Steam: 今後はゲームの内容で販売規制をしないことを決定

2018/06/07

Valve は最近の Steam Store の出来事に関して、ゲームが Steam Store に適しているかどうかの判断を止めることを決めました。

Steam は最近アダルトコンテンツを含むビジュアルノベルを削除しようとしたり、Active Shooter というゲームをトロールだと決めて削除したりしました。これは議論を呼び、Steam は Valve 内部でも議論をしたようです。

Valve 内部でも意見が分かる問題で、Valve は考えた結果、Steam というプラットフォームの立ち上げの時の方針に戻り、「Valve が決定すべきでない」と結論づけました。Valve の Erik Johnson が Steam Blog にて報告しています。

Steam Blog :: Who Gets To Be On The Steam Store?

So we ended up going back to one of the principles in the forefront of our minds when we started Steam, and more recently as we worked on Steam Direct to open up the Store to many more developers: Valve shouldn't be the ones deciding this. If you're a player, we shouldn't be choosing for you what content you can or can't buy. If you're a developer, we shouldn't be choosing what content you're allowed to create. Those choices should be yours to make. Our role should be to provide systems and tools to support your efforts to make these choices for yourself, and to help you do it in a way that makes you feel comfortable.

Steam は単にゲームを提供するプラットフォームで、何をプレイするか、何を作るか、何を販売するかは、プレイヤーやデベロッパー次第。違法性のあるものやトロールを除き、今後はこの方針で運営していくようです。

これまで Valve が主観的に規制してきた類いのゲームは今後 Steam で販売できることになります。そのため、ユーザーにはゲームをフィルターできるツールを提供する予定で、ユーザーは自分が嫌いなゲームを自分自身でフィルタリングすることになります。

どう考えてもこちらの方が健全です。Valve は何が Steam に適しているかどうかの明確なガイドラインを示さずに一方的に削除を行ってきました。Valve はパターナル過ぎました。

このフィルタリングツールが提供されるまでは、Steam はこれまでのポリシーで運営されます。ツールを提供してから Steam が少し変わっていくでしょうから、どうなるか楽しみです。果たしてどっちに転ぶでしょうか。暴力やレイシズムなど議論を醸し出すゲームが増えるか、ユーザーがプレイしたいゲームが増えて幸福度が増えるのか。

Valve は怖いことも書いています。

To be explicit about that - if we allow your game onto the Store, it does not mean we approve or agree with anything you're trying to say with it. If you're a developer of offensive games, this isn't us siding with you against all the people you're offending. There will be people throughout the Steam community who hate your games, and hope you fail to find an audience, and there will be people here at Valve who feel exactly the same way. However, offending someone shouldn't take away your game's voice. We believe you should be able to express yourself like everyone else, and to find others who want to play your game. But that's it.

「あなたのゲームが Steam Store で販売されているからと言って、Valve があなたのゲームに賛同していると思うな」「Steam コミュニティにはあなたのゲームを憎み、支持を得るのを失敗して欲しいと期待する人もいる。そういう人が Valve にもいる」。

"Anime Game"(ビジュアルノベルなどのアニメ的なゲームをこう呼んでいるようです)を大嫌いな人が Valve にいるようですね…。

つまり、Valve は Steam で販売されるゲームについて責任を負わないということです。しかしながら、開発者はゲームにどのようなコンテンツが含まれているか Valve に申告する必要があり、誠実に対応しないとゲームを削除するようです。これは購入者側にとっても利益があることで、おそらくユーザーは開発者が申告した内容のタグを元にフィルターを行うのでしょう。

Steam Blog では語られていませんが、アダルトゲームの扱いは今後どうなるのでしょう。アダルトコンテンツを追加するパッチはもう必要なくなるのでしょうか。アダルトゲームのアダルトコンテンツはこれまでわざわざ Steam のガイドラインに合わせて分離され、外部で公開されていました。もしアダルトゲームもOKなら、エロゲーがたくさん販売される日本としては、今よりも多くのエロゲー会社が Steam への参入を考えるかもしれません。

Steam がユーザーが何を買うべきか判断するのを止めるということは、もしかしたらレコメンド機能である「ディスカバリー」も止めるのかとも思いましたがどうなるのでしょう。「Valve ではなくユーザーの興味に基づいているから」という理由でレコメンド機能はそのままかもしれません。Steam にあるゲームが増えすぎた今、レコメンド機能がないと Valve だけでなくユーザーも不利益があります。レコメンドにお金が絡んでいなければ良いのですが…。

プラス面とマイナス面があると思いますが、Steam がどう変わっていくのか楽しみです。ただ、Valve が Steam Store を監督しないで販売手数料だけ取ることにより、Facebook のような混沌とした状況になることを懸念している人もいます。もしヘイトや Fake Fact に基づくゲームだらけになった場合、違法性やトロールと判断されなければ削除されません。実のところ、その判断基準は示されていません。

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About

Nomeu

ほとんどのジャンルのゲームが好きです。特に好きなのはRPG。「Xenogears」「クロノトリガー」「ペルソナ3、4」とか。ドラクエは「V」。主人公が「勇者」ではないところが好き。ビジュアルノベルは「STEINS;GATE」「Ever 17」「AIR」が好き。

どこぞの作曲コンクール最優秀賞受賞。好きなゲーム音楽は「愛のテーマ (FF)」「Heartful Cry (ペルソナ)」「夢の卵の孵るところ (Xenogears)」「凍土高原 (Kanon)」「夜の底にて (クロノトリガー)」「Theme of Laura (Silent Hill 2)」「Scarlet (みずいろ)」「bite on the bullet (I've)」など。たくさんありすぎてスペースが足りません。

ゲーム音楽以外だと「Ballet Mecanique (坂本龍一)」「月光 第3楽章 (L.v.Beethoven)」「水のない晴れた海へ (Garnet Crow)」「Angelina (Tommy Emmanuel)」「空へ… ライブ版 (笠原弘子/ロミオの青い空)」「太陽がまた輝くとき (高橋ひろ/幽遊白書)」「スカイレストラン (ハイ・ファイ・セット)」など。