全然知らなかったのですが、「サントリー天然水」の WEB CM「Time in the Water 篇」でクロノ・トリガーの楽曲が使われていて、公開後にゲーム音楽好きに少し話題になったようです。
サントリー天然水 @suntory_tennen
https://x.com/suntory_tennen/status/1858404777597587633新CM「Time in the Water」
ひとが大人になるまでの20年と、
天然水ができるまでの約20年を重ね合わせ、
水中を舞台にタイムトラベルします。#森田ひかる #クロノトリガー
#ウォーターポジティブ(2024年11月18日)
正直なところ、クロノ・トリガーよりも櫻坂(さくらざか)46の女性が有名で話題になったような気もします。コメントを見るとクロノ・トリガーへの言及がかなり少ない。
使われている曲がクロノ・トリガーの曲だと気付いた人は結構少ないかもしれません。クロノ・トリガーは今となっては古いゲームですし、若いゲーマーにはこの手のJRPGは刺激が足りないでしょう。
ちなみに曲名は「やすらぎの日々」。クロノ・トリガーのゲーム序盤すぐに流れる曲で、最初の町付近のBGMです。
光田康典氏のこの曲の作成意図が「サントリー天然水」でのインタービューで読むことができます。画像なので私がテキストにしておきます。
サントリー天然水 @suntory_tennen
https://x.com/suntory_tennen/status/1858405232361066857――クロノ・トリガー「やすらぎの日々」に込められた思いを教えてください。
”朝日が昇り、窓辺から柔らかな光が差し込む。
クロノはゆっくりと目を覚まし、変わらぬ一日が始まると信じていた。
時空を超え、再びこの故郷へ帰郷したとき、
やすらかだったあの頃の日々を想い出す”
そんなシーンを想像しながら書いた曲です。
光田康典氏といえば、2019年に「クロノ・クロス」20周年記念ライブを行って話題になりました。
CMの「やすらぎの日々」は原曲(ゲーム中のBGM)からアレンジされていて、メロディーのリズムがちょっと変わっています。本来の「やすらぎの日々」は細かなリズムがあまりない、拍に合ったメロディーリズムです。
クロノ・トリガーの曲が好きな人はたぶんピアノの楽譜を持っているかと思います。それを見ても分かります。私も持っています。
個人的には今回のアレンジは、カラオケで何度も同じ曲を歌っている人が少しメロディーを崩したくなった感じだなと思いました。少し発音のタイミングが早いパターン。
曲のアレンジというのは結構大変で、既存のメロディーはあまり崩したくないものです。アレンジでメロディーを崩しすぎると「原曲の方が良いなぁ」となってしまう可能性がある。原曲が分からなくなってしまう可能性も。
とは言っても、メロディーを崩さないなら、○○風(ダンス風、ボサノバ風など)みたいな曲のジャンルを変えるだけのアレンジになってしまう。これもあまり面白くない。考えてみるとアレンジは難しいのです。
原曲に近い演奏 + アレンジの演奏動画を載せておきます。
この方達は原曲をほとんど崩さずにブリッジ的にメロディーを追加する形のアレンジです。この形式は安定しますね。
クロノ・トリガーの曲で一番有名なものはたぶん「時の回廊」という曲です。これが一番印象に残る曲でしょう。
それにしても「やすらぎの日々」を覚えている人はどのくらいいるのでしょうか。「風の憧憬」の方が印象深いですね。
皆が共通で知っているゲーム曲って何だろう?
クロノ・トリガーの曲はゲームのBGM界の中ではかなり有名だと思います。クロノ・クロスの方は海外では「時の傷痕」が特に有名です。
日本でよく知られているゲーム曲を考えてみると、おそらくドラゴンクエストの「序曲」とファイナル・ファンタジーの「プレリュード」でしょう。
ドラゴンクエスト「序曲」の方ですが、ここに載せられる動画は何かないかとYouTubeを調べてみたら下の2つの動画を見つけました。
これが面白いのはオーケストラの構成が全然違うことです。管楽器がメインになっているのと、弦楽器がメインになっているもの。ここまで違うとは面白い。どちらでも違和感はないですね。
ファイナル・ファンタジーは本当に有名ですね。もしかしたら今は FF X「ザナルカンドにて」が「プレリュード」よりも人気なのかもしれません。
というか「プレリュード」よりも「メインテーマ」の方が良い曲だと思うのですが…。あとFF7は「片翼の天使」が特に有名です。
ドラゴンクエストとファイナル・ファンタジーを除くと、皆が知っている有名な曲というのは難しい。
多くの人がプレイしているゲームの曲の方が認知度が高いでしょうから、「スーパーマリオ」「ポケット・モンスター」「ゼルダ」? でも新しいのは知らないし…。
私は「ペルソナ」のファンですのでBGMはかなり好きなのですが、一般の人にも認知されているかと考えるとちょっと難しい。
Metal Gear Solid の「Snake Eater」も人気の曲ですが、日本ではそんなに知られていないような気がします。
Valve の「Portal」の曲「Still Alive」も知名度が高い曲です。
映画「TAR」を観た人は「あのゲームかも」と思い浮かぶものがあるでしょう。「MONSTER HUNTER」ですね。
映画「TAR」は権力を持った女性によるハラスメントを描いた作品ですが、セクハラ・パワハラが問題になり音楽会を追われた主人公の女性指揮者は、最後に中国でゲーム音楽の指揮者となります。
そのゲーム音楽の公演はゲーム名がしっかり言及されませんが、観客の格好(コスプレ)からするとおそらく「MONSTER HUNTER」です。
数あるゲームの中から「MONSTER HUNTER」をゲーム音楽のコンサートの象徴として描いたわけです。
この映画の最後は、クラシック音楽のカリスマ指揮者がゲーム音楽の指揮に落ちぶれた、と見るのと、これからはゲーム音楽が流行っていく、のどちらとも読み取るように思います。
ともかく「MONSTER HUNTER」のBGMは結構人気で、日本でもオーケストラ・コンサートが行なわれています。
今は皆がプレイしているゲームとか、ニュースで取り上げられるほどのブームになったゲームというのがほぼないです。…もしかして「PUBG」?
ゲーム曲のコンサートの開催を以前よりも目にするようになりましたが、たぶん選曲には苦労していることでしょう。「やっぱりドラゴンクエストの曲がないと…」とか。知らないゲームの曲って聴いても楽しめない可能性が高いです。
私は「サイレント・ヒル 2」はプレイしていないのですが、「Theme of Laura」は聴いた途端に好きになりました。そういう事もありますが、一般的に人は知らない曲には冷たいものです。
だから今はゲーム名を冠したコンサートが多いですね。「ドラゴンクエスト」のコンサート、「MONSTER HUNTER」のコンサート、「アイドルマスター」のコンサートとか。そのゲームのファンなら全曲楽しめますから。
「サントリー天然水」のCMは知名度の高いクロノ・トリガーを選んだのはうまい判断だと思います。日本だけでなく世界的に人気の曲ですから、世界を意識してそれも考慮したのかもしれません。