ストーリーについて

ストーリーは、最初は破滅させられた騎士団の生き残りが復興を志し、相手の指導者を倒そうとするストーリー。相手の指導者が親の仇であったりするメインキャラクターもいる。そして、神話の伝承がストーリーの伏線として存在し、その伝承上のアルコンという神の従者が現実にいることなどから、神話のストーリーが混じり出す。最終的には伝承上の神の力と騎士団の復興が合わさったストーリーになる。でも、このストーリーは良くあるストーリーの域を脱しない。私はほとんど興味が湧かなかった。

なお、ストーリー中では、主人公達、つまり騎士団が相手を追い詰めていく一方で、所々で騎士団としての信義を試されるような場面がある。この場面では、主に2つか3つの選択肢から、自分の思う正義を選択する。「相手を殺すか生かすか」や、「AとBのどちらが正しいと思うか」などという選択。私の予想なのだけど、これはおそらく Dragon Age: Origins に影響されている。Dragon Age: Origins はその道徳的判断をプレイヤーに迫るストーリーがかなり評価されているので、Dungeon Siege III のシナリオライターに影響を与えたか、その売れ筋のストーリーの流れに乗ってゲームをより売れさせようとしたプロットを作ったのだと思う。

私が特に Dragon Age: Origins/Awakening と似てると思った点は、選択を迫る場面で、「法的にはこちらが正しそうだが、心情を考えるとあちらが正しい」というプロットがあることや、「人語を話せるが、人間に奴隷的に扱われ、無賃で工場で働かされているサイクロプスを支持するか、自分の利益や人間の経済的発展を重く考えてサイクロプスを奴隷とする人間を支持するか」というプロットがある事。Dragon Age: Origins で出てきたものに似ている正義や公正さの判断をさせている。


サイクロプスをどうするかの選択シーン。

ところで、プレイヤーに道徳的判断を迫るこれらの場面はストーリー自体とはあまり関連性が無い。私はこの部分を批判したい。このように本来のストーリーとは少し外れたプロットを作り、正義や公正の判断をプレイヤーにさせることにより、本来のストーリーが中途半端になってしまっている。ゲーム中に、人間以外の、機械やサイクロプスやゴブリンなどの種族を登場させる必要があったのだろうか?

Dragon Age、Mass Effect では多くの種族を登場させることで世界に多様性を持たせることに成功していたのだけど、Dungeon Siege III ではそれらの種族はストーリーにほとんど関係の無い存在である。おそらく、「Dragon Age: Origins に似せて、プレイヤーに道徳的判断をさせる」という目的を意識しすぎたため、とりあえず色々な判断をさせようとして色々な種族を登場させてしまったのだろう。Dungeon Siege III では種族毎に小さな道徳的判断があるのだけど、Dragon Age: Origins ほど極端でも無いし、さらには決定に重要性が無い。

Dungeon Siege III でのその自分の決定は、ストーリーにほんの少し影響がある。人物Aを殺さずに生かしたり、人物Bの処刑を望む人物に人物Bを引き渡さないで自分たちで保護したりすると、その人物達が生きているストーリーで進む。でも、これは実はあまり大きく影響しない。生かす殺すなどの選択後ではカットシーンで、「あなたはこの人物Bが重要な知識を持っているから生かしたのだ…」などと語られるのだけど、影響があるのは実はそこだけ。後はエンディングの後日談が少し変わる程度。後日談はただ挿絵が表示され会話で語られるだけなので、興味が無い人は全く興味が無いだろう。つまり、ストーリーに影響があると言っても、ゲームクリア後のエンディングに一言程度の影響があるものがほとんどなのである。ストーリーにある程度大きく影響するのはラジャーニという登場人物だけでは無いだろうか。


ラジャーニというキャラクターを生かすことにした時のカットシーン。

さらに、道徳的判断の時のシステムに少し問題があると思う。Dragon Age でも、私は仲間に信頼度というパラメータが無い方が良いと思っている。この信頼度は自分の選択肢によって上下するのだ。Dungeon Siege III にもこのパラメータがある。これがあると選択肢が自由に選べない。Dragon Age: Origins では強い味方や、パーティにいて欲しい味方に気を使わねばならなかった。これにより正義や公正の判断が鈍ることがある。正義や公正をコミュニタリアン的に判断しなければならないという意見もあるのだけど、私は味方に気を遣わずに判断したかった。この問題を解決するには、自分の道徳的判断に近い味方を連れて歩けば一応解決する。Dragon Age: Origins でも、Dungeon Siege III でも。だけど、これは違った方面からの解決方法だと思う。

戦闘について

このゲームは Hack & Slash の雰囲気が少しだけあるアクションゲームという感じ。ただ Hack & Slash を楽しめるゲームという域には届かない。このゲームは主にはアクションゲームであり、戦闘中の防御と回避行動があるのでアクション性が高い。全体的に敵の攻撃が強いので、立ち止まったまま敵を攻撃していると、たくさんの攻撃を受けてすぐに死んでしまう。敵の攻撃の防御をすると犠牲になるエネルギーがあるので、敵の攻撃で死なないようにするには主に回避行動を使う。回避行動はローリングなど。

ゲーム中はこの回避行動に忙しい。敵の攻撃を避けなければならない頻度は結構多く、攻撃しては回避、攻撃しては回避という操作の連続になる。回避行動中は無敵なので回避行動の使い勝手は良いのだけど、回避が多すぎて攻撃があまり出来ず、敵を倒すのに時間がかかる事もしばしば。特にボス戦では必要な回避行動が多く、自分がボスのターゲットを取り、ボスの周りをローリングで回っているうちに、CPU操作の味方に敵を攻撃して倒してもらうパターンが多くなってしまった。とりあえず、このゲームは回避が忙しく、アクション性は高いと思われる。

Demo を少しプレイした時、このゲームはずっと一人だけで旅をしていくのだと思ったのだけど、製品版では味方が3人いる。味方は三人の内の一人しか戦闘に参加できないのだけど、このCPU操作の味方がいると戦闘がかなり楽になる。敵は主にプレイヤーを狙って攻撃してくるので、味方は敵を攻撃し放題になる。なのでプレイヤーは敵の攻撃を回避しているだけでも戦闘が終わる。なお、味方の装備は変更できるし、アビリティなどのポイントの割り振りも自分で出来る。味方は自分で操作はできないのだけどポイントを振って育てられるので愛着は湧くと思う。

各キャラクターにスキルは9つ。初めは少ないと思ったのだけど、クリアした今ではアクションゲームとしては十分な気がした。戦闘は回避で忙しいので、そこまでたくさんのスキルを使いこなせない。ポイントでスキルをアンロックするのだけど、終盤には全てのスキルを取れるし、ほとんどのスキルが強く、外れが無い。ただ、30秒間効果のあるスキルなどはあまり好きではなかった。防御力が30秒間あがる、などのスキル。戦闘の度にアクティブにするのが面倒で、一度も使う事は無かった。

なお、戦闘中のカメラワークは少し良くない。自分が壁際にいる時、カメラの位置がおかしくなるのでかなり見辛くなる。最近のゲームは大抵こうなるので分かると思うのだけど、視点カメラが壁に当たって下がれなくなり、自分がかなり拡大される。狭い通路での戦闘ではこの現象が起こりやすいので、出来るだけ壁を背にしないようにして戦わなければならない。

全体的には戦闘は悪くない。取り立てて面白いとも言えないのが残念ではあるのだけど、アクションゲームとしてはまあまあの出来だと思う。私が戦闘に飽きそうになってきた時、既にゲームが終盤辺りだったのも良かった。飽きる前に終わったということ。長引くよりは引き際がいいね。

装備アイテムについて


装備画面。

このゲームはアイテムのドロップに気を遣っているらしい。Dungeon Siege III の紹介ムービーで開発者の人が語っていた。Hack & Slash のゲームのように、アイテムを拾う楽しさを与えたかったのだと思う。確かにゲーム中でたくさんのアイテムを拾う事ができる。宝箱も多い。私も大量のアイテムを拾えるのは好きなのだけど、このゲームは問題点がある。

まず、拾う装備アイテムに魅力が無いこと。敵のドロップや宝箱から手に入る装備アイテムは、自分の進行度に合わせたのランクの装備品しか出てこないので、「これを使えば敵が一発で倒せる」という並外れた強い武器は拾う事は無い。大抵の場合、拾う装備品よりも店に売っている装備品の方が強くて、店以外のアイテムはあまり魅力が無い。拾ったアイテムは売ってお金儲けをするだけ。これでは敵が装備品は落とさずに、お金だけを落としてくれた方が手間が無いと感じてしまう。それに、装備するアイテムは基本的には価値が高いものを装備しているだけで良い。武器自体の特殊能力は、追加効果だけで、「敵が流血する」「敵を氷らせる」「敵を燃やす」という確率があるだけで、他に魅力が無い。「この武器を装備すると強いスキルを使う事ができる」などの魅力が欲しかった。

次に、アイテムを持てる数に制限がある事。大量のアイテムを拾えるのは良いのだけど、アイテムを持てる量に制限があるので、アイテムを処分しなければならない状態になってしまった事が多かった。持てるアイテムに制限があるので、私は装備しているアイテム以外のアイテムは全部売っていた。弱い武器を持っていても意味が無いし、武器の追加属性を変えて戦闘を有利にするような場面も一切訪れなかった。

もう少しアイテムを拾ったり、装備する楽しさを与えて欲しかった。

ところで、落ちているアイテムは見えにくい。ほんの少しだけ光る程度なので、アイテムが落ちていても気付けない。それに、落ちているアイテムに近づかないとアイテムの名前が表示されない。また、宝箱を開ける時などが大変で、それが本当に開けられる宝箱なのかどうかは近づかないと分からない。このゲームは移動速度が少し遅いので、アイテムが無いかどうかマップを隅から隅へと移動するのは少し骨の折れる作業だった。それに、落ちているアイテムはボタンを押さないと拾えない。近づくだけで拾ってくれるのはお金と回復のアイテムだけ。つまり、落ちているアイテムに気付き、かつ、拾うためのボタンを押さなければならない。偶然に装備アイテムを拾える事はない。

まとめ

ゲームのクリアまでは16時間ほど。カタリーナというキャラクターを使った。サイドクエストも全てクリア。ストーリーはそこまで褒められたものでは無いのだけど、戦闘は普通の出来なので楽しめる。ファンタジー系のストーリーをあまり知らない人ならストーリーも楽しめるかもしれない。ゲーム全体では普通~良作という出来。ストーリーにあまり興味が湧かない場合、中間でだれてしまう可能性があるので、友達と Co-op をするとより楽しめると思う。Co-op は4人まで一緒に出来る。ただ、Co-op は画面共有なので、一人で遠くに行ったりは出来ない。

このゲームの進行の楽さは、実は選ぶキャラクターで結構変わる。私は最初のプレイでカタリーナという銃使いのキャラクターを選んだので大変だった。クリアした後にルーカスというキャラクターを使ってみたら、「このゲーム Hack & Slash じゃないか!」と感じた。カタリーナを使っていた時、敵が1、2撃で死ぬことはまれだったので、「このゲームは回避して攻撃するのがメインのアクションゲームか」と思っていたのだけど、ルーカスを使ったら1、2撃で敵を倒せてしまったのでゲームスタイルが全く違っていて、かなり楽だった。

なお、キーボードとマウスでゲームをするよりも、コントローラーを使った方が楽にゲームできると思う。このゲームはWSキーで前後に移動、ADキーでカメラの視点の回転が出来るのだけど、例えば右上に行きたい時、キーボードでは前進しながらカメラの視点を右に回転させるか、カメラを回転してから前進することになる。この場合、目的の場所に到達するのに少しラグがある。でも、コントローラーを使えば、すぐに右上に直線的に移動できるので、こちらの方が速く移動できる。さらに、オプション設定から、カメラの視点回転の速度(感度) を上げるとより快適になる。

[追記] アップデート(News - Dungeon Siege III Update Released) により、キーバインド機能が追加され、さらに左右に動けるアクションが追加された。これによりキーボードでも楽に操作できるようになった。

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Nomeu

ほとんどのジャンルのゲームが好きです。特に好きなのはRPG。「Xenogears」「クロノトリガー」「ペルソナ3、4」とか。ドラクエは「V」。主人公が「勇者」ではないところが好き。ビジュアルノベルは「STEINS;GATE」「Ever 17」「AIR」が好き。

どこぞの作曲コンクール最優秀賞受賞。好きなゲーム音楽は「愛のテーマ (FF)」「Heartful Cry (ペルソナ)」「夢の卵の孵るところ (Xenogears)」「凍土高原 (Kanon)」「夜の底にて (クロノトリガー)」「Theme of Laura (Silent Hill 2)」「Scarlet (みずいろ)」「bite on the bullet (I've)」など。たくさんありすぎてスペースが足りません。

ゲーム音楽以外だと「Ballet Mecanique (坂本龍一)」「月光 第3楽章 (L.v.Beethoven)」「水のない晴れた海へ (Garnet Crow)」「Angelina (Tommy Emmanuel)」「空へ… ライブ版 (笠原弘子/ロミオの青い空)」「太陽がまた輝くとき (高橋ひろ/幽遊白書)」「スカイレストラン (ハイ・ファイ・セット)」など。

Twitterのアカウントはありますがうまく扱えていません。Twitterでご連絡の際はDMだとメールが来て気付けます。