Wizardry の Wikipedia を読んでいたときに知った日本語バージョンの誤訳。ゲーム内に登場する「Blade Cusinart」という武器が「有名な鍛冶屋 Cusinart によって作られた伝説の剣」と説明されてしまったらしい。

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Series in Japan

When Wizardry was first introduced in Japan, it suffered from the culture barrier compounded by low-quality translation. This meant that the game was taken seriously by players who overlooked the in-game jokes and parodies. For example, Blade Cusinart was introduced in early games as "a legendary sword made by the famous blacksmith, Cusinart [sic]" but its meaning was misinterpreted because Cuisinart food processors were virtually unknown in Japan. However, this misconception appealed to early computer gamers who were looking for something different and made the Wizardry series popular. Conversely, the fourth game, The Return of Werdna, was poorly received, as, lacking the knowledge of subcultures necessary to solving the game, Japanese players had no chance of figuring out some puzzles.

The popularity of Wizardry in Japan also inspired several original console sequels, spinoffs, and ports.

日本語訳は翻訳の質が悪かったようで、文化の壁と相まってゲーム内のジョークとパロディーを判断できない状態だったようだ。例えば「Blade Cusinart」が「有名な鍛冶屋 Cusinart によって作られた伝説の剣」と説明されていたらしい。実際は「Cuisinart」は Conair Corporation が販売しているフードプロセッサーのブランド名で、当時の日本ではほとんど知られていなかったとのこと。

でもこれは難しい。テキストを渡された訳者が CuisinartCusinart の違いが本当にパロディーを意図しているのか分からないし、パロディだよと開発者から教えて貰えないとうまく訳せないと思う。結果的には確かに翻訳の質が悪くはあるのだけど、単に「翻訳の質が悪い」という言葉が当てはまるか怪しく、手を抜いているというよりもむしろ翻訳を頑張ってしまっているように思える。単に「Cusinart によって作られた剣」と訳せば、こちらの方が訳す労力が少なく正解に近い。

実際のものを見てみよう

ここで実際にこの「Cuisinart」というフードプロセッサーを見てみよう。

Cuisinart SmartPower Premier Duet Blender/Food Processor Model# CB-600FPPC4

うん、それで、この「Cuisinart」の「Blade」というのがこちら。

なるほど、「Balde」がジョークの中核なのだと分かる。ゲームで「Blade」というと「剣」を思い浮かべてしまうけれど、ここでは「刃(替え刃)」を意味している。「フードプロセッサーの (Cusinart の)」「Blade」と連なると、Blade の意味が「刃」に確定される。確かにうまいジョークだと思う。

ちなみに実際のゲーム内での「Cusinart Blade」はこれ。

中央にある。これは Wizardry 8 のアイテム画像。「Blade Cusinart」はシリーズの最初からずっと登場しているらしい。

(JeffLudwig.com | Wizardry 8 Mod -> Weapon List より)

これは私の想像なのだけど、日本語に訳す元の文章が「the blade made by Cusinart」とかで、これを翻訳者が頑張って言葉を付け加えて訳したのかもしれない。「Cusinart によって作られた剣」と訳せば簡単だけど、「有名な鍛冶屋 Cusinart によって作られた伝説の剣」と加えてしまったのではないだろうか。

ただ英語では Blade という単語がどうも「剣」よりも先に「刃」そのものを指す感じもある。上の Wikipedia の引用では誤訳部分が「a legendary sword made by ~」と書かれている。ここは日本人の感覚のずれだと思われる。マンガとかゲームのせいのような気も。

でも、誤訳といわれている文章でも、Cusinart がフードプロセッサーだと知っていると「鍛冶屋」という言葉もジョークを強めてくれている。「有名な鍛冶屋 Cusinart によって作られた伝説の剣」。

この手法を使って面白い文章を作る

ちょっと話は変わって、この手法を使えばなかなか面白い文章を作ることが出来そう。「Blade」のような多義語をうまく利用しなくても、「有名な何とかの」「伝説のくだらないもの」という語順で使えば何とかなる。

ドラゴンクエストに登場する「なべのふた」。これを「有名な鍛冶屋ティファールによって作られた伝説のなべのふた」としてみたり。「有名な騎士サンチョが使用していた伝説のステテコパンツ」、…容易に想像が出来てダメっぽい。どうも「ゲーム内のもの」「ゲーム内のもの」と続くとつまらない気がする。つまり、「有名なデザイナーしまむらが作った伝説のぬののふく」の方が良さそうだ。「有名な」の方にも小ボケを入れた。

「現実のもの」「現実のもの」と続けるのはどうだろう。「有名なブランド、シャネルが作った何十万もする伝説のスケルトンバッグ」、「有名なメーカー Dyson が作ったずっと弱い吸引力が変わらない伝説の掃除機」…。「現実のもの」「現実のもの」は風刺的だ。怒られそう。…冗談で書いたのに、シャネルが作ったスケルトンバッグが実在するらしい…。

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Nomeu

ほとんどのジャンルのゲームが好きです。特に好きなのはRPG。「Xenogears」「クロノトリガー」「ペルソナ3、4」とか。ドラクエは「V」。主人公が「勇者」ではないところが好き。ビジュアルノベルは「STEINS;GATE」「Ever 17」「AIR」が好き。

どこぞの作曲コンクール最優秀賞受賞。好きなゲーム音楽は「愛のテーマ (FF)」「Heartful Cry (ペルソナ)」「夢の卵の孵るところ (Xenogears)」「凍土高原 (Kanon)」「夜の底にて (クロノトリガー)」「Theme of Laura (Silent Hill 2)」「Scarlet (みずいろ)」「bite on the bullet (I've)」など。たくさんありすぎてスペースが足りません。

ゲーム音楽以外だと「Ballet Mecanique (坂本龍一)」「月光 第3楽章 (L.v.Beethoven)」「水のない晴れた海へ (Garnet Crow)」「Angelina (Tommy Emmanuel)」「空へ… ライブ版 (笠原弘子/ロミオの青い空)」「太陽がまた輝くとき (高橋ひろ/幽遊白書)」「スカイレストラン (ハイ・ファイ・セット)」など。

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