
ドラマになった「笑ゥせぇるすまん」が面白かったです。原作よりも悲惨さが薄れ、コメディタッチとなり、気楽に観られます。
なお、「笑ゥせぇるすまん」は過去に TBS とテレビ朝日でドラマ化されていますのが今回は Prime Video でのドラマ化の話です。
ダークさがかなり薄れていて笑える
「笑ゥせぇるすまん」のアニメやマンガを見たことがある人は分かると思いますが、この作品は本来かなりダークな内容になっています。
人間の欲望を描いた作品で、何かに悩んでいる人にセールスマンの喪黒福造(もぐろふくぞう)が「これを使えばうまくいきます」と謎のアイテムなどを提供し、悩みが一旦解決します。
でも悩みが解決した人はもっともっとと使いたいと欲望を増していきます。
喪黒福造はアイテムを渡すときに必ず「でも○○してはいけませんよ」と制限を掛けます。例えば「1日1回しか使ってはいけませんよ」とか。
アイテムを受け取った人はその約束を破ってしまうというパターンです。約束を破ると喪黒福造から「ドーン!」と指差されます。
約束を破ると本当に悲惨な状態になります。一家離散とか。天国から地獄へ突き落とされます。悪魔との契約に近いですね。
ここが「ブラックユーモア」と表現されてはいるのですが、私は見ていて気分が落ち込んでしまいます。そこまでしなくても…というか。私にとってはユーモアではありません。
ドラマではそれがかなり緩和されています。コメディ要素が強くなって気楽に観られるドラマになっています。
ロバート秋山竜次の世界観も含まれ、演技も笑えますし、約束を破っても原作ほど悲惨なことにはなりません。
「世にも奇妙な物語」にコメディ寄りにしたくらいの世界観です。
「笑ゥせぇるすまん」は鬱アニメだったのですが、ドラマは見ていて面白いです。オープニングはアニメとそっくり。
意外と賛否両論
私は良いドラマ化だなぁと思っていたのですが、Amazonでのレビューコメントを見ると賛否両論で、私が感じたほど評価が高くありません。
「原作のダークさが足りない」「秋山以外の役者が弱い」「モグリズムがくどい」という意見が多い。
「モグリズム」というのはおそらく秋山竜次が構想した曲です。ダンス付き。秋山竜次はキャッチーな曲を構想するのが得意で、「TOKAKUKA」はたぶん有名です(作曲は本人ではありません)。
日本にある公共施設が都が運営しているのか区が運営しているのか分からないという曲で、「都か区か」をローマ字で「TOKAKUKA」です。
「モグリズム」は秋山竜次の感性が反映されています。「笑ゥせぇるすまん」のエンディング曲にもなっています。
エンディングの映像が固定では無く、その回の出演者が出ていたりして変わるのでエンディングも毎回楽しめるのは本当に良いです。
確かに何かにつけて「モグリズム」が登場することが多く、くどいと感じる人もいるのは分かります。
脚本家の4人にコント・バラエティ系の人たちがいて、どうしてもそちら方向の感じにはなっています。テレビのバラエティのあの感じ。でも監督も4人いるので脚本家だけの決定ではたぶんありません。
ネットにレビューコメントで思いっきり悪口を書くなど現代に合わせた脚本は良かったので、良いところと悪いところの両面があります。
私としては脚本が弱いかなと。ダークさが薄れているのは私は好みなのですが、オチも弱くなってしまっています。
ダークさを薄めてオチも弱くなってしまうのは失敗です。思い切ってオチも全く違う方向に変えて勝負しても良かったかもしれません。ギャグ方向とか。
原作忠実再現派の人から怒られると思いますが、オチが面白ければ納得させられると思います。
「ドラマ版はアニメや原作と違うけど、こっちのオチも良いね」というのが理想的ではあります。
全体的には楽しめた
オチが弱いなとは感じましたが、鬱エンドの「笑ゥせぇるすまん」がこんなに見やすいドラマになったのは私は嬉しかったです。
エピソード12の最後にNGシーンがあり、秋山竜次が「これで大丈夫ですか?」と本人も心配しているのが面白いです。
ドラマの「笑ゥせぇるすまん」はアニメと違う良さがありますので、そんなに酷評するまでのことは無いかと思います。
上で書きましたが、鬱アニメからコメディ多めの「世にも奇妙な物語」くらいの見やすさになっています。もっと続けて欲しいドラマです。シーズン2も期待しています。
日本のドラマは恋愛・医療・警察・食事ばっかりという印象ですので、こういう珍しいジャンルのドラマがもっと増えて欲しいです。