『Dragon Quest X』レビュー - Windows 版のベータをプレイ。移動が面倒

2019/06/06 2013/06/25

現在ベータ中の Dragon Quest X の Windows 版をプレイ。ベータに参加したい人はこちらから。

私はドラゴンクエストは好きで一応ドラゴンクエストシリーズは全部手を付けている。一番好きなのはドラゴンクエスト V。ビアンカ派。V は色々なゲーム機でたぶん3~4回クリアしている。VII と VIII はつまらなくてすぐに止めてしまった。VIII は 3D 化の失敗だと思っている。

さて、シリーズついにオンラインゲームになったドラゴンクエスト X には前々から興味があって、堀井雄二さんなどが登場するプロモーションビデオを観たりしていた。しかし Wii という私からすると特殊なゲーム機用のゲームで、遠い存在だった。それが Windows で。これは試してみないと。

移動は面倒じゃない?

さっそくオンラインでプレイだ、と思うと、まずはオフラインでプレイしてからでないとオンラインプレイできないらしい。兄や姉(きょうだい) の容姿と名前までも自分で決めるという大変さを経て、ついにゲームが始まる。プロモーション動画を見ていて一番気になっていたのは、実はフィールドの移動だった。 ドラクエを MMO RPG にするに当たって、今までのシリーズに無く世界が広くなっていて移動が面倒臭そうだ。

移動が面倒かどうかはキャラクターが操作可能になった直後に判明した。面倒だ。世界がリアルなサイズになり、小さな町でもそのサイズが大きい。自分の家から村長の家まで走るのに10~20秒くらいかかる。ゲームが始まってすぐの一番最初のクエストとも呼べる、村長に会いに行く間の移動時間で眠くなってしまった。走っている最中は私にとっては何もしていないのと同義でかなり退屈。

今まで 2D で出ているドラゴンクエストは移動のテンポが良かったと思う。道具屋から武器屋への、町の入り口から村長の家までの移動時間は気にならなかった。さらに言うと町から町への移動もそこまで苦労ではない。しかし X はマップが広いため移動が長すぎる。タンスを片っ端から調べたり、町の探索などする気も起きない。ただ、この広大な町を移動する際に、地図を開いて村人の名前リストから彼らの位置を探せるシステムはかなり便利で、このシステムは評価したい。しかし、これは考えられて当然のシステムで、このゲームの移動を体験した人は全員が面倒だと思い、そのシステムを作ったのだと思う。移動の面倒さを少しでも解消するため、マップの広さはそのままで地図を便利にした。移動が面倒なゲームでの人探しは単なる苦痛なのだから。

実は私は Final Fantasy XI を友人に誘われてゲームを貰ってプレイしてみたのだけど、移動が面倒ですぐに止めている。FF XI は移動ゲー。何をするにも移動に時間が掛かり、このゲームのプレイ時間の大半は移動時間では無いかと疑っている。すぐに止めたのでプレイが進んでからはどうなるか分からないけれど、私は移動が面倒なゲームがこのぐらい嫌い。

ドラゴンクエスト X は移動が他の 3D MMO RPG と似ていて、今までに出ているゲームを模倣してしまった。「オートラン」という自動的に走ってくれる機能が付いていることからも、開発者達も移動が面倒な事は気になっていたと思う。世界をもう少し小さくすれば良かったと思うのだけど、そうするとこのゲームのプレイヤー人口が多くなったときにプレイヤー達が重なってしまうこと、さらに世界を小さくすると臨場感が得られないことなどを考慮したのだろう。そもそもドラクエの臨場感は、空間の大きさではなく、グラフィックスのうまさに依っていた部分が大きいと思う。空間を広大にすることで確かに臨場感、というか圧倒感のようなものを得られるとは思うのだけど、それをしてこなかったのがドラクエのはずだった。

戦闘はどうやって行うのか

戦闘はプレイヤーがフィールドを走っているときに、他の MMO RPG のように敵が見えるようになっており、敵と接触すると戦闘に入る。リアルタイムな面と、今までのドラゴンクエストの戦闘システムを融合した形。まあ FF XI に似ていると言えば似ている。しかし特徴的なのは、プレイヤーが戦闘中に移動できることと、モンスターを押せること。これはうまい。

今までコマンド形式だったドラゴンクエストの戦闘は、VIII、XI などのように戦闘画面を 3D にしただけでは面白味が無い。そこで戦闘中にプレイヤーを移動できるようにして、敵が攻撃してきたときに走ってその攻撃から少し逃げられるようにしてある。そこまで長くは走って逃げられないものの、敵の攻撃タイミングを少しずらせる。その間に他のパーティーメンバーがその敵を攻撃するとたぶん敵の攻撃を妨げられる。そして、一人のプレイヤーを追っているモンスターを、追われていないパーティーメンバーが押すことでも攻撃タイミングを遅らせることが出来る。

ゴーレムを押している図。ゴーレムが攻撃対象に到達するまでの時間を遅らせられる。

プレイヤーを追っているモンスターは時間内に対象に辿り着けないと攻撃対象を変えるようで、体力が減っているメンバーに攻撃をさせないようにするなどと戦略的にも使えると思う。せっかくよりリアルな戦闘になったのだから、そこに今までに無い要素を載せてくるのは、システムを改善しようと攻めの姿勢を見せるドラゴンクエスト開発陣の熟慮が窺える。

ただ、ドラゴンクエストのコマンド戦闘のスタイルは残してありつつも、他のプレイヤーと同時に戦闘しなくてはならないため、クールダウンのシステムがありテンポは悪い。コマンドで攻撃した後、次に攻撃できるようになるまでは数秒クールダウンにかかる。その後にまたコマンドウィンドウが表示され、コマンドを選ぶ。つまり WoW などにあるスキルをただコマンドとして表示しているだけ。序盤ではプレイヤー対モンスターで1対1で戦うこともあり、コマンドで攻撃した後、モンスターと数秒睨み合っているだけの時間が存在する。

これはプレイヤーが他のプレイヤーの行動に左右されないようにするため、プレイヤーのコマンドは独立したシステムにしなければならなかったから。全員の人が機敏にかつラグ無しにコマンドを入力できるなら、今までのドラクエシリーズのように味方全員が次に行う行動を決めてから、せーので今までのドラクエの戦闘のようにモンスターと戦えばテンポが良い。しかしそううまくいかないのがオンラインゲーム。

他に気になるのは、戦闘が独立したフィールドで行われないこと。移動中に敵と接触するとその場で戦闘が始まり、敵の攻撃を避けようとしてその場から大きく移動し戦闘を終えると、戦闘を開始した場所から随分離れていることがある。戦闘後に自分が今どこにいるのかを戦闘の都度マップで確かめなければならない。

MP などのステータスの問題

ドラクエは体力や MP が自動回復しない。それが今作でも受け継がれており、MP が 0 になったときに困る。ドラクエシリーズはその全部で MP 0 には困るのだけど、今作では広大なマップを歩いてきているので、ちょっと戻って休もうかとはならない。通常の MMO RPG は、「座る」などをすると体力や MP(Mana) を回復できるゲームがほとんど。しかし今作はそういうシステムは無いようなので困った。宿屋に戻るにも足での移動は時間が掛かる。

今作では MP 回復アイテムが普通のドラクエよりも豊富にあるか、MP を回復する手段が何かあるのだと思うけれど、序盤は苦労しそうだ。

総評

日本での有名 RPG がついにオンライン化ということで他の MMO RPG より良く出来ているだろうと期待していたけれど、そこまで秀でて良く出来ているわけでは無い様子。戦闘はユニークな要素があって楽しさがあるけれど、私としてはテンポの悪さがちょっと気になる。また、このゲームで一番落胆したのは移動だった。移動で時間が取られるのには私は我慢が出来ない。

私は「移動が遅い(マップが広すぎ)、戦闘のテンポが悪い」と感じたけれど、これはゆっくりなプレイが好みの人なら変わった評価になるはず。ゲームに、または他のプレイヤーに急かされないでプレイ出来るという見方もある。チャットしながら戦闘するならもしかするとちょうど良いくらいの戦闘のテンポなのかもしれない。昨今のゲームは忙しすぎると感じている人もいるのでは。リアルタイムでは無い RPG 代表のドラクエくらいゆっくりとやりたいという人もいると思う。そういう人にとっては良いゲームだと思う。

少し話は変わるけれど、ドラクエ X はオンラインプレイヤーが、他の MMO RPG に比べて温かそうだ、という印象がある。これはプレイ画面、ゲーム内の空間、キャラクターなどが柔らかいからかもしれない。家を建てたプレイヤーに対して暴言を吐くプレイヤーがいるなどという問題も聞くけれど、他の MMO RPG と比べると全体的に優しそうなイメージがある。協力プレイがやりやすいなら、他の MMO RPG と比べてかなりの利点になり得る。しかしこれは私の期待を込めた想像なので、実際は子供も多くオンラインプレイに参加しているので、そうはならないのかもしれない。

ストーリーについては私が知っている MMO RPG の中では抜きん出て良いと思う。MMO RPG というのはプレイヤーは永続的にプレイするので、ストーリーなど有って無いようなものだった。これを「有にして無」などと言うと無駄に格好良く聞こえる…のは良いとして、ドラクエ X はオフラインでもクリアまでプレイ出来るようでストーリーもしっかりと作ってあるという印象を受けた。

ストーリーとキャラクターはクロノシリーズの影響が大きいように思えた。

ストーリーはちょっとステレオタイプなようにも思えるけれど、しっかりとしたムービーのカットシーンが入ったり、主人公が今何をしているのか、何を目的として次の行動に出るかを説明してくれる。プレイヤーがストーリーにしっかりと乗っていて、ただミッションをクリアして別の町に移っていくだけのゲームでは無い。ストーリーを先に進めるためのオンライン協力プレイという感覚が強く、この点にはかなり好印象を持った。

ただオンラインは少ししかプレイしていないので実際はどうかは分からない。最初は良いけれど段々ストーリーがおかしくなってきたり、ストーリーが薄かったり、一人ではクリアできないクエストが多くなったりと、色々と問題があるのかもしれない。

オンラインプレイ。ちらほら人がいる。

今から MMO RPG をプレイするなら私はドラクエ X を選ぶと思う。FF 14 よりも。普通なら MMO RPG は目的が希薄だけど、このゲームはたぶんしっかりとしたストーリーがあって、プレイを進めると「クリア」できると思う。それは魅力的だ。しかし、ベータでお試しプレイしても MMO RPG 自体をプレイしようという気にはなれなかった。移動に時間を取られるドラクエ X をプレイするなら、特にドラクエ X をオフラインプレイするなら、今までに発売されたドラクエを再びプレイした方がテンポが良くて楽しめると思う。一緒にプレイしてくれる友人が居たとしても、私はドラクエ X をプレイしている時に「他のゲームやろうぜ」と言ってしまいそう。

「私はドラクエ X を続けないよ」。堀井雄二さんが楽しそうにドラクエ X を紹介していたのが強く記憶に残っている。「私ちょっと強いですよ」と良いながらレベルが高いキャラクターを見せていた。私がドラクエ X を体験した今だからこそ思うのは、「良くそこまで飽きずにプレイ出来たな」と。面倒臭がりな私は、プレイ直後の「移動」で躓いてしまった。キャラクターは走っていたけれど。

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About

Nomeu

ほとんどのジャンルのゲームが好きです。特に好きなのはRPG。「Xenogears」「クロノトリガー」「ペルソナ3、4」とか。ドラクエは「V」。主人公が「勇者」ではないところが好き。ビジュアルノベルは「STEINS;GATE」「Ever 17」「AIR」が好き。

どこぞの作曲コンクール最優秀賞受賞。好きなゲーム音楽は「愛のテーマ (FF)」「Heartful Cry (ペルソナ)」「夢の卵の孵るところ (Xenogears)」「凍土高原 (Kanon)」「夜の底にて (クロノトリガー)」「Theme of Laura (Silent Hill 2)」「Scarlet (みずいろ)」「bite on the bullet (I've)」など。たくさんありすぎてスペースが足りません。

ゲーム音楽以外だと「Ballet Mecanique (坂本龍一)」「月光 第3楽章 (L.v.Beethoven)」「水のない晴れた海へ (Garnet Crow)」「Angelina (Tommy Emmanuel)」「空へ… ライブ版 (笠原弘子/ロミオの青い空)」「太陽がまた輝くとき (高橋ひろ/幽遊白書)」「スカイレストラン (ハイ・ファイ・セット)」など。