『Legend of Grimrock』レビュー - 初プレイ所感

2019/06/06 2012/04/12

私はこのゲームの元になった Dungeon Master というゲームをプレイした事が無い。どんな感じのゲームなのだろうと楽しみにしていた。プレイしてみるとこのゲームは何よりも臨場感が良い。ダンジョンを実際に自分で潜っているかのようだ。たいまつのライティングが美しい。

臨場感と戦闘

私が臨場感を感じたところは、まずはリアルタイムにゲームが進行しているので、もちろん敵もリアルタイムに動くということ。それによって戦闘では多少忙しいのだけど、独特の緊張感がある。不思議なダンジョンシリーズをリアルタイムでプレイしているかのような感じだ。戦闘方法は右下に表示される味方の武器をクリックするという方式を採っている。このシステムは、プレイヤーによるラグ(ある種のもどかしさ) を発生させようとしたものである。

右下の小さな枠の内部にある武器をクリックするのは少し繊細なカーソルの動きが必要だ。戦闘時の攻撃方法は、例えば数字の「1」を押すことで攻撃、という手法も採れただろう。しかしそれをしなかった。ボタン1つで攻撃出来てしまうとプレイヤーの攻撃動作が速すぎると考えたのだと思う。そこで本物の戦闘の臨場感を出すために、カーソルを目標物まで移動させるというプレイヤーのラグをわざと作り出したと思われる。

このシステムはたぶん賛否両論になる。ラグを生み出すデザインはやりたいことは分かるのだけど、いちいちクリックするのが面倒という人が多いように思える。(もしラグの発生など考えずに iPad などのタブレットへの進出を狙ってこのデザインにしていたら残念だけど。) PC ゲームに慣れている人はやはりキーボードのボタン1つで素早く攻撃出来ると嬉しいと思う。

それにこのデザインでは魔法を唱えるのに時間がかかる。魔法を使うには武器をクリックしてから、9つの中から印を選択する。印の組み合わせによって魔法が変わるというシステムで、忙しい戦闘時にこれをやっている時間はほぼ無い。敵がたまに立ち止まってくれるのでその隙に印を結ぶしか無い。これは敵からハンデを貰っているようで気持ちが悪かったりする。

私は武器での攻撃方法はこれでも良いと思うのだけど魔法はちょっと辛い。小さな印をクリックしていくのは少し辛いのと、印の組み合わせを覚えていないといけないという何とも怠けた理由からである。

少し話がそれてしまったけれども、戦闘は臨場感と緊張感がある。囲まれるとすぐに死んでしまうので、基本的には1対1で戦うようにデザインされているのだと思う。1対1だと攻撃して後ろに下がって、また攻撃して下がって…、という戦法を使える。敵の数が多くなると逃げる道がかなり少なくなるのでこの戦法は難しくなる。でも基本的には敵が多くても私はこんな戦法で戦っている。

Rogue のキャラクターは敵の後ろに回り込んで攻撃すると Backstab 攻撃を出来たりする。敵もこちらに向かって動くので敵の背後を取るのは難しいのだけど、回り込んで攻撃するという概念そのものが面白い。「ドラゴンクエスト」ではあり得ない攻撃方法。リアルタイムだからこそ出来る攻撃方法である。

また、視野が狭いというデザインも臨場感を生み出している。視野が狭いので一方向に集中しているような気分になる。ただこのタイプのビジュアルのゲームの中では視野は広い方では無いかと思う。少し横の道が見えたりする。

そして、余計な BGM が無いことも私としては好印象。開発者の手抜きとも思われるかも知れないけれども、ダンジョンに潜っている時には BGM は一切無い。環境音と敵の足音だけが聞こえる。BGM が流れるとどうしても「ゲーム」をプレイしている気分になってしまう。しかし BGM が無いことで「ゲームをプレイしている」という感覚が少し薄れる。より「ゲーム」に没頭させられ、「ゲーム」だということを忘れさせてくれる。

パズル

ゲーム内のパズル要素については少し難しめだと感じた。最初はヒントがあるので良いのだけど、徐々にヒントが少なくなり、または難解になり、何をしたら良いのかすぐには分からない。私は現在 3F あたりまでプレイしたのだけど、3F で少し考え込んでしまった場面があった。強制的にワープさせられてしまうという場面。「バグか?」と思うほど。しかし解法はしっかりあった。柔軟に考えなくてはならない。

こんな事を書きながら、実は私は最初のパズルでつまずいていたりする。

クリックすると「Loose rock」と表示が出る。

このゲームがどういうシステムなのか良く分かっていなかったので、上の画像の壁を見て「Loose rock」という表示が出た時、この壁のどこかのブロックを押すのだろうと思ってしまった。色々とクリックをしてみたり、武器で攻撃してみたりした。「Amnesia」というゲームの同じ場面とは違っていた。

1分ほど悩んだ末、「Loose rock」という表示は壁に書かれた文字を分かり易く翻訳してくれていただけだと気付き、やっとパズルを解けた。プレイを開始したばかりでこのゲームのシステムが全く分からなかったので、まさか翻訳してくれているとは思いもよらなかった。「Loose rock」はキャラクターの思考かと思ってしまったのが敗因だった。

なお、このゲームは少し現実的な面があり、たいまつはずっと燃え続けてはくれず、炎が小さくなっていく。そして満腹度のシステムもある。その為、パズルにずっと悩んでいることは出来ない。お腹がすいていってしまうし、たいまつも無くなっていく。パズルを解くのに時間がかかるとダンジョンを攻略する上で不利になっていく。なのでパズルを解く時に「早く解かなくては!」と焦りを感じてしまう。その上少し難しめのパズルなので余計焦らせられる。

ちょっと不満なところ

このゲームはシステムが少し説明不足だったりする。「プレイヤーに自ら考えさせるようにしてある」とは言えるのだけど、ゲームのシステムはやはりもう少し説明して欲しい。魔法の使い方が最初は分からなかったり、満腹度が全く説明されていない。マニュアルを読んだらほんの少し書いてはあったのだけど、実は私がマニュアルを読んだのは「重量と満腹度の関係はあるのか」という疑問からだった。

これはマニュアルには書かれていない。また、「両手に武器を持つ利点はあるのか」も疑問。利点はあるのだろうか。私は両手に武器を持ったら両手で攻撃してくれるのではないかと思っていたのだけど、どうやら違うらしい。

また、落ちているアイテムが少し見辛い。画面上の落ちているアイテムをカーソルで選択できる範囲は画面の下半分だと決まっているので、そのシステムから落ちているアイテムは画面の下半分に表示される。なので画面の下半分に常に注目するような少し窮屈な観点でダンジョンを見なくてはならない。

奥にアイテムが2つ落ちている。

アイテムが見辛く分かりにくいのは、まあリアルと言えばリアルだろう。このゲームはサバイバルゲームに近いので、必要なアイテムをめざとく見つけるというのはゲーム性の一部である。でも目は疲れる。

あと、必要なアイテムなのか、不必要なアイテムなのか分かりにくいものがある。

例えば上の画像右に表示されている Scroll は実は一回読めば要らないアイテムなのだけど、私は少し経たないと気付けなかった。Scroll と言えば呪文に使うのだろうという先入観があったので、本来の意味の「巻物とかメモ」といったようなものだとは思わなかった。何かおかしさは最初から感じていたのだけど、もしかしたら良い呪文なのかも知れないので使えないでいた。

Scroll はまあ1度気付けばそこまで気にはならない。自分で要るか要らないかを判断できる。しかし、Skull とか Goblet とかはどうしたら良いのだろう。何かに使うとも思えないのだけど。でもやはり特別なアイテムなので何かあるのだろう。捨てられない日々が続きそう。

このゲームはアイテムを持てる重量と数がある程度決まっているので、要らないアイテムは出来るだけ置いていきたい。必要かどうか分かりにくいのは「こういうデザインだ」と言われればそうなのかと答えるしか無いのだけど、ここは少し不親切な感はある。Skyrim などで大量のアイテムを拾ったのは良いが、最初はそれらが必要なアイテムなのかどうか分からない状態に似ている。

全体的には

全体的にはかなり面白いと感じる。少しの不満はゲームの楽しさの後ろに隠れてしまう。今までにプレイしたことの無いゲーム性なのも楽しさに大きく影響していると思う。このようなビジュアルのゲームは幾つかプレイした事があるのだけど、Legend of Grimrock はダンジョンをサバイバル風に脱出するというような独特な雰囲気がある。敵が無限に湧いてこないのでレベル上げがメインという訳では無いし、食べ物も必要なのであまり長く同じフロアにもいられない。

このゲームは Dungeon Master を元にしているので玄人向けの難しいゲームかと思う人もいるかもしれないけれど、そんなことは無い。私が身を以て体験した。ただパズルは難しめ。セーブはいつでも出来るのでパズルが全く分からなかったらセーブをしてから考えた方が良いような気もする。パズルで悩んで食糧が尽きた、たいまつが尽きたということはさすがに避けたい。

なお、このゲームは良くあるダンジョン構造がランダムで生成されるというゲームでは無い。構造は固定。なので1度クリアしてしまうとリプレイ要素は薄いように思える。キャラクターは自分で作成できるのでキャラクターの育成の多様性はあるのだけど、ダンジョンのパズルなどは一緒。今後 DLC でダンジョンが追加されたり、ユーザーが作ったダンジョンなどがプレイできるようになるらしいので、ゲームはある程度長く楽しめると思う。ただ同じダンジョンのリプレイ性について少し疑問はある。

でもこれだけ安くてこんなにも没頭できるゲームだということは素直に嬉しい。Dungeon Master というゲームをプレイした事が無い人の方がこのゲームをより楽しめると思う。珍しいゲーム性なので、やはり未体験の人の方が「分からないから楽しい」を体験できるはず。ただ Dungeon Master をプレイした事のある人から見てこのゲームはどうなのかは興味がある。決してこのゲームがつまらないということは無いと思う。あのゲームの発売から結構時間が経っているので、もしかしたらあのゲームはほとんど忘れてしまっていて、Legend of Grimrock を新しい気分で楽しめていたりするのかも知れない。

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About

Nomeu

ほとんどのジャンルのゲームが好きです。特に好きなのはRPG。「Xenogears」「クロノトリガー」「ペルソナ3、4」とか。ドラクエは「V」。主人公が「勇者」ではないところが好き。ビジュアルノベルは「STEINS;GATE」「Ever 17」「AIR」が好き。

どこぞの作曲コンクール最優秀賞受賞。好きなゲーム音楽は「愛のテーマ (FF)」「Heartful Cry (ペルソナ)」「夢の卵の孵るところ (Xenogears)」「凍土高原 (Kanon)」「夜の底にて (クロノトリガー)」「Theme of Laura (Silent Hill 2)」「Scarlet (みずいろ)」「bite on the bullet (I've)」など。たくさんありすぎてスペースが足りません。

ゲーム音楽以外だと「Ballet Mecanique (坂本龍一)」「月光 第3楽章 (L.v.Beethoven)」「水のない晴れた海へ (Garnet Crow)」「Angelina (Tommy Emmanuel)」「空へ… ライブ版 (笠原弘子/ロミオの青い空)」「太陽がまた輝くとき (高橋ひろ/幽遊白書)」「スカイレストラン (ハイ・ファイ・セット)」など。

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