4gamer にゲームのプレイ動画に対するスパイク・チュンソフトへのインタビューが掲載されました。
ゲームメーカーは個人のプレイ動画をどのように捉え,どういう方向で付き合っていこうとしているか。スパイク・チュンソフトにそのあたりを聞いてみた - 4Gamer.net
プレイ動画を配信する人は読んでおくと良いと思います。私はニコニコ動画をほとんど利用しないのでよく分かりませんが、ニコニコ動画で色々とイベントがあるようですね。私もプレイ実況をしてみたいですが、しゃべりが全然うまくありません。
プレイ動画は許容して欲しい
私はプレイ動画はもっと許容した方が良いと思っています。良い宣伝になっているでしょう。
4Gamer:
それでは,公開以前から「どんどんプレイ動画を配信してください」という立場ではあったと。内田氏:
基本的にはそうです。ただ,タイトルによって,多少スタンスが異なります。
たとえば「風来のシレン4 plus」の場合,ニコニコ動画の企画という枠組みの中ではありますが,プレイ動画の配信を推奨する立場でした。
一方,「ダンガンロンパ」シリーズに関してはプレイ動画を推奨してません。アドベンチャーゲームというジャンルの性格上,やはりネタバレを避けなくてはいけませんので,「1章に限りOK。それ以降は配信しないように」とお願いしています。
できるだけNGを作りたくありませんが,より多くのユーザーが楽しめるようにしたいと考えています。4Gamer:
ページを見ると,公開範囲に制限があるのは「ダンガンロンパ」シリーズと「喧嘩番長6~ソウル&ブラッド~」です。内田氏:
それらはスト―リーを楽しんでもらいたいタイトルです。それが公開されてしまうと,これからプレイするユーザーさんの楽しみが半減,いやプレイする意欲すら奪うかもしれません。竹内氏:
インターネット上に公開されると,ユーザーによっては「知りたくなかったのに見てしまった」という状況だってありえます。そのため,どうしても制限せざるを得ないところですね。
この考え方はパターナルな見方です。または、嘘をついています。「ユーザーが楽しめるように、プレイ動画で公開できる範囲を制限する」のは、ユーザーの視点に立つと、「あなた方にどのように楽しむかを決められたくない」。制限は果たしてユーザーがゲームをより楽しめる方向に働くのだろうか、という疑問があります。
ユーザーはネタバレを回避したいとき、自ら動画を見るのを止められます。この場合、ユーザーに選択肢があります。見続ける、見続けない、はたまた音声だけ聴く。しかし制限を行うと、パブリッシャーによって選択肢を消されるわけです。
また、上は建前の発言であり、どちらかと言えば「コンテンツを全て見せてしまうと売り上げが落ちる恐れがある」と正直に言った方が私としては好感を持てます。それなら理解できますし、上のような穿った見方をされないでしょう。「本当に売り上げが落ちるのか」は検証したいところではありますが、恐れは分かります。
ゲームのコンテンツは本などとは違い、実際に自分でプレイしないと楽しくないという場合が多いはずです。恐れているほど売り上げが落ちるか分かりません。
ゲームのエンディングは残しておいて欲しい
4Gamer:
それでも,なかにはゲームの中盤以降やエンディングを公開しているプレイ動画もあったと思います。竹内氏:
確かにありました。プレイ動画に関して,基本的には黙認していたのですが,先ほども申し上げたとおり,ストーリーが重要なタイトルでは,より多くのお客さんに楽しんでもらうため,削除依頼という対応をしていました。4Gamer:
それは,YouTubeとniconicoなどの動画配信サイトで公開されている場合ですね。竹内氏:
そうです。正確な数字は分かりませんが,かなり多くありました。4Gamer:
定期的に動画配信サイトを“パトロール”されているのでしょうか。竹内氏:
定期的とは言えませんが,できるだけ巡回するようにしています。最近は,公開可能範囲やガイドラインを掲載した効果だと思いますが,ユーザーさんから「こんな動画がアップされていますよ」と報告していただくことも増えました。
どうやらスパイク・チュンソフト販売の日本のゲームでは、アップロードされているエンディング動画に対して次々と削除依頼をしているようです。
しかし、私としてはエンディング動画は残しておいて欲しいです。エンディング動画はゲームを思い返すときに使ったり、マルチエンディングのゲームでは動画で他のエンディングを見たりできます。貴重なのです。
「ゼノギアス」のエンディング
例えば、2つのエンディングを見たいからゲームを2回クリアしなければならないとなると、時間的に無理かもしれません。特に日本のゲームはクリアまで時間がかかるため、ゲームを2回クリアするのは断念せざるを得ません。そういうときにエンディング動画は有り難いです。
私はプレイしていないゲームのエンディングを見ません。興味がないからです。これは他の人にも当てはまるのではないでしょうか。プレイしていないゲームのエンディング動画だけを見て、ゲームクリアと同じ満足感を得る人はいないでしょう。
上のゼノギアスのエンディングを見ても、プレイしていなければ意味が分かりません。この点から、エンディング動画が動画サイトにあっても、ゲームの売り上げは落ちないのではないでしょうか。
他にも、昔のゲームの動画も貴重です。昔のゲームはプレイ動画やエンディング動画が YouTube に残っていて良かったと思うときがあります。歴史・文化の保存という観点からも、こういう動画は削除しない方が良いのではないでしょうか。
結局、プレイ動画もエンディング動画も、削除した時のデメリットの方がユーザーにとっては大きいです。私がプレイ動画を見るのはゲームの感じを掴むときだけです。ゲームスタートからエンディングまでがアップロードされていたとしても、全てを見るなどあり得ません。良さそうだと思ったらそのゲームを買います。
ゲームのプレイ実況配信は少し特殊であり、ゲームを見ていると言うよりも、実況者のしゃべる言葉と合わせて楽しんでいる場合が多いはずです。プレイ実況者の動画を見ていたら、副産物的にゲームをクリアまで見てしまう、という状況が多いのではないでしょうか。
プレイ実況者と同じゲームをプレイしている人は、ネタバレを自ら回避するでしょうから実況配信を見ないようにするでしょう。同じゲームを持っておらずにゲームクリアまで見てしまう人は、そのゲームをそもそも買わないでしょう。またはそのゲームに価値を見いだしていないのではないでしょうか。お金を払ってまでゲームをプレイしてエンディングまで観たくはない、と。
本当にユーザーのことを考えるなら、プレイ動画の制限も、エンディング動画の削除もして欲しくないです。ゲームの動画から得られる利益を販売会社などと分配するという方向が良さそうに思います。動画をアップロードした人が、他者のコンテンツを利用して儲けていることが気にくわない場合もこれならゲームの販売会社などにもお金が入ります。(ゲームの販売会社も、そのゲームの開発会社が他にあれば他者のコンテンツを売っているとも言えますね。)
結局のところ、ネタバレによるユーザーの楽しみの低下よりも、お金が儲けられれば問題ないのでしょう?