David Jaffe の DICE 2012 での「ストーリー主導のゲームを作るのは時間と金の無駄だ」という発言について

2012/04/15 2012/02/10


David Jaffe の発言は Gamasutra(Gamasutra - News - DICE 2012: Putting story before gameplay 'a waste of time' says Jaffe) に載っている。ここではこのサイトから引用して書く。翻訳はたぶん少し怪しいところがあると思う。

Jaffe said that building a game that is primarily driven by story and narrative "is a bad idea, waste of resources, of time and money, and worst, I think that it has stuffed the progress of video games, to our own peril."

「ストーリーや物語内容によって主に動かされるゲームを作るのは悪い考えで、リソース、時間、お金の無駄だ」。この文だけだとストーリー主体のゲーム、特に RPG はダメなのか、となってしまう。私は Mass Effect を楽しんだがそのゲーム自体は無駄なのか。この主張には疑問が湧くかも知れないのだけど、ここはひとまずその疑問は置いておいた方が良い。記事の後の方で意味が分かる。なお、上の文章では実は後半に書かれていることが彼の主張で大事だったりする。「私はそれがビデオゲームの発展を危機的にしてると思う」。ただこれもこの時点ではまだ意味が分からないと思う。

He explained that he isn't talking about video games that implement player-authored stories, where the in-game interactivity "is so compelling and engaging that the player by the very nature of playing the game ... is the story." He put games like Bethesda Game Studios' The Elder Scrolls V: Skyrim in this category. Those games, he said, don't sacrifice gameplay for narrative.

「プレイヤーが主体となり、ゲームとの双方向性が保たれてプレイヤーがストーリーとなるゲームのことでは無い」らしい。Skyrim のようなゲームはそのカテゴリーに入り、ゲームプレイを物語のために犠牲にしていないらしい。

What he objects to are games "With the intent purpose of expressing a story... or giving the player the designer's narrative."

Such games, according to Jaffe, are limiting to gameplay. He used the opening of Rocksteady's recent Batman: Arkham City as an example.

He said at beginning of Arkham City, Batman's alter ego Bruce Wayne's hands are chained up, and taken to the city prison of Arkham City. Walking through the entrance of the facility, Wayne can only walk around, and look around. There's no combat, just walking and looking, until eventually he breaks his chains and is able to fight.

That part where Wayne could only walk, and look around for a few minutes, was done "in service of the story," argued Jaffe, and it sacrificed gameplay. "They lost sight of the gamer mentality of what [the gamer] brings to a game, and what they want out of a game, and let the story take over."

Batman: Arkham City の Walkthrough。この動画 5:30 あたりからのことを言っていると思われる。

彼が反対しているのは、ストーリーを表現したいという目的に専念しているゲーム、またはゲームデザイナーの物語をプレイヤーに与えているゲーム。そのようなゲームはゲームプレイを制限しているらしく、例には Batman: Arkham City を挙げた。このゲームではオープニングでプレイヤーは歩くだけしか出来ない時間があり、ここでゲームプレイがストーリーのために犠牲になっていると言っている。

Jaffe said some designers are on a path to try to make games "more" than games, and in effect, lose sight of focusing on the things games are really good at. He said games have been enjoyed by people for millennia, and that there's no real history of injecting story and emotion into games with really successful results.

Eventually the CD-ROM came around, which afforded game makers the ability to make games that were more like movies. "We were starting to see more cinematic trappings in our games," he said.

"I think we kind of found ourselves seduced by the language of film," Jaffe said, "...and we started to put the expectations of films on games ... we lost a lot of the fundamentals of what makes video games special."

He questioned game makers that say they have a powerful idea, story or philosophy to express. "If you've got something inside of you that's so powerful ... why the fuck ... would you choose the medium that has historically been the worst medium to express philosophy and story?" he asked.

ここが David Jaffe の一番言いたいことなんだろう。要約すると、「ゲーム以上のゲームを作ろうとしているデザイナーの中には、ゲームが本当に得意とするところに焦点を置くという視点を失っている人がいる。大容量のデータを扱えるようになったので映画のようなゲームを作れるようになったが、映画の罠に引っかかりだしてしまった。私たちは映画の言い回しに惑わされてしまったのだと思う。映画の可能性をゲームに入れ始め、ビデオゲームを特別にしているものの根本を多く失った。表現すべき力強い考え、ストーリー、哲学を持っているというゲームメーカーは、内に秘めたそんなに力強いものがあるのに、どうしてそれを表現するのに歴史的に最悪なゲームというメディアを選ぶのか疑問だ」。

この主張は分かり易い。ファイナルファンタジーはかつて「映画のようなムービーだ」として映像が評価されたが、それがシリーズを重ねる毎に次第に「映画のようなゲームだ」という表現にまでなってきてしまった。つまり、「ゲーム性を捨ててまで映像美を追求するならゲームで無くていいじゃん」という悪い評価になってしまった。(実際はゲーム性を捨てている訳では無く、色々とうまく行かなかったのだろう。) David Jaffe の言いたいことも、「ゲームでストーリーの表現を追求するなら、映画とか他のメディアで良いじゃん」、という事だろう。

ここまで来ると David Jaffe の最初の主張、「ストーリーや物語内容によって主に動かされるゲームを作るのは悪い考えで、リソース、時間、お金の無駄だ」が分かる。彼が言いたいのは、「ストーリーや哲学をゲームというメディアで表現したいという考えは良くない」という事だろう。「ゲームはゲームなのだから、まずはゲーム性を大事にしよう」。そして最初に出てきた「私はそれがビデオゲームの発展を危機的にしてると思う」という言葉の意味も分かるだろう。「映画的な表現」または「ストーリーの表現」に囚われてしまい、ゲームの発展が危機的だ。

私には David Jaffe の主張が分からなくも無い。たとえどんなにストーリーが面白くても、ゲーム部分がつまらなかったらプレイする気力が続かない。そんな時、「このゲームのストーリーが本であったらなぁ」とはよく思う。あとゲームをしている時間が無い時にはゲームのストーリーだけ知りたいと思うことがある。そういうときもやはりゲームというメディアで無い方が情報を早く得られる。

私の理想としては、ゲーム部分も面白く、ストーリーも面白いゲームだったりする。欲張りすぎだろうか。Mass Effect 2 はその点なかなか良かった。Braid も両立させているのかも。またそういった楽しいゲームに出会いたい。





ほとんどのジャンルのゲームが好きです。特に好きなのはRPG。「Xenogears」「クロノトリガー」「ペルソナ3、4」とか。ドラクエは「V」。主人公が「勇者」ではないところが好き。ビジュアルノベルは「STEINS;GATE」「Ever 17」「AIR」が好き。

どこぞの作曲コンクール最優秀賞受賞。好きなゲーム音楽は「愛のテーマ (FF)」「Heartful Cry (ペルソナ)」「夢の卵の孵るところ (Xenogears)」「凍土高原 (Kanon)」「夜の底にて (クロノトリガー)」「Theme of Laura (Silent Hill 2)」「Scarlet (みずいろ)」「bite on the bullet (I've)」など。たくさんありすぎてスペースが足りません。

ゲーム音楽以外だと「Ballet Mecanique (坂本龍一)」「月光 第3楽章 (L.v.Beethoven)」「水のない晴れた海へ (Garnet Crow)」「Angelina (Tommy Emmanuel)」「空へ… ライブ版 (笠原弘子/ロミオの青い空)」「太陽がまた輝くとき (高橋ひろ/幽遊白書)」「スカイレストラン (ハイ・ファイ・セット)」など。