、ほぼ一本道のルートでゲームが進んでいくので、敵やプレイヤーが相手の裏をかこうとして回り込むためのルートが無い。これはもったいないね。
銃の射撃感はなかなか良いと思う。だけど、銃自体が少し安っぽい。また、ハンドガンはアイアンサイトが見辛くほとんど使わなかった。銃の種類はあまり多くなく、その上、少しずつ落ちている銃の種類が増えていくので、最初は「もしかして銃の種類がほとんど無いんじゃないか」と思ってしまった。後半は上の画像の Nail-gun が出てきて、この銃の使いやすさに驚いてしまう。銃の精度は全体的になかなか良いので、敵を狙う楽しさというのも楽しめた。
これといってボス戦のようなものは無いのだけど、敵が大量に出てくる場面が多く、なかなか熱い戦闘を楽しめた。敵は四方から出てくるのでプレイヤーは囲まれやすく、動きながら戦ったり、グレネードをうまく使ったりして切り抜けねばならない。敵の体力はなかなか高いので、出来るだけヘッドショットを狙いたい。体だけを狙っていると倒すまでに時間がかかり、もっとピンチに陥ってしまう。今作でも Slo-mo はあり、いつもながらの感じでスローモーションモードに入ることが出来る。
ゲームの後半ではロボットに乗るシーンが出てくる。F.E.A.R. 2 にもあったのだけど、私はこれはあまり好きでは無い。CoD と同じく、無駄に戦車に乗せたりして何を考えているのか良く分からない。ロボットの操作感などの出来が良ければまだ評価も出来たのだけど、これはつまらない。足が遅いのが致命的で、長い橋をその遅さでずっと歩いて行く場面には思わずため息をついてしまった。
スコアシステム
F.E.A.R. 3 ではスコアのシステムがあり、ゲーム中にチャレンジを達成するとそれを貰える。スコアを貯めていくとランクがアップし、ゲームの進行が少し楽になるような恩恵を受けられる。例えば体力が少し上がったり、マガジンの弾倉量が少し上がったり。恩恵は得られるのだけどそこまで影響するものでも無いので、このスコアをあまり気にしなくても良いのは嬉しい。一応あるよ、という程度のシステム。ただし、スライディングなどはこのスコアを稼がないと使えない。でもすぐに使えるようになるだろう。ちなみに、今作では操作できるキャラクターが二人いて、そのどちらのキャラクターでキャンペーンを通してスコアを稼いだかでエンディングが変わるらしい。
上の画像の通り、私は「才能」というカテゴリーのチャレンジをほとんどクリアしていない。これは Slo-mo を使わなければならなかったらしい。ゲーム中ではこのチャレンジのリストを眺める事は出来ないので全く気付かなかった。それに、私は Slo-mo の存在をゲームの終盤になるまで忘れており、終盤で「あ、Slo-mo を使えばもっと戦闘が楽になるのか」とやっと気付いた。いや、これはチャレンジに「Slo-mo を使わずにキャンペーンをクリア」を入れておくべきでは無いだろうか。と言ってみたい。
ストーリーとホラーについて
ストーリーに関しては、そこまで深くないというか、薄い。F.E.A.R. シリーズはストーリーよりも、プレイを通して怖がらせることがメインのゲームなので、最初から期待はしていなかった。ただ、明らかに悪いと言えるのは、前作までの話を今作で全く説明しない点。プレイヤーを突き放していると思う。私はその突き放された側のプレイヤー。「F.E.A.R. 3 は、このゲームがシリーズの初めてのゲームなのですが、いきなり F.E.A.R. 3 からプレイしても楽しめますか?」という質問があったとすると、私は「ストーリーは楽しめないよ」と答える。 シューティング部分は楽しめるのだけど。
ホラーに関しては、全く怖くなかった。前作の様にプレイヤーを音などで驚かせるような演出も無いし、日本の怪談のようなじわじわと来る怖さも無い。全体的にステージも明るい。ホラーゲームというものは、バイオハザードのように、ホラーの部分はシリーズが続くと次第に薄れていき、ついにはホラーを忘れ去ってシューティングゲームになってしまうらしい。F.E.A.R. 3 もバイオハザードに続き、ただのシューティングゲームになってしまった。ホラーゲームをプレイしたかった人はがっかりしたことだろう。
まとめ
※この記事はキャンペーンモードの事のみを書いているので注意して欲しい。マルチプレイについては他の記事で書こうと思う。
フルプライスの $50 ではこのゲームは買わない方が良いような気もする。$50 なら F.E.A.R. 3 よりも長く楽しめそうな新作のゲームでも買った方が良いと思う。ただ、キャンペーンモードをしっかりと Co-op できる FPS ゲームは珍しいので、それ目当てなら結構楽しめると思う。ただ、Co-op でキャンペーンモードをすると4~5時間ほどでクリアできてしまうので、それを考慮に入れた方が良いのだけど。ちなみに、Co-op は Online Co-op と Offline Co-op の両方が出来る。
字幕が日本語なのも、Co-op を気楽にさせているのかもしれない。ただ、音声は英語の方が明らかに良い。日本語は気の抜けるような声で、全くゲームに合っていない。ここまで合わない声は珍しい。日本語で「さのばびーっち」と言うのは止めて欲しい。笑ってしまう。
日本語字幕、英語音声に関する情報はこちらに書いた。また、IME が日本語入力モードになってしまい、ゲームがプレイできない不具合の解決方法もそちらで書いておいた。