バーティカルマウスとして期待していたが、重くて指が滑って持ち上げられない。ポインタの速度がパーセント表記でDPIが分からない『Logicool LIFT M800』レビュー

Logicool のバーティカルマウス「LIFT M800」を買ってみました。

最近、マウスを握る手が机に対して垂直になるタイプのマウスを「バーティカルマウス / 縦型マウス / 垂直マウス」と呼んでいるようです。

この名称ができる前から、このタイプのマウスとしては私は Microsoft の「スカルプト エルゴノミック マウス」を結構長く使っていました。

このマウスはハンバーガーみたいな形で、テーブルに対して手首が少し斜めになり、手首が楽になります。ただし、今の「バーティカルマウス」ほど手首が垂直にはならないマウスでした。

Microsoft スカルプト エルゴノミック マウス」はかなり好きなマウスなのですが、このマウスの問題点はボタンが少なすぎること。Windowsボタンなんて要りません。Windowsボタンの部分を別の機能に割り当てできたらすごく良いマウスだったのですが…。

Logicool は少し前からバーティカルマウスに手を出していて、2018年に「MX Vertical」を発売し、それのサイズが小さいバージョンとして2022年に発売したのが「LIFT M800」です。

Amazonで調べるとバーティカルマウスは色々と販売されているのですが、ボタン機能のカスタマイズができないものがほとんどです。

MX Vertical」「LIFT M800」はカスタマイズ可能。私はホイールクリック(ミドルクリック)を多用するので、ホイールクリックを割り当てるボタンが1つ余分に欲しいのです。

MX Vertical」はちょっと価格が高いと感じるのと、サイズが大きいとのことで、今回は小さめの「LIFT M800」を買ってみました。

良かった度

重くて、指が滑って、持ち上げられない

マウスの重さは電池を含めて 125g。重いです。

私が今使っているマウスは「Logicool G403h」で、87g です。

ゲーミングマウスとして 87g は今では軽い部類には入りませんが、これと比べると 40g ほど差があります。

LIFT M800」はマウスの底側が重い。そしてマウスを握っている指が触れる面は滑りやすい素材でできています。

このため、マウスを持ち上げる時に指が滑ってしまってかなり大変です。

クリックしないようにマウスを持ち上げないといけないのですが、かなり難しい。

マウスがもう少し軽ければ、滑る素材のこの側面でも指が滑らなかったかもしれません。

マウスを持ち上げるときに指が滑るのは、かなりのマイナスポイントです。

小指が机に付く

私は手のひらの長さ(指の先端から手首の付け根まで)が 20cm くらいなのですが、マウスを握ると小指が机(マウスパッド)についてしまいます。

おそらく男性はマウスが想像よりも小さいと感じると思います。

小指をマウスパッドに擦りながらマウスを動かすのはちょっと不快感があります。

男性は「MX Vertical」を買った方が良いかもしれません。

ホイールの手前にあるボタンが押せない

ホイール手前のボタンはデフォルトではマウス速度(DPI)切り替えボタンに割り当てられています。

これは設定で切り替えられ、私はホイールクリック(ミドルクリック)を割り当てています。

手の大きさも関係あるかと思いますが、このボタンの位置がちょっと遠く、マウスの握り方をかなり変えないとこのボタンを押せません。

バーティカル形状の弊害でボタンがどこにあるのかも直感的に分からないので、このボタンを気楽に押せません。

MX Vertical」はマウス上部にボタンがあり、この位置の方がボタンを押しやすいはずです。

マウスカーソルの速度がパーセント表記でDPI値が分からない

マウスの設定ソフト「Logi Options+」からマウスカーソル(ポインター)の速度を変更できるのですが、速度が「DPI」ではなくパーセントで表示されるため、DPI が分かりません。

今使っている「Logicool G403h」は 800 DPI に設定していてこれと同じにしたかったのですが、パーセントだとどこが 800 DPI なのか分かりません。

製品説明では「LIFT M800」は 400~4,000 DPI とのことです。

ポインター速度を「0%」に設定してもマウスカーソルが動くので、たぶん「0% = 400 DPI」で、「100% = 4,000 DPI」。

ということで、400 + 3600*x[%] で計算されると予想できます。よって 50% の時は、400 + 3600 * 50% = 2,200 DPI。

となるとポインター速度を 1% 増やすと 36 DPI 増えるという計算になりますが、公式サイトではマウスの DPI は 100 DPI 刻みで設定可能と書かれています。ワケが分かりません。

このマウスを買う人のほとんどは DPI を気にしないと考えたのでしょう。

ホイールが勝手に高速回転モードに切り替わる

このマウスのホイールは「Smart Wheel」というホイールです。

Logicool が以前から苦心して存続させている「高速スクロール」機能を持ち、ホイールを素早く回すとホイールのストッパーが無くなってカラカラと一気に回るモードになり、ゆっくり回すと普通のホイールになります。

「高速スクロール」の自動切り替えができるホイールが「Smart Wheel」です。

LIFT M800」の悪いところは、この機能の ON/OFF ができないこと、設定もできないことです。

このため、ホイールを回していると突然ストッパーが無くなってカラカラ回り出すことがあり、止めようとするとホイールが上回転されたと誤解して、上にスクロールされます。

スクロールが上に戻ってしまうのがかなり不快です。

「Smart Wheel」自体は悪いコンセプトでは無いと思いますが、どのくらいの加速度でホイールを回したときにストッパーが無くなるモードに切り替わるのかをユーザーに設定させて欲しいです。

手首だけでマウスを動かすと、カーソルが斜めに動いてしまう

通常のマウスだと、手首だけでマウスを動かしても意外とカーソルを水平に動かせるはずです。もちろんマウスのセンサーが中央にある場合です。

マウスのセンサーが中央に無い「ゲーミングマウス」として思い出すのは、エレコムのゲーミングマウス「M-DUX30BK」。このマウスはセンサーが中央に無いというかなり残念なゲーミングマウスでした。

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上の写真の通り、「LIFT M800」はマウス底面のほぼ中央に読み取りセンサーがあって良いのですが、マウスを握る手が垂直になっているため、手首だけで動かすとマウスカーソルが斜めに動いてしまいます。

これはマウスが悪いのでは無く、手首がテーブルに対して垂直になっているために起こる人体の構造のせいです。

バーティカルマウスはここがちょっとやっかいですね。

水平スクロールができるのはとても良い

マウス設定の際に表示されるチュートリアルで知ったのですが(上の画像)、「LIFT M800」は水平スクロールができるのは良いです。

サイドボタンを押している時にホイールを回転させると水平スクロールになります。

私は水平スクロールをする必要がある場面がほとんどないのですが、この水平スクロールの仕方は直感的でやりやすいです。

スクロールを水平スクロールに切り替えるボタンは設定で変えられます。

まとめ: 「Microsoft スカルプト エルゴノミック マウス」が恋しい

良かった度

Logicool LIFT M800」の良いところは静音ボタンですね。メンブレンのキーボードを押しているような、ゴムをへこませるような「ポチッ」という感触です。音が小さい。

ニッチな形状であるバーティカルマウスをマウスメーカーの大手 Logicool が作ったということで期待はしていたのですが、「LIFT M800」にはあまり褒められるところがありません。

Logicool LIFT M800」は厚い板を人差し指と親指で摘まむような持ち方になります。

この手の形はエルゴノミクス的にあまり良くない気がします。

手は力を抜くと人差し指と親指は円を作るようになりますから、「Microsoft スカルプト エルゴノミック マウス」のような丸い形の方が手には楽な形だと思います。

私は大きめのマウスが好きで、被せ持ち派です。マウスに手をのせて休みたい。「Microsoft スカルプト エルゴノミック マウス」の方が被せ持ち派としてはフィットします。

Microsoft スカルプト エルゴノミック マウス」はボタンが少ないのが欠点なので、これにボタンが増えた形のマウスが今のところ理想です。

サンワサプライや中華製品などでこれに似た形状のマウスが販売されていますが、この手のマウスはドライバーが無く、ボタンのカスタマイズができないので買う気になれません。

どのマウスもDPI変更ボタンがありますが、このボタンを使っている人っています? FPSゲームで乗り物に乗っている時だけマウス速度を変えたいとか、かなり限定的な用途のはずです。

DPI は一度決めたらほとんどの人は変更しません。DPI変更ボタンは無駄です。でもドライバーが無いマウスはDPI変更ボタンからしかDPIが変更できないので必要なんですよね。それでもマウスの底面で設定できれば十分でしょう。

ホイール手前のボタンがDPI変更ボタンのマウスが大量にありますが、ここはかなり有用な位置です。左クリック、右クリック、ホイール手前のボタンと、マウスの3つめのボタンとして直感的に操作できます。これをDPI変更ボタンにしておくのはもったいない。

…もったいないはずなのですが、ほとんどのマウスではこの位置がDPI変更ボタンなので、あまり必要とされてないボタンなのでしょうか。

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About

Nomeu

ほとんどのジャンルのゲームが好きです。特に好きなのはRPG。「Xenogears」「クロノトリガー」「ペルソナ3、4」とか。ドラクエは「V」。主人公が「勇者」ではないところが好き。ビジュアルノベルは「STEINS;GATE」「Ever 17」「AIR」が好き。

どこぞの作曲コンクール最優秀賞受賞。好きなゲーム音楽は「愛のテーマ (FF)」「Heartful Cry (ペルソナ)」「夢の卵の孵るところ (Xenogears)」「凍土高原 (Kanon)」「夜の底にて (クロノトリガー)」「Theme of Laura (Silent Hill 2)」「Scarlet (みずいろ)」「bite on the bullet (I've)」など。たくさんありすぎてスペースが足りません。

ゲーム音楽以外だと「Ballet Mecanique (坂本龍一)」「月光 第3楽章 (L.v.Beethoven)」「水のない晴れた海へ (Garnet Crow)」「Angelina (Tommy Emmanuel)」「空へ… ライブ版 (笠原弘子/ロミオの青い空)」「太陽がまた輝くとき (高橋ひろ/幽遊白書)」「スカイレストラン (ハイ・ファイ・セット)」など。