『Alan Wake』レビュー - 本編をクリアしたけれど、分からない事がたくさん
ストーリーが面白いらしい Alan Wake をプレイ。日本語字幕かつ音声でプレイするゲームは久しぶり。
プレイを開始してまずはゲームが重いことに気付く。最高設定だと私の PC ではとても快適なプレイ環境とは言えない。また、このゲームは全体的にまぶしい。あらゆる光が目に突き刺さる。それに画面上の霧の揺らめきで画面が見難く、さらに変にぼやけているので映像酔いしてしまった。
霧で画面がゆらゆら。
グラフィックスの設定で SSAO を切ったりして、出来るだけ画面をくっきりさせると共に動作を軽くした。FoV も広くし、これで何とかプレイできそうだ。
戦闘は敵にライトで光を当て、闇の衣を吹き飛ばしてから銃で攻撃という手順を取る。
ライトを敵に当てる。
私は Alan Wake にあまり戦闘の楽しさを期待はしていなかったのだけど、予想よりも Shooter らしいデザインになっていた。このゲームには FPS ゲームなどに良くある照準の表示が無く、ライトを当てた場所が照準の代わりになっている。このデザインはよりプレイヤーをゲームの世界に没頭させるためのものだろう。よく考えたなと感心した。
しかし、ストーリーを楽しみたいのに戦闘が挟まれてテンポが悪くなっている。ストーリーを追っていきたい人ほど戦闘には興味が湧かないだろう。シューティングゲームとしての面白さはない。単に敵を倒すのは作業に近い。
ストーリー
ストーリーについては、Alan Wake という小説家に起こった不思議体験。ホラーを基調にしているので興味を惹かれる。ストーリーは過去や現在などへ時間軸の位置が何度も前後して語られる。
ここで序盤のストーリーを説明しておく。ネタバレが含まれるので注意。
Alan Wake が宿泊予定のキャビンの鍵を借りに行く時に、突然暗い不思議な老女が現れ、Alan が本来受け取るはずだった鍵とは別の鍵を渡されて Alan はそれを受け取ってしまう。ここが不思議な出来事の始まり。このシーンは印象的に映る。Alan は意図的に何かに巻き込まれたのだろうか。
キャビンに辿り着いた後に Alan と一緒に来た妻の身に何かが起こり、妻の元に駆けつけた Alan の身にも何かが起こった。気が付くと Alan はどこかにぶつけてへこんだ車に乗っていた。森の中にいるようだ。ここからとりあえずガソリンスタンドに行って電話を掛けようと森を歩いて抜けようとするのだけど、その途中にあるラジオで街の様子を少し確かめられるようになっているのが面白い。
ラジオで聴けるのはキャビンに行く前に出会った人達が登場するラジオ番組で、Alan 以外の人達の状況がどうなっているのかをラジオから少しだけ知る事ができる。Alan は不思議な影みたいな敵に襲われる一方で、それとは対照的にラジオの中からは平和な声が聞こえる。このゲームはまずは「何がどうなっているんだ」とプレイヤーに知りたい欲求を与えるようにしているようだ。これに私も嵌められてしまった。
Alan に襲いかかってくる影のような敵の存在などは、どうやら Alan が書いた小説に登場するとほのめかされる。ゲーム中で Alan が自分で書いた小説のページを見つけていく。しかし Alan はこの小説を書いた記憶が無い。「一体どうなってるのだろう?」。Alan は自分自身で書いた小説に入り込んでしまったのだろうか。
Chapter 1 の最後では、ガソリンスタンドに辿り着いた Alan は、日付を見てキャビンに行った日から1週間経っていることに気付く。さらに「妻を助けるために小説を書くんだ」と話す自分自身の映っている映像をテレビ画面で眺める。どうやら何かおかしい。とりあえずガソリンスタンドから電話を掛けると保安官が Alan の元に駆けつけ、一安心。しかし、何故かうまく話がかみ合わない。自分と妻が行ったキャビンが実はもう存在していないとその場所へ行って確認する。訳が分からない世界に入り込んでしまった。
Alan Wake のストーリーのつかみは面白い。
序盤のつかみは面白かったけど、本編をクリアしてみるとストーリー自体にはほぼ感動は無いし、感心したところも無かった。説明不足なのか分からない事が結構ある。
ストーリー自体はあまり面白くない。サスペンス調のストーリーでありつつも、細かく練られた、それぞれの事柄が互いにリンクし合うというような事はほぼ無い。
何故こうなるのかという理由説明も、かなり空想的な、超常現象的なものを与えられる。「あれとあれが繋がってこうなるのか、なるほど!」というカタルシスは全く得られなかった。「妻が生きていると確信したのは何となく感じたから」「…そうか」で終わってしまう。
また、このゲームは「原稿に書いたことが現実になる」という設定の元のストーリーなのだけど、それがプロットにうまく組み込まれることはほぼ無い。その上、Alan が自分で書いた原稿通りに Alan が行動しているというプロットなので、ストーリーや設定に整合性がとれないところがあっても「Alan が自分に都合の良いように書いた」と説明されれば全てに頷くしか無い。
分からない事
ゲーム中、上の画像の様に突然本来有るはずが無いものが現れたという状況になったことが何度かある。ついさっき墜落したヘリが何十年も経ったような状況になったこともあった。これは説明されていないはず。何故こういう状況になったのだろう。何かもの凄く大きな伏線のように語られたのだけど、特に何も無かった。
アンダーソン兄弟は以前に「魔女」に操られていたのだろうか。闇の存在が目を覚ましたのは Alan がこの地に来たからと投稿に書いてあった。闇の存在はロックスターには「揺り動かされた」だけ。しかし操られていたとしたら、どうして開放されたのだろう。またアンダーソン兄弟は認知症だとハートマンは言っているが、ハートマンはアーティストを利用しているのだから薬は使っているだろう。本当に認知症なのか。
シンシアが光のものにしか見えないように書いたという文字に「I curse you Thomas Zane」とある。整合性がとれない。また、「Did you write this?」というメッセージもあった。どうして質問したのだろう?
FBI 捜査官に関する話が無かった。彼に関することは伏線だろうと思っていたのだけど、ほぼ一瞬で彼のターンは終わってしまった。ずっと Alan のターン。
「エピソードは物語の流れに沿っていなければならない」という良く分からないルールはどこから来たのだろう。また、バーバラに原稿を監修されているならゼインを登場させられない気がする。ゼインが登場できたのは物語の流れに沿っていたからなので、突然ストーリーの最後だけにゼインを書いたという事は無いだろう。となるとゼインの登場はバーバラが許したと言うことになる。
細かく見ると「ハートマンはどうして闇の存在を知っているのか」とか「ゼインが生きていた頃の事をみんな忘れているのはどうしてか」とかも不思議だったりする。
今のところは本編のエンディングでしっかりストーリーが終わっていないので、特別編をクリアしてからもう一度ストーリーを考えてみよう。
特別編のレビューはこちらに続く。