『Mass Effect 3』レビュー - 今までの伏線を全て回収して欲しかった

2019/06/06 2012/09/13

安くなってきたので Mass Effect 3 を購入し、少しずつプレイ。やはり ME2 から時間が空いてしまったので大分忘れていた。ゲーム内の辞書的なものである Codex の存在が有り難く、プレイ開始時は思い出すためにほぼ全てを読んだ。

今作は Cerberus が大分頑張っている。Cerberus は ME1 で初登場し、サイドクエストの脇役だった団体。出世したものだ。ただ Cerberus のトップである Illusive Man の考え方は分かり易い。Illusive Man は「人類の為に」という理念を始めから掲げている。ME2 の時にはそこまで残虐なことをしてこなかったけれど、今作の少し前の時点で考え方が傾いていったらしい。

シナリオライターはこの設定を、ME3 では Cerberus を離れた Shepard を ME2 で味方だったキャラクターと合流させるために用いる。面白いことに ME2 での味方は全員 Cerberus を離れている。さすがにこれはちょっとやり過ぎな感があった。

好きなシーン

個人的に好きなキャラクターである Mordin が Krogan の Cure についてのプロットに登場するのは格好良い。ME2 で随分 Shepard が責めたのが効いたのだろう。

ME3 では短命な種族はうまく死に場所を選んでいるように思える。Mordin のシーンでは選択肢によってはもしかすると Cure が失敗するのかもしれない。私は選ばなかったけれど、そういうことになると Krogan が Reaper との戦いに協力してくれずに終わるのだろう。

他にも上手い最期としては、Thane が挙げられる。

「もう以前のように動けない」と言っていた Thane は Councillor を救うために最後の力を振り絞る。このシーンは特に好きで、Thane が刺された時に「良くやった」とシナリオライターを褒めてしまった。この場面で Thane が勝ってしまうのはおかしい (ただどうして Shepard 達が援護しなかったのかという疑問は残る)。Thane は初登場時から心の優しいキャラクターだった。彼としても最後の戦いには悔いは無いだろう。

エンディング

ME3 発売後にエンディングへの酷評がたくさんあったので、私は Reaper に負けて終わるのだろうかと予想していた。しかし実際に自分で見てみるとそこまで悪いエンディングでは無い。説明不足な感がもの凄くあったが、それでも 0 点に値するほどのエンディングでは無い。50 点ぐらいは与えて良いだろう。

エンディングは数種類ある。

なお Extended Cut という DLC でもう少し説明されたエンディングに改善される。改善されたエンディングを見ると、追加されたシーンは確実に説明されなければならなかったと感じたものが多い。Extended Cut 無しにはエンディングが短すぎてどういう意味なのか良く分からないので、ここへの批判は当然だろう。

それに、エンディングまでプレイしても Reaper の存在が良く分からないのはちょっと消化不良だった。"Cycle" があるのは分かったし、考え方自体はまあ良い。でも「そもそも Reaper とは」「どうやって作られたのか」など、全ての始まりはどうだったのかという疑問が残ってしまった。それに「破壊」を解決策とする Reaper は正しいのだろうか。

(核心に迫るネタバレ段落) "Cycle" とは何かを知りたい人もいるかも知れないので書いておくと、この考え方はロボット対人間のようなものである。つまりロボットなどを生み出すとロボット達 "Created" が "Creator" に対して必ず反逆を起こす、という史観が根本に置かれている。そして、必ずこの反逆が起きてしまうので、Reaper は一定の周期で文明の進んだ種族を全て滅ぼしていくのである。これが "Cycle"。

私としては Trilogy の最後の作品なので、今までの伏線などを全て回収してしっかりと終わって欲しかった。そういう意味ではたくさんの酷評通り、「望んだエンディングでは無かった」という意見は私にも当てはまる。Rachni など、ME の全ての登場キャラクターを登場させたいが為に「一応書いておいたからこれで良いよね」程度の存在に成り下がっている。ストーリーメインのゲームでは、やはり伏線が回収された時の快感が欲しかった。

まとめ

酷評されている 0 点に値するゲームだとは到底思えない。ほぼフルボイスだし、Codex にまで音声が付いている。今作は装備品もたくさん登場するし、武器のアップグレードも出来る。ゲームシステムの出来は良いと思う。ただストーリーがちょっとその場しのぎのような、質の低いものになってしまっているように思える。まだ何かしら続きを作りたいのかもしれない。ゲーム以外では色々と出ているし。

やはり Mass Effect は一番最初の ME1 が楽しかった。こんなところにも「初代が一番良い法則(続編は前作を越えられない法則)」が当てはまってしまった。ME1 は映画的なストーリーで楽しかったけど、ME2 は ME1 の拡張パックのようなものだし、ME3 はこれらの強引なまとめ的な存在。RPG と言えば BioWare だったのに、それがもう終わりに近いのかもしれない。

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About

Nomeu

ほとんどのジャンルのゲームが好きです。特に好きなのはRPG。「Xenogears」「クロノトリガー」「ペルソナ3、4」とか。ドラクエは「V」。主人公が「勇者」ではないところが好き。ビジュアルノベルは「STEINS;GATE」「Ever 17」「AIR」が好き。

どこぞの作曲コンクール最優秀賞受賞。好きなゲーム音楽は「愛のテーマ (FF)」「Heartful Cry (ペルソナ)」「夢の卵の孵るところ (Xenogears)」「凍土高原 (Kanon)」「夜の底にて (クロノトリガー)」「Theme of Laura (Silent Hill 2)」「Scarlet (みずいろ)」「bite on the bullet (I've)」など。たくさんありすぎてスペースが足りません。

ゲーム音楽以外だと「Ballet Mecanique (坂本龍一)」「月光 第3楽章 (L.v.Beethoven)」「水のない晴れた海へ (Garnet Crow)」「Angelina (Tommy Emmanuel)」「空へ… ライブ版 (笠原弘子/ロミオの青い空)」「太陽がまた輝くとき (高橋ひろ/幽遊白書)」「スカイレストラン (ハイ・ファイ・セット)」など。