Steam の「Hatred」のフォーラムを見ていると、「Hatred」の支持者が多くて驚きます。むしろ反対者があまりコメントしていません。そのため、両者の(意味のある)議論を見ることがほとんどできません。

目に付いた支持者のコメントで、過激なものを見てみましょう。

SJW を殺したい

SJW As Targets In Game Please!

Please make some of the people who are killable SJWs.

「SJW」とは「Social Justice Warrior」の略です。

Social justice - Wikipedia, the free encyclopedia

The term "social justice warrior" has been used to describe people who work for social justice issues, often "claiming a moral authority" and "questioning the motives and moral integrity of those they oppose"; people given as examples include Mahatma Gandhi and Reverend Martin Luther King, Jr.[43] In internet culture, the term has been used as a pejorative for someone advocating for social justice issues such as racism, sexism, or homophobia. Frequently initialized as "SJW", it is used to accuse ideological opponents of sanctimony,[44] to insinuate pretense,[45][46] and as a general purpose negative.[47][48][49] Although most commonly used to cast negative implications, some have reappropriated the term as a neutral or positive source of identity.[50][51]

つまり「Social Justice Warrior」は本来、マハトマ・ガンディー、マーティン・ルーサー・キング Jr などの社会的な正義・公正を実現しようとする人のこと。しかしその意味ではなく、インターネットではそういうことを理想とする人を軽蔑して呼ぶ時の言葉のようです。

Steam Forum にはこの言葉がたくさん出てきます。

[追記]

頂いたコメントによると、SJW は「ラディカル・フェミニスト」を指す言葉のようです。本来の意味とはあまり関係ないようです。

赤ん坊・子供を殺したい

Killing Children

Since this game is obviously going for pure shock value and controversy, I think the developers might as well go all the way and give the main character the ability to kill children and perhaps even babies. Now THAT would shock people and, as we all know, more controversy = more publicity = more money.

So, Hatred developers: want maximum controversy? Then you need to include child-killing in the game.

Please add babies and children

Even if it were a DLC, like babypocalypse, it would still be cool.

1つめのコメントは逆の意味も含まれているように思いますが、幼児・子供もゲームに登場させ殺したいらしいです。

基本的にゲームでは倫理的な理由から子供を殺すシステムをカット・ブロックしてあります。その箍(たが)を外したいという訳です。

人権活動家、Gamergaters、Nazis を殺したい

Let us kill mens rights activists, gamersgaters, and nazis

物議を醸している Gamergate 問題で攻撃の対象となっている人を殺したいというわけです。Nazis という単語が出てきたのは、CEO が neo-Nazi に関わっているかもしれないという話が出てきたことによります。「Nazis を殺したい」とすることにより、その話を振り払えます。

mens rights activists はおそらく、"human rights activists" のことだと思いますが、意識的に Human を使わずに mens としたのでしょうか。

煽り合い

大抵のコメントは感情的で、支持者も反対者もコメントが幼稚です。低レベルな煽り合いです。今は「Hatred」が Greenlight に復帰したので支持者が増長しており「やった!反対者は泣き叫び続けろ」というコメントがちらほら。反対者が何か言うとほとんどそういった言葉や「SJW を見つけたぞ!」などというコメントしか返ってきません。

それ以上に、「SJW を見つけた。お前の本当の名前は○○だ」などと脅迫とも取れる発言もあります。これは Gamergate 問題での事件と似ています。攻撃対象とされた人は脅迫されたりしています。明らかに行き過ぎています。

良かったコメント

そんな中、私が見たコメントの中で良かったのはこちら。支持者のコメントです。

http://steamcommunity.com/workshop/filedetails/discussion/356532461/619573787589359883/#c619574421190451757

I think there is room for all types of games. Prove that games can cause mental illness in a proper study and we'll have to take another look at this topic. Until then, people should be able to enjoy a game that is sad an depressing like That Dragon Cancer or walk around a house with no actual gameplay like in Gone Home or go on a murderous rampage in Hatred.

Please consider that nobody wants others to be able to dictate how we entertain ourselves. We should all care that as long as nobody is being hurt we should have virtual freedom. It can feel good to gloat but it's not productive. Artistic freedom is essential to a well functioning society and should be protected.

アメリカン的なコメントだと思いますが、彼はひたすら自由を求めています。「楽しみ方を他人に指図されたくない。仮想現実の中では私の好きなように振る舞わせて欲しい」。この意見は力強いです。

このゲームを危ないものだと決める場合、ゲームのプレイが現実への行動に影響するかどうかを確定しなくてはならない。これは確かにそうです。私がこのゲームが危ないと思うのも、現実への影響を考えてのことです。「このゲームを止めた方が良い」という意見を押しつける場合は、その前提が必要となります。個人の自由は重要です。

ただし、「現実へ影響するかどうか分からないから」、今のうちに「やる」のではなく、「やめる」という選択もあると思います。…原子力発電所の話をしているみたいです。

そんなに人を殺したいの?

私がショックなのはゲームの中だとしても人を殺したいという欲求がこんなにもあったということ。コメントの幼稚さを見る限り成人ではないと思いたいところです。しかし日本人の穏やかな気質とは違い、アメリカやヨーロッパ圏の人々には日本人よりも好戦的な気質があるのは確かだと思います。

また、ドラマや映画で見る限り、イギリスやアメリカでは反社会的な行動や、既存のルールからの逸脱を格好いいとするような傾向はあると思います。「Hatred」へのコメントを見ていると、この二つのことを強く感じます。悪く言えば中学生的で、自己中心的な部分があります。良く言えば、自己中心的なのは自由を求めているとも受け取れます。

ただし、自由について書いているコメントはほとんどありません。プレイしたいから勝手に規制するなという感情が先行しています。ここから多くのコメントの説得力のなさが露呈しています。反対者も感情的に「削除しろ」としか言いません。同レベルです。

人を「殺したい」という欲求が私はゲームの中でもないので、コメントで溢れる「人を殺したい」欲求についてはよく分かりません。敵を「倒したい」なら分かりますが…。

ゲームの Trailer を見る限り、「Hatred」は普通のゲームと違い、人を殺す際に生々しさがあります。それに無抵抗な人を殺すこともあります。ゲームの目的としては大量虐殺を目指しているので当然といえばそうです。私はスナッフビデオ(殺人を収めたのビデオ)を見るような怖さを感じます。

注意: 成人以上でないと見てはなりません。

私はゲームが心に少しは影響すると思っています。今回のゲームは三人称視点なのでまだ大丈夫だと思いますが、これが一人称視点のゲームだとしたらどうでしょう。さらに Oculus Rift などと組み合わせたらどうなるでしょう。殺しのシミュレーションができてしまうような気がします。現実とゲームの境界は技術の進化によって狭まっています。

私はゲームが好きなのでゲーム全体を擁護したいのですが、ゲームが与えるマイナス影響は怖く、慎重にならないといけないと考えています。「ゲームなんて所詮仮想のものだ」と言い切れる人は良いのですが、そう言い切れない人が多いのではないでしょうか。映画に影響されるように、ゲームに影響されてもおかしくありません。自分を完全に自分で制御できると考えている人はいないと思いますが…。

私が良く理解できないのは、SJW は社会的な公正を目指しているわけで、これのどこが悪いのか理解できません。彼らを責めることによって自分たちの首を絞めているような気がしますが、何か他の理由があるのでしょうか。Gamergate と併せて、「ゲーム界に女性が入ってくるな」という感情的なものが先行しているように感じます。男尊女卑はまだなくなっていません。

[追記] 上の箇所に対して、SJW や Gamergate についてコメントを頂きましたのでそちらをご覧ください。

これだけ論争を巻き起こしている「Hatred」はゲーム史に名を刻むかもしれません。

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About

Nomeu

ほとんどのジャンルのゲームが好きです。特に好きなのはRPG。「Xenogears」「クロノトリガー」「ペルソナ3、4」とか。ドラクエは「V」。主人公が「勇者」ではないところが好き。ビジュアルノベルは「STEINS;GATE」「Ever 17」「AIR」が好き。

どこぞの作曲コンクール最優秀賞受賞。好きなゲーム音楽は「愛のテーマ (FF)」「Heartful Cry (ペルソナ)」「夢の卵の孵るところ (Xenogears)」「凍土高原 (Kanon)」「夜の底にて (クロノトリガー)」「Theme of Laura (Silent Hill 2)」「Scarlet (みずいろ)」「bite on the bullet (I've)」など。たくさんありすぎてスペースが足りません。

ゲーム音楽以外だと「Ballet Mecanique (坂本龍一)」「月光 第3楽章 (L.v.Beethoven)」「水のない晴れた海へ (Garnet Crow)」「Angelina (Tommy Emmanuel)」「空へ… ライブ版 (笠原弘子/ロミオの青い空)」「太陽がまた輝くとき (高橋ひろ/幽遊白書)」「スカイレストラン (ハイ・ファイ・セット)」など。

Twitterのアカウントはありますがうまく扱えていません。Twitterでご連絡の際はDMだとメールが来て気付けます。