『Scrolls』レビュー - 初プレイ所感。Minecraftを作ったMojangが作るカードゲームとは

2019/06/06 2013/06/06

先日 Open Beta で購入可能になった Scrolls をプレイ。Mojang でアカウントを作る際に、ユーザーネームに "Nomeu" が既に使われていたことに驚き。重複する名前は使えない。私は永久に変えられない名前を付けるのがストレスに感じるので、ゲームのプレイ前からいきなり重い気分だった。

どんなゲームなの?

ゲームを起動すると、またもや重い選択から始まる。

自分のカードデッキの種類(陣営 - faction[派閥]) を選ぶらしい。まだゲームを何にも知らないのに。とりあえず私は赤い陣営 Energy を選んだ。その理由は、女の子の絵が可愛かったから。せっかくなら可愛い絵の方が良いじゃないか。選択は間違っていないと信じたい。

この後すぐにチュートリアルをプレイするのだけど、カードゲームはルールの説明が大変なので詳しくは下の動画を見て欲しい。

ルールはあまり複雑ではない。カードを1ターンに1枚引けて、そのカードを使ってフィールドにユニットを置いたり、エンチャントしたり、スペルを使ったり。ユニットは2つに分かれる。ガードのユニット(Structure/Wall) と人間などの動物ユニット(Human/Wolf/Rat など)。彼らの攻撃を助けたり、敵に直接攻撃するためにエンチャントカードとスペルカードを使う。

配られたカードを使うにはコストが掛かり、カードを1枚犠牲にして使えるコストの上限を増やせる。ゲームに勝つには相手のフィールド端にある像を3つ壊す。ルールの中核はこれだけ。後はカードの多様性が複雑。デッキは50枚以上で組み、ゲームをプレイする前に選んだ陣営のスターターデッキを無料で貰える。スターターデッキはリアルマネーで購入すると大体 $4 ほど。

お金の話が出てしまったのでこれを説明しておくと、Scrolls ではゲーム内通貨(Coin) とリアルマネーの通貨(Shard) の二つが使われる。600 Shards が $5 で購入できる。スターターデッキは 6500 coins か 500 shards。実際にプレイすると 6500 coin は稼ぐのがきつい。試合が終了するといくらかのコインを貰えるけれど、あまり多くないので期待しない方が良い。カードを購入するのはランダムカードで 100 coins、陣営を選択してランダムカードを購入するのは 175 coins、10枚セットが 1000 coins。10 枚セットはレアカードが必ず入っているらしい。

左側にある "Random Scrolls" というのが今説明したところ。そういえば「カード」と説明してしまったけれど、正確には全部「スクロール」だったりする。

カードデッキは自分で組めるけれど、デッキは最低50枚のカードが必要で、カードを購入しないことにはデッキを弄れない。スターターデッキがちょうどカード50枚。

うーん…

プレイし始めてまず感じたのはユーザーインターフェースが見難いこと。

カードゲームはまずはカードを覚えないとならないので、プレイ開始直後はカードの説明を一つ一つ見ていかなければならない。そうした時に画像1枚目の通常画面ではカードの説明文字が小さすぎて見えない。そのため毎回カードをクリックして拡大表示して見なくてはならない。拡大するとカードが画面中央を占領してフィールドが見えなくなるので、拡大しなくても見えるくらいの大きさにしてほしい。

相手のカードの枚数、コスト、使ったエンチャントやスペルカードが何なのか、どのユニットにエンチャントカードを使ったのか、などもよく分からない。相手のユニットをクリックすると掛けられているエンチャントを確認できる。しかし、相手がこちらに向かってスペルを使ったとき、どのユニットにそのスペルが掛けられたのか確認するのが難しい。エンチャントなら瞬殺されないので確認は何とかなるものの、「何も起きてないように見えるけどどうなったんだ」ということが稀にある。もう少し重要なデータをうまく表示するようにして貰いたい。

また、Trials という、何らかの条件があるチャレンジモードのようなゲームモードは理不尽さを感じる。Easy の時はチュートリアルのようなもので良いけれど、だんだんと敵が有利過ぎる設定になっていき、理不尽さを感じてやる気をなくしてしまう。一応私は Medium まですべてをクリアしたけれど、Hard はきつい。良いカードをそろえておかないと私の選んだ陣営では運がないと無理っぽい。

数時間プレイして

Trials ではない実際のマッチはどんな感じかととりあえず AI と対戦。何回か戦闘をしていると、Scrolls にあまり熱中していない自分に気づく。暇つぶし程度の感覚というか。

相手の手を読んで戦略が組めないのはちょっと苛立たしい。Magic the Gathering の PC ゲームをプレイしていたときには、相手のカードを予想したりして、最大にダメージを受けたとしても何ポイントだとか計算してプレイしていたのだけど、Scrolls はそれが出来ない。私が相手陣営のカードを知らないというのも一因ではあるけれど、カードの種類が多いし、突拍子も無い効果のカードが多い。「全部のユニットの攻撃力を +2」とか、召還後にすぐ攻撃できる Attack 3 のカードは強すぎる。

また、AI の持つカードは私のスターターデッキよりも一段階良いカードを揃えている。その為、単純な戦力差で負けることも多い。カードによって勝負が付くというカードゲームの負の面を感じる。

Order の召喚コスト1、攻撃力4というカードは強い。その周りに Order のユニットを配置させられると Energy 陣営では対処に難しい。

Scrolls はデッキを構築するときに何らかの制限が無いとダメだと思う。例えば召喚コストの全体量がいくつとか。今はほぼ制限が無いので、現状ではお金を掛けて良いカードを持っている方が勝つという Pay-to-Win だと感じ、私はどうも真面目にプレイ出来ない。

さらに言うと、ゲームの開始前に選んだ陣営によって随分強さが違う。つまりバランスが悪いのでは無いか。私の選んだ Energy 陣営はスターターデッキでは一番弱いのでは無いかと感じている。スターターデッキを手に、AI の強さ Hard に何回か対戦してみたところ、いつも戦力差を感じるのは Order 陣営。Order は低コストのユニットをどんどんフィールドに出せば出しただけ強くなるので、ユニットを出すまでに時間の掛かる、高コストの Energy には勝てる要素が見つからない。準備を整えている間に負ける。もしかしたら陣営間で三すくみの関係にあるかもしれないけれど、もしそうならゲームで何をしたいのだろう。カードゲームをするよりもじゃんけんをした方が早い。

Hard の AI といえども少しミスをしてくれるので、ぎりぎり Growth 陣営には勝てる。敵も同じ Energy 陣営の時は気が楽で、相手が良いカードを出してこない限りは勝てる。体感的には強さは "Energy < Growth << Order" だろう。Order はユニットが大量にあれば本当にやりやすい陣営だと思う。陣営を選ぶときに絵柄で選んだ私が悪かった。しかもあの可愛い女の子のカードが無いのには文句を言いたい。

Scrolls よりも、Magic the Gathering - Duels of the Planeswalkers をプレイした方が面白いように思う。あちらはデッキは組めないものの、エンチャントのカードが各陣営で似ているので大量にカードを覚える必要が無いし、似ているカードを相手も持っているとして戦略を立てられる。その為、パズルゲーム・ストラテジーゲームとしての面白さがある。Scrolls は自分の手持ちのカードでもうまくやれば相手に勝てるんだ、というパズルゲーム・ストラテジーゲームの感覚が全くない。「ミスしろー、ミスしろー、ミスシロー」と相手を呪うゲーム。五寸釘が光るよ、らんまくん。

結局のところ、カードを買うタイプのカードゲームは、満足に選べるほどカードが潤沢に無いと十分に楽しめないという面がある。スターターデッキで対戦できないのは悲しい。ここは私の読みが甘かった。そういえば、そもそも私が Magic the Gathering の PC ゲームを買ったのは、カードを買わなくて良いからという理由だった。現実には無理だけど、仮想のゲーム上で色々なカードを手に入れて遊べるなら面白いじゃないか。しかし Scrolls は現実のカードゲームと同じく、カードをたくさん買わなくては勝負に参加できない。そりゃそうか、Mojang は儲けなくてはならないのだから。

私は Scrolls を単にゲームの一つとしてプレイしているので、そのような、ライトな PC 用のカードゲームとしては私には Magic the Gathering の方が良さそうだ。

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About

Nomeu

ほとんどのジャンルのゲームが好きです。特に好きなのはRPG。「Xenogears」「クロノトリガー」「ペルソナ3、4」とか。ドラクエは「V」。主人公が「勇者」ではないところが好き。ビジュアルノベルは「STEINS;GATE」「Ever 17」「AIR」が好き。

どこぞの作曲コンクール最優秀賞受賞。好きなゲーム音楽は「愛のテーマ (FF)」「Heartful Cry (ペルソナ)」「夢の卵の孵るところ (Xenogears)」「凍土高原 (Kanon)」「夜の底にて (クロノトリガー)」「Theme of Laura (Silent Hill 2)」「Scarlet (みずいろ)」「bite on the bullet (I've)」など。たくさんありすぎてスペースが足りません。

ゲーム音楽以外だと「Ballet Mecanique (坂本龍一)」「月光 第3楽章 (L.v.Beethoven)」「水のない晴れた海へ (Garnet Crow)」「Angelina (Tommy Emmanuel)」「空へ… ライブ版 (笠原弘子/ロミオの青い空)」「太陽がまた輝くとき (高橋ひろ/幽遊白書)」「スカイレストラン (ハイ・ファイ・セット)」など。